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藍は、きっと前世は犬だったと思う。
恐らくは兄妹がいる家庭環境というのもあるんだろうか、誰に対しても友好的で笑顔を振りまき、ファンに対しても嫌な顔をしている事なんて滅多にない。代表入りしたての頃の有志も大概だったけど、藍も中々に人懐っこくてブンブン振られてるしっぽが見えそうだと思う。いつも元気で、走り回っていて、よく喋りよく笑う。
この前、居残り練習してるときにいつも練習しているサーブの精度、スピード、タイミングの正確さが上がっていたから、ハイタッチの後に何となく頭を撫でてみた。だって犬みたいだし。
「祐希さんっ!今の良かったですよね?!」
「おー、良くなってる」
パシン、とハイタッチをかわす。いつもならすぐに位置を代わって自分が次に打つのだが、その前にくしゃりと頭を撫でてやる。
「やるじゃん」
藍って顔ちいさいからか頭も小さかったな、なんて思っていると、藍はまだこちらを放心気味に見ていた。
「…?どした?」
そう声をかけると、はっと意識が戻ったかと思ったら、ニパッという効果音が聞こえそうな笑顔で笑った。
「ははっ!!もっと頑張ります!」
撫でられただけであんなに嬉しそうな顔をされてしまうと、なんだかこちらがむず痒くなってしまう。やはり藍は犬みたいだ。
でも、俺だけにそうではないことも知っていた。最近は大塚や小川のところによく行って一緒にいる姿をよく見る。
だから、その度にひと撫でする。
ーーー誰が飼い主か、忘れんなよ。