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男子になりたかった。
ある時、私は変わった。あれは、小学6年の頃だったろうか。性別上、私は女の子だ。でも、スカートが嫌だった。ツインテールや化粧、女の子らしいものが嫌いだった。加工して写真を撮るなんて、宇宙人みたいになるだけなのに。何が可愛いのかわからなかった。敬語なんて好きじゃない。少し口が悪くてもいいじゃん。………でも、そんなこと親には言えない。何言われるかわかんないし、理解して貰えないだろうし。だから言わない。私は言わないんだ。
きっかけは、ハマっていたものだろう。私は漫画やアニメが大好きだった。最初はちゃおを買っていたものの、だんだん少年ジャンプや、マガジンに手を伸ばすようになった。女の子はあまり出てこないジャンプに、私は心惹かれた。特に、あの漫画が大好きだった。「WIND BREAKR」。あの漫画は、ヤンキー漫画だった。人とは違う体質を持った主人公と、ユニークなキャラ達が大好きだった。私は、主人公の桜と下の名前が漢字は違うけど、同じ読み方だった。それで、自分がこうだったらと、感情移入しやすくなった。でも、私は1つ、違うことに気づいた。”性別が違うこと”。女の子は、正義のヒーローにはなれない。自分が男の子なら、どれだけ良かったか。その漫画を読む度に思う。もしこうなら、どれほど良かったか。でも、考えても無駄だ。性別を帰ることなんぞ、私にはできない。だから、せめて周りからは認めてもらおう。女の子の私を。そうすればいいと思った。だから、髪を伸ばして、スカートに足を通した。”可愛い女の子”を演じた。本当は”かっこいい少年”になりたかったけど、自分の意思を殺して、”女の子”を演じた。
でも、やっぱり”かっこいい”人になりたかった。だから、運動音痴だけど、頑張って練習して、運動ができる人になった。勉強は大っ嫌いだけど、頑張って勉強して、みんなから「教えて欲しい」と言われるくらいになった。もちろん成績はオール5。だから、少し安心していた。ある日、女の子の友達から言われた。
「男子みたいでカッコイイね!」
と。私はすごく嬉しかった。これで、桜に近づけるんだ!そんなことも思っていたんだろう。でも、ここから先は、私は想定もしなかった。私が、恋をしていたことに。
私は男子に恋をしたが、どうやら年頃だからだろうか、近寄るのが怖かった。でも、自分が男子だったらどうしてただろう。今では校庭でその子とサッカーでもしているだろうか。でも、そんな事は叶わない。私は、女子だから。なんで、女子に産まれてきたんだろう。私なんて嘘で塗りたくった”女子”と書かれたマスクを被って生活しているようなもんだ。優しくてかっこいい彼とは違う。あぁ、男子に産まれたかったな。
この物語は、実際の話。
貴方なら、私になんて声をかけてくれますか?