_月_日
好きな人が出来ました。人生で初めての恋で、まだこれが「恋」であるかもよく分かりません。でもこの心臓の変な感じは人生で初めてだから、これが恋であって欲しいとも思います。
1週間くらい前から隣の席の桃くん。
かっこよくて、誰にも媚びない、揺るがない「自分」を持っている人。
最初は少し怖かったけれど、実はとっても優しい人だと知って、いつの間にか特別な存在になっていました。
今日は俺の、初恋記念日。
The next day_
_月_日
桃くんが教科書を忘れていたので、二人で机をくっつけて授業をうけました。別にくっつける必要は無かったけど、少しだけ強引に桃くんに提案したら、本当にそうしてくれました。
いつもよりずっと近くに桃くんがいて、顔から耳まですごく熱くなりました。心做しか桃くんの体温を感じて、1人で恥ずかしくなります。
おかげで授業を全く聞けなかったので、今度桃くんに教えてもらおうと思います。上手く誘えるかな。
そういえば、桃くんが授業中落書きをしていたのを見ました。面白くて可愛くて笑ってしまい、桃くんが顔を赤くしてそっぽを向いたのが忘れられません。
The next day_
_月_日
昨日の授業について教えてもらおうと思いどうやって言い出すか悩んでいたら、桃くんに彼女がいるという噂を聞きました。
よく考えればそんなの当たり前じゃん。と思ったのに、ずっと苦しくて泣いちゃいそうでした。桃くんは最近よく話しかけてくれるけど、今日は上手く話せません。
あんなにかっこよくて、優しくて、そんな人に恋する人は俺以外にもいるって分かっていたけど。現実はとっても残酷だなと大袈裟にも思いました。
もうさっさと寝てしまおうと思います。
今日が俺の失恋記念日になってしまうのかなぁ。
The next day_
_月_日
今日は桃くんと一緒に帰ることが出来ました!
桃くんに誘われて、最初は噂のことを思い出しそれを旨に断ったけど、噂は嘘だったようで一緒に帰りました。
嘘だったと知れたときはものすごくほっとして、肩の力が抜けるのを体感しました。これからも頑張ろうと思います。
桃くんは方向の違う俺の家まで送ってくれて、最後まで沢山話してくれました。沢山桃くんのことが知れて嬉しいです。
桃くんの誕生日がもうそろそろだということも知りました。
何か、ちょっとしたサプライズで祝いたいと思います。楽しみ。
The next day_
_月_日
今日が週のラスト。金曜日です。
一緒にお昼ご飯を食べました!なんだかいつもよりお弁当が美味しく感じます。
思い切って今日は日曜日に桃くんを遊びに誘いました。桃くんの誕生日の日です。
この前の授業を教えてもらおうとも考えたけど、せっかくの誕生日にそんなの桃くんは嫌かなぁ、と思い普通にお出かけすることにしました。
俺が誘うと桃くんはにっこりと笑いながら「もちろん」と言ってくれました。今も思い出すだけで心臓がバクバクしてしまいます。
やっぱり俺の好きな人は最強だと改めて思いました。
The next day_
_月_日
明日が楽しみすぎてとてもじゃないけれど眠れません。
布団に潜ると明日のことを考えてしまい、グルグルと色んなことが頭を駆け巡ります。このままだと明日まで心配です。
桃くんはどんな顔で来てくれるだろう。私服はどんな感じかな。誕生日を祝ったら、喜んでくれるかな。
考え始めたらキリがありません。
大丈夫。今日1日沢山考えて準備はバッチリなんだから。
いつも通りの笑顔で彼に会って、いつも通りの彼の笑顔を見よう。
明日は集合時間より少し早めに家を出て、花屋によって行こうと思います。
お花の種類は、白色のアネモネ。
贈る花に自分の気持ちをのせることも考えましたが、彼の誕生日なのにその花を贈ることは傲慢でないかと思い、この花を選びました。桃くんにとってこの1年が、希望で溢れたものになりますように。
桃くんに「お誕生日おめでとう」を言うのがとっても楽しみです。
大好き。
The last day_
_月_日
.
