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第三話『ただいま。』
朝日が部屋を照らして、暖かく陽が当たる。
『ゆらぎ〜…?起きてる?』
「…おきてる…」
『あ、起きてる〜!おはよ!!』
「おはよぅ…」
陸の世界では朝起きた時におはよう、夜寝る時におやすみと言うらしい。
昨日らこに教えてもらった。
私の家は海だけど、今は陸の世界にいて、家がないかららこの家に泊まらせてもらった。
事務所から少し歩いたところにある場所。
『ゆらぎってさ…』
急にらこが話し始めた。
『何食べるの?』
「……?」
『朝ごはん!』
朝…ごはん…?
何それ…?
海では好きな時に食べるのに…
『ゆらぎは何が好き〜?』
「……小さいお魚」
『魚かぁ!じゃあ朝ごはんはそれにする!待ってて!!』
そう言ってらこは部屋から出ていった。
……らこは元気だなぁ…。
眠い。
二十分ぐらいしたあと、リビングの方から急にらこの声が飛んできた
『ゆらぎ〜!!ご飯できたよー!!!!』
……うるさいなぁ。
私は小さくため息をつきつつもリビングの方に向かう。
…お腹が空いてないわけじゃない。
私がリビングで席に着くと、らこが楽しそうに歌いながらお皿を持ってきている。
………楽しそうで良いな、それ。
『はい!焼き魚!』
「……。」
『どうしたの?』
「…焼いてる。」
『うん、焼いたよ?』
「魚って焼くの?」
『焼いた方が美味しいよ〜!』
「……そうなんだ」
そうなのかな…?
私は少し疑問に思いながらも恐る恐る一口食べてみる。
「…!」
『どう?美味しい?』
「美味しい…初めて食べる味」
不思議な味…でも美味しい…
らこは向かいの席に座って嬉しそうに微笑みながら私を見つめている。
……何?
なんかそんな見られると食べずらいし恥ずかしいんだけど…?
「…どうしたの?」
『んー?なんでもないよ〜。ただゆらぎが美味しそうに食べるから可愛いな〜って思っただけ〜』
「……。」
「見られると食べずらいんだけど…?」
『えっあっごめん!?』
お昼頃、らこと散歩中。
らこはよく浜辺の方に散歩に行くらしい。
『あったかいね〜…』
「うん…。」
らこは波打ち際でしゃがみ込み、海水に指先をつけては「つめた〜い!」と楽しそうに笑っている。
すっごく笑ってるけど、そんなに面白くて不思議なものなのかな?
昨日まで海に居たから私は分からないなぁ。
『ゆらぎ〜!見て見て!綺麗な貝殻〜!』
「……?」
貝殻…?
これがどうしたんだろう。
『集めるの好きなんだ〜!』
「海にはいっぱいあるのに……?」
らこは笑う。
『あははっ、でも綺麗でしょ!』
らこが貝殻を見せてきた
確かに綺麗な貝殻。
『これ桜貝かなぁ〜!綺麗!』
「詳しいんだね」
『らっこだからね!』
……確かに、それはそっか。
らこってらっこなのに陸で生きるんだ。
『はい!』
「……?」
『あげる!』
「……海にいっぱいあるよ?」
『でもこれは今日拾ったやつだから!』
…なんで?
まぁ、いっか。
私はらこからぴんく色の貝殻を貰いポケットに入れた。
陽が落ちて周りがオレンジ色に染まった頃。
『ゆらぎ!見て!夕日綺麗!』
「……うん。」
海の中から見るのとはまた違う。
はっきりとした色。
海が光を反射してオレンジに染まっている。
「綺麗。」
『ねー!でしょ!』
『あ、もうこんな時間…ゆらぎ、そろそろ帰ろ!』
らこは私の手を掴んで立たせる。
「ちょっと…わかったから…」
らこは私の手を握ったまま引っ張っていく。
強引だなぁ…らこらしいけど…。
らこが家の玄関の扉を開ける。
『ただいま〜!』
「…ただいま?」
『ん?そう!家に帰った時に言う言葉!』
「そうなんだ。」
「…ただいま。」
『ゆらぎ、おかえり!』
「…えへへ…」
『ゆらぎ〜!おやすみ!』
「……うん。」
らこは手を振って自分の部屋に入っていった。
…私も寝よう。
布団の中に潜り込んでふと窓の外を見る。
丸い月が見える。
そう言えば、らこが『クラゲって海月とも書くんだよ!』って教えてくれたっけ。
海の月…いいなぁ。
「…おやすみ、らこ。」
#ミリプロ
とまと🦇🩷 。🦅🖤
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コメント
4件
小説書くのうっま
おはよう、おやすみ、ただいま…陸にいるからこそ当たり前だから、海でなかったのを知ってくの戻してロマンチック。
何気にゆらぎが台詞中でらこって言うの初めてなんだよね 地の文とかでは言ってるけど