綺麗な…(ラムリ)
中庭でぼーっと星空を見ていた。今は真冬、吐く息が白い。それでもボクは儚く照らされてる星を見ていた。今、ボクの隣に主様は居ない。主様の世界でお仕事を頑張っている。だから、ワガママを言ってはいけない。分かっている、分かっているのに込み上げてくるのは寂しさ。
「…主様…寂しいです…早く帰ってきて…」
小さく呟く。寂しくて、虚しくて、恋しくて、会いたくて本当に小さく呟いた。ぽろりとボクの目から涙が溢れる。泣いても仕方ないのに。
「ラムリ、ただいま」
「……え?」
ボクがこの声を聞き間違えるはずない。それは会いたくて会いたくて仕方なかった主様の声。思い切り振り返ると驚いた顔の主様が居た。
「ら、ラムリ?どうしたの?」
「主様、どうして…!?」
「仕事が終わって指輪をつけようとしたらラムリの声が聞こえたから急いで屋敷に帰ってきたんだ」
困ったように微笑む主様とその後ろには星空。ボクは思わず目を細める。
「…綺麗です…」
「え!?」
主様は目を見開いて頬を染めるが後ろに星空がある事を思い出し勘違いしたみたいだ。主様もボクの隣に座って星空を見上げる。
「うん、星が綺麗だね!」
「はい、本当に綺麗です!」
いつの間にかボクの涙は止まっていた。そしてボクの前には満面の笑みの主様と星空。本当に綺麗なのは主様ですよ。ボクはそっと心で呟いてまた星空を見上げた。
コメント
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ラムリの表情や心情が 拝見できて、素晴らしいです 星が好きなラムリならではの 作品に仕立てられてて 見ていて楽しめました