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※このシリーズは私の創作キャラのララちゃんと男子たちとの絡みが描かれている小説となっています!あ、CPではないのでご安心を…!!苦手な方は今のうちに回れ右!
カンジ×ララ
〜憧れの童話スイーツ〜
俺はお菓子が出てくる童話が好きだ。まどかさんも好きな『ヘンゼルとグレーテル』に出てくるお菓子の家も気になりますし、『不思議の国のアリス』に出てくるEAT MEクッキーや女王様のジャムタルト……童話の中にはお菓子の宝庫になっているものもあり……とにかく甘党な俺は童話に出てくるスイーツを密かに食べてみたいと思っていた。とは言っても……自分では当然のごとく、作れない…なので未だに願いがかなっていない状態だ。どうしようかと思った時にちょうど誰かが図書室に入ってきた。
「………..」
亜麻色の髪で下の方で一つ縛りをしているのが特徴の女子、ララだった。ララは時々図書室に来て、料理本を読んだりドラマや映画の小説を借りていったり……その時によって異なるが、特別なことがない限り、そのふたパターンしかない。彼女は何やら悩んでいるみたいだ。本のことで困っているなら俺が行くべき…そう思い、カウンターから出て、ララの元へ向かう。
「ララ、どうかしましたか?」
「…..あ、カンジくんか…..いや、今週お菓子作りしたいなって思ってたんだけど作りたいのがなくて…..」
そう言いながら苦笑するララ。ララの趣味は何かを作る事なんですが…お菓子作りをしているイメージが強い。実際、俺たちにおすそ分けをしてくるくらいだ。
…ん?お菓子作り…あ、そうだ。ララに再現してもらえば…..!
「あの、ララ」
「ん?どうしたの…?」
「作りたいお菓子がないなら…リクエストしてもいいですか?」
俺は思いっきり言ってみる。彼女は一瞬驚きつつも、笑顔になって
「リクエストか…いいよ、私にできる範囲のだったら」
「本当ですか!?実は俺…」
さっきまで考えていたことを話してみる。彼女は優しく笑いながら俺の話を聞いてくれている。全て話終わると彼女は口を開く。
「なるほどね…お菓子の家は難しそうだけどクッキーとタルトならできそうかも。」
「楽しみになってきました…!」
「期待に応えられるように頑張ってみるね」
そう言ってララは図書室を去っていった。
その週の日曜日、ララがいつもお菓子を持ってくるときよりも大きめの紙袋を持って家に来た。俺は即わかった、その袋に入っているものを…..。
「今日はいつもとは少し違うのを作ってみたの、ある人のリクエストでね。」
ララはそこで言葉を切る。そして、俺の方を見て
「カンジくん、開けてもらってもいいかな?」
「わかりました」
出来栄えが気になっていたのに気づいてくれたのか、それともリクエストした俺本人に開けて欲しいのかは分からないけど…言われた通り俺は箱を開ける。開けた瞬間、お菓子特有の甘い香りが漂う。そして、俺の希望していた女王様のジャムタルトが出てきた。本で見た通りではないけど限りなく近いそのタルトに思わず見とれてしまう。
ー女王様のジャムタルト
一人前の小さいサイズのタルト生地にジャムが入っている。ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」で癇癪持ちのハートの女王さまが自ら作ったタルトが何者かによって盗まれ、裁判が開かれる、というお話に登場する盗まれたタルトがこの「ジャムタルト」だ。
しばらく見とれているのに気づいたララが俺にそっと言う。
「すごく見とれてるねニコ。その様子だと、期待に応えられたって言うことでいいかな?」
俺は一瞬驚きつつも、笑顔で「その通りです」と言った。彼女は満足そうな顔になっていた。そのあと彼女はタルトとEATMEクッキーをお皿に並べていった。
その後、まどかさん達と共にささやかなティーパーティーが始まり、より不思議の国のアリスの世界観に近づいて俺は大満足だった。そして、また彼女に別の童話スイーツをリクエストしてみようと思ったのであった…。