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私の憧れ、嫌な過去や残酷な現実もその全てが香ちゃんのおかげで少し明るい。それが私の前を向くための力となった。だから私は少し私が好きになった。

「おっはよぉ〜!」

外から声がする。もちろん香ちゃんの声、私たちは今日私の家で映画パーティーをしようと約束し、朝早くから集まった。玄関に向かうと既に理央さんが香ちゃんを案内していた。

「こちらでございます。」

「えっ?メイドさん!?めっちゃ可愛いじゃん!いいなぁー。」

「光栄でございます。」

もう理央さんは立派なメイドだ、アニメのようにスカートの両端を持ち、軽くお辞儀をした。

「おはよう、香ちゃん。」

「うん!早速みよっか!何用意してくれたの?」

「この、『さよなら私と私の全て』って言う映画、なんかこれしかなくて、見たことはないんだけどね。」

「おぉ!泣けそう!」

そのあと私たちはその映画を2時間半続けてみた。香ちゃんと肩を並べて、クッションに座り、前の机に理央さんが作ってくれたクッキーと用意したお茶が並んでいた。

時には顔を合わせ笑い合ったり泣いたり、微笑みあったりする。最後の方はそんなこともせず2人とも真剣に映画を堪能していた。クッキーを食べ進める手が止まり気づけばエンディングが流れていた。

「いゃぁー、よかったよかった。」

香ちゃんは頬を濡らしたまま少し上を眺める。「うん、、、、、。」私も鼻水を啜り頷く。

「どこが一番好きだった?」

香ちゃんはまだ映画の熱と悲しさを噛み締めながら質問した。

「最後の彼氏がヒロインのために色んなことして、でもやっぱり報われなくて、現実の悲しさに感激してるとこかなー。」

「感想が映画レビャーなのよ。」

「そうかな?」

私はそう言って残り1つのクッキーを口に入れる。後ろを振り向くと涙目の理央さんが目を逸らした。

「香ちゃんはどこが好きだった?」

「死んじゃったヒロインを彼氏が後追いするとこかなー、自殺って私、全くいいことだとは思わないし、されても全く嬉しくないけどそんなに私のこと思ってくれていたんだって思っちゃったり?」

「死にたい子って死ねないの。苦しくて悲しいんだけど死ぬ勇気って出ないんだよね。」

少し空気が凍る。今のは言わないほうがよかったのだろうか?

「私トイレ行ってくる!」

香ちゃんが空気を読んでくれた。本当にいい子だ。

「そちらになります。」

理央さんが案内し、トイレから帰ってきたあと香ちゃんが用意した映画を見て感想を言い合い、その日はお別れとなった。

私はそのあと一人で『さよなら私と私の全て』を見た。

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