テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
いつも通りだったんだ、本当に。
外はいつも通り暗くって、
皆はいつも通り次のラウンドの話をしてて、
いつも通りラウンドが始まっていく。
何もおかしな事はなかった。
なかったはずだったんだ。
007n7「ねぇ、Elliot。」
Elliot「何、007n7?ピザ屋の件なら許してないよ。」
007n7「あれは…本当にごめん。でも今回は本当に違うんだ。」
Elliot「ふぅん…それで、何?」
007n7「もしも、もしもの話だよ。」
「また息子と親友と一緒に過ごせたら、
どれだけ幸せだろうなって。」
Elliot「……それは、そうだけどさ。無理な話だよ、それは。そんな事考えてる暇があるなら、この地獄みたいな生活から抜け出す方法を探してよ。」
007n7「そうだよね、ごめん、変なこと言って。」
007n7の言葉は僕の心をみちみちと蝕んでいった。
それは寄生虫のようで、
それは気持ちの悪い感覚で、
それは呪いで、毒で、とにかく最悪な、
美しい花のようだった。
少しでもその言葉に興味を持ってしまった自分が、本当に、本当に、恨めしい。
Elliot「007n7!!キラー来てるって、ぼーっとしてないで逃げないと!!」
007n7「………」
Elliot「チッ、ああもう!!」
007n7の手首を掴んで一緒に逃げた。
とにかく走って、走って、走った。
少ししてから気がついた。
はっと後ろを振り向くと、そこには両手を広げ、
キラーを待ち構える007n7が居た。
虚ろな目をしていて、何も考えていないような。
それでいて、希望を見出したような笑顔で。
c00lkidd「パパ、逃げないの?鬼ごっこなのに!」
007n7「うん、なんか、疲れてしまったんだ。」
キラーが007n7の首を絞める。いつも通り、007n7は死んだ。
でもまぁ、大丈夫だろうと。いつも通りロビーに戻っているだろうと。
そう思い、また逃げようとしたんだ。
雷が落ちるような、鋭い音がした。
不快な音だった。発泡スチロールが擦れるような、爪で金属を引っ掻くような、そんな不快な音。
一瞬だけそんな音が聞こえた。
今まで聞いたことのないような音に、思わず振り向いた。
007n7の死体が、c00lguiのようなもので埋め尽くされてゆく。
なんだ、これは?違う、今までとは圧倒的に違う。
思わず立ち止まってそれを見てしまった。
目が離せなかった。
007n7はむくりと起き上がった。
死んだはずじゃ?どうして?
そしてはっと気がついた。007n7の額に、昔と同じような角が生えている。おかしな点は、顔の左半分がc00lguiのようなモザイクで埋め尽くされている事だ。
007n7は、笑顔だった。心から嬉しそうな、純粋な、そんな笑顔。
他のサバイバー達も、唖然としながらその光景を見ていた。
「…c00lkid、これからはもっとたくさん遊ぼう。」
「…ほんと!?もっとたくさん!?」
「ほんとだ。今まで寂しい思いさせたな。」
それはとても、優しい声だった。
ラウンドがいつも通り終わって、
外はいつも通り暗くって、
皆…ラウンドの話をしてる。
違うのは、007n7がロビーに帰ってきていない事だ。
何もおかしなことはなかった。
なかったはずだったんだよ、なかったよな?
コメント
2件
♡100ありがとうございます!正直シリアスものは伸びないかなと思ってたんですが…凄く嬉しいです!本当にありがとうございます!
シリアスものなので書き方を少し変えてみました!シリアスものって難しい…書いてる人尊敬するぜ…