♢
日記はそこで終わっていた。
あまりにも静かなこの空間が、嫌でも現実を突きつけてくる。本当に、現実は残酷だな。と彼に同情する。
あの日、集合時間を過ぎても姿を現さない赤を、初めて2人で出掛けるのにも関わらず珍しいな、と思った。だって、赤はそんなやつじゃない。見れば分かるだろう。あんなに、あんなに生真面目で純粋なんだから。
だからこそ、俺は今までに無いほどの不安に駆られた。
まさか、そんなわけが無い。
こんな時に限って、まさか。
でも、あいつは遅刻するのに連絡しないような奴だった?
赤のはにかむような笑顔が頭を遮った。
もうどうにでもなれ、と俺は赤の家へ走った。
急いで、急いで、走って、走りまくった。
見ると、この前赤を送ったときに見かけた黒色のミニバンは無くなっていて、チャイムを鳴らしても沈黙が過ぎるだけだった。
その後何時間もその場に待ち続け、何度も赤に会う方法を考え続けたが、その日は、赤の家族にさえ会うことが出来なかった。
日が落ちカラスが鳴き始め、成すべくもなく諦めて帰宅した。
それから事態が動き出したのは、その日から2日ほど経った時だった。
市の総合病院に、呼ばれたのだ。
家の電話にそれは急にかかってきて、赤の父親だというその人は、いかにも重大そうな声色で俺に病院へ来て欲しい旨を伝えた。
病院で赤の両親と初めて顔を合わせ、誰かの病室へと案内された。いちばん嫌な現実からは逃げていたかった。
しん、と静まる病室に1人、ベッドで横たわっている人がいた。その顔には白い布が被せられている。その間から見える髪は、綺麗に染められたような赤色をしていた。俺はそれが誰のものか、知っている。
呆然と立ち尽くす俺に、赤の両親は”それ”についての詳細を説明した。
不慮の事故だった、と。よく分からないが花屋から出てすぐの事だったらしい。
わからない、わかりたくない。
絶対に、聞かない。赤の親だとしてもだ。
俺は”それ”を、現実として捉えない。
しかし、ゆっくりと赤の両親により白い布が取り除かれた瞬間、そんなことは無理だと悟る。
誰よりも、会いたかった人だった。
こんな形では絶対に、会いたくない人だった。
事故にあったはずなのにあまりにも綺麗な顔をしていたから、ただ眠っているように見えたから、死んだなんて信じられなかった。
涙が枯れるまで泣いた、とよく言うが、その時は枯れて欲しいとまで思った。
それくらい、大事な人だった。
そして、今に至る。
思考が巡るのは、ただ自己嫌悪のみだった。
もう、言葉すら出ない。
そんな俺に、赤の母親が何かを持ちながら言う。
「これ、赤がお花屋さんで買ったお花なんです。」
それは、半分以上が赤く染まった…..アネモネだった。
「本当は、白色のものを買ったそうなの…。
よかったら、受け取ってあげてちょうだい。」
そう言われ、丁寧にそれを受け取った。
白いアネモネの花言葉は「希望」
赤いアネモネの花言葉は「君を愛す」
俺も、赤に恋していたよ。きっと今だって、これからもそれは変わらない。
「大好きだよ、愛してる」
今日が俺たちの、恋人記念日だ。
end.
お久しぶりです🥲
やっと新しいお話が投稿できてほっとしてます、、今回のお話は如何でしたでしょうか?💭
前半は赤くんの日記のみで物語が進行していくので、少し把握し足りない部分があってそこも魅力かなと考えてます😵💭
少し衝動書きみたいなところがあるので暖かい目で見ていただけると幸いです💓🥲
来年度から受験生になるのでさらに低浮上かますと思います😭🙏🏻
ちゃんと見てはいるので気長に待っていただけると嬉しいです(><)♡
コメント
13件
すごく時差コメですみません🥲 すごい感動して号泣してしまいました🥲 ブクマ失礼します😭
すごく感動しました…、 やばかったです…(?) ブクマ失礼します︎🙌🏻 そして時差コメごめんなさい💦
家がダムになりました✨ ほんとに曖昧な2人からはじまって、それから、それから、って最後のラストでほんとにやばかった、とりあえず最高です👍🏻 ̖́-