ある日オレとボスキさんは買い出しの為に街へ出ていた。
買い出しを終え、馬車に乗ろうとするとボスキさんが「買い忘れがあった」と言い、再び店の方へ歩いていってしまった。
(ほんと、自由な人っすね…)
ボスキさんを待っている途中、街の人間がひそひそと話しているのが聞こえた。
『おい、あれ悪魔執事じゃないか…?』
『あいつらを見てると呪われるぞ』
街に行くと悪魔執事をよく思わない人間たちが自分たちを悪く言っているところをよく見かける。
「はぁ…」(またっすか…)
小さく溜息を吐きながらボスキさんが戻ってくるのを待っているといかつい男が声を掛けてきた。
『おい…。あんた…。』
「ん…?なんすか?」
『お前…悪魔執事だな?』
「だったら、なんすか…。」
『おい、こいつを連れて行け…。』
「は?いきなりなんだってんだよ?」
男の言葉を合図に取り巻きの男がオレの腕を掴んだ。
「はぁ!?ちょっと待て!離せよ!」
…
「あんたらの目的は何すか?何のためにこんなことを…。」
『俺たちは全員、天使によって家族を失ったんだ。』
『お前たち執事がしっかりしていれば俺たちは家族を失うことはなかったんだよ!』
「やっぱりそういうことっすか…。家族を失ったのは残念っすけど…。」
「オレたちだって万能じゃないんす。全ての天使を完璧に狩るなんて不可能っす…。」
『言い訳するな!』
そう言い男が手を振りあげた瞬間、何者かが男の腕を掴んだ。それはオレのよく知っている同室の先輩、ボスキさんだった。
「おい、何してる」
「ボスキさん!」
「おい、今何をしていた?」
ボスキさんが睨みつけるといかつい男らは逃げていった。
「助けてくれてありがとうございますっす…。」
「怪我は無いか?」
「当たるギリギリのとこでボスキさんが来てくれたので無いっす。」
「そうかよ。」
「はい。」
「舞踏会の時といい、今日といい、お前はなんであんなに目ぇ付けられてんだよ?」
「オレがいちばん知りたいっす。」
「…取り敢えず帰るぞ」
「結構遅くなっちまったっすね」
「あぁ。」
「他の執事たちが心配してないといいっすけど…」
…
屋敷に戻ると案の定オレとボスキさんの帰りが遅いのに心配した同室の2人が屋敷を出ようとしていた。
そして今日あったことを話すと
「災難だったね…/災難だったな…」
2人は口を揃えて言った。
「にしても何でいつもオレなんすかね?」
「確かに…なんでなんだろう?」
「今回はボスキが間に合ったから怪我がなかったとはいえ暫くは単独行動は危ないだろうな。」
「今日も単独行動ではなかったがな。」
「あ、そっか。2人で買い出し行ってたんだっけ?」
「そうっす。」
「うーん、これから買い出し行く時は2人以上で行動するようにみんなにも言っておこうか。」
「あぁ、そうだな。」
こうして、今回の悪魔執事襲撃事件から数週間後までは買い出しの際は2人以上で行くことが多くなった。
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