赤桃
子供視点
この家にはいくつかルールがある。
1つ.おうちに帰ってきた手をあらうこと
2つ.ケーキはとくべつな日だけ
3つ.パパたちのしんしつには入らないこと
4つ.おでかけの時は手をつなぐこと
5つ.ママはいないフリをすること
ヘンテコな我が家のルール。
ママは生きてるし、お話だってしてくれる。家に帰れば「おかえり」って笑って頭を撫でてくれる。いっぱい褒めてくれる。
でも、お家からは一歩も出なくて、生きてることも周りに知られちゃいけない。それがパパとのお約束なんだって。
自分より少し大きな玄関を開けて、2階の奥の部屋へと走っていく。
「ママ、ただいまぁ!」
「おかえり、いつもより早かったな」
いつもお部屋にいて、本を読んでるママ。今日の本はいつもより難しそうな本だった。
「今日ね、!学校でね!」
学校から帰ってきたらママに学校のお話をする。でも、パパがお休みの日はママと寝室の方に行っちゃうからあんまりお話できないの。いっつもママ取っちゃってるからたまにはパパに譲ってあげなきゃね?
ガチャ、と扉が開く音がする。
「パパだ!」
数分も経たないうちにパパも部屋に来た。
「ただいま」
こっちに優しく微笑んで、頭を撫でてくれる。ママよりも小さいけど、暖かい手。パパの手もすき。
「おかえり、莉犬」
「ただいま、さとちゃん」
あ、パパがママにちゅぅした!んふふ、とっても仲良さそうで嬉しい!
パパに申し訳なさそうに目配せされる。
「、!宿題してくる!」
パパ、分かってるよ。賢い子だからね!
廊下をパタパタと小さな足音が駆けていく。
部屋の扉を閉め、くふくふと小さく笑う。パパって意外と寂しんぼさん。いっつもママと2人きりになりたがる。
今日はパパと2人だけの夜ごはん。
ママの作ってくれたシチューすき!パパも好きかな?でも、美味しいのは変わりないよね!
「パパぁ〜!ママとね、」
パパはママの事を話すと嬉しそうにしてくれる。だからね、いっぱい話すの!ママとパパが喜ぶお話、いっぱい知ってるよ!
「そっかぁ〜」
優しいお顔で笑って、頭を撫でてくれる。少し乱暴で頭くしゃくしゃになっちゃうけど、この撫で方が一番好き。
ママとパパは仲良し、いつも一緒にいて笑ってる。でも、いつもの笑顔じゃなくて2人きりじゃないと見せないようなそんなお顔で笑ってる。
でも、「パパ達仲良しだね!」って言うと、「違うよ」って2人とも言う。お互いのこと嫌いで恨んでるんだって。でもでも、毎日行く時も帰ってきた時もちゅぅしてるし、同じお部屋で寝てるんだよ?変なの
でも知ってるよ!そういうの複雑な愛の形なんでしょ?パパとママが幸せならそれでいいの!
「ママ、だいすき!おやすみ!」
寝る前にママとハグをして、部屋を出る。
明日は学校で、楽しい事がある。きっとそのお話を喜んでくれる。
ワクワクとした気持ちでベッドに入る。
おかしな家族なのも、変なパパママなのもわかってる。家から出れないし、存在すらもバレちゃいけないママに、普通に働いてお仕事もしてるけど、ママの事になるとちょっと変になるパパ。普通のお家はこんなのじゃないって、小学校に通い始めてから知った。でもこれがいつもの光景なの。
でもこういうの軟禁?って言うんでしょ?
でも、パパにとってママは1番大事なものなの
だからね、きっとね、大切なものは他の人にバレちゃわないように仕舞わなきゃなんだよ。大事に大事に自分の傍に置いて周りから隠さなきゃなの。
私も、パパとママが大事だよ。でも、この大事とは違う気持ちなんでしょ?
私も、パパにとってママみたいな存在ができたら、大切に仕舞わなきゃなんだね。
コメント
3件
待って久しぶりに見たんですけど最高です‼️えーっと名前はりさことか!
まだ続く。二人の馴れ初め編とか(?) この子供についても書きたいにぇーー お名前勝手につけちゃってください 男でも女でもええで