テラーノベル
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#デジタルイラスト
ゴンザレスドス衛門
1,282
80
レベル87、Tropical Paradise
生存難易度、クラス生存可能
「南国の楽園」としても知られるLevel 87は、ピンク色のビーチ、
珍しく美しい色をしたヤシの木、華やかな色をした空が広がる 熱帯の島です。
海も通常の青色ではなくピンク色をしています。
時々ふと肌寒いそよ風が発生し、放浪者に安堵感と幸福感を与え、
問題への心配心を軽減してくれます。
島は約5平方kmに広がり、他の放浪者がレベルに到達するたびに
島のサイズは大きくなっていきます。
レベル87に出口は存在しませんが、あなたの命を狙う存在はいません。
気温は人間にとって適切なもので、居住可能です。
多数のコミュニティが存在し、生存者で賑わっています。
ここのレベルに到達できたあなたは、非常に幸運だと言えるでしょう
:
少し冷たい風が、頬を撫でた。 そろそろ戻らないと心配されるかもしれない。
海岸沿いに座って海を見ていたが、 一旦切り上げようと立ち上がった。
だが、意外にももう心配されるほどの時間が経っていたらしい。
「お前は、またこんなところに。
お前に風邪なんて引かせたら、アーベルにどやされるのはおれなんだからな」
「ごめんシス、もうそんなに経っていたとは」
シスが、持ってきてくれたらしいブランケットを私の肩にかけた。
ずっと寒いと思っていたから、ありがたかった。
でも、それは体温的な“寒さ”とは、また違うものだったらしい。
アーベル、お前がいないと寒い。
あいつはいつも「俺がいないとお前は早死にする」なんて言っていたが、
あながち間違いでもないのだろう。
風邪引いてこじらせて肺炎になって死ぬか、凍死するか、どちらかは知らない。
「はー、おれも早くリーネに会いたいな。あいつがいないと、馬鹿騒ぎできない」
「ああ、また4人揃って、ちゃんと話したいと思ってた」
訓練兵時代は、よく一緒になって街に繰り出したり、
夜まで心霊系の話をしたり、楽しくやっていた。
調査兵になってからも、たまにそういうことはしていたが…
壁を破られてからだ、あまり話せなくなったのは。
その後、それだけでは飽き足らず、私達はまたこんな災難に巻き込まれた。
Back rooms…レベル1の人は、そう言っていたか。
「じゃ、先に戻ってるから。お前もさっさと来いよ?」
「まあ、少し寄り道してから」
「するなよ…」
そう言うシスの顔は、なんだか母親みたいで笑えてくる。
ここにアーベルもいたら、馬鹿みたいに笑えたかもしれない。
遠のくシスの背中を見ながら、私は右腕に視線を落とす。
手首の下は、元からそこに何もなかったみたいだ。
何もなかったみたいに、綺麗に切断された部位に包帯が巻いてある。
もうどこの階層でヘマしてやられたのかも忘れた。
あの日、アーベルが差し伸べてくれた手を、掴んだ手。右手。
あの日、ハンジさんと握手した手。右手。
あの日、ニファが絆創膏を貼ってくれた手。右手。
いつも、色々なものをスケッチした手。右手。
…いつも、アーベルと繋いだ手。右手。
もう、あいつの体温を思い出せなくなるような気がして、ひどく会いたくなって。
でも、探しにも行けない。出口のない楽園、それがこのレベル87。
「今度会えたら、左手でお前の手を握りたいから」
:
レベル87に、出口は存在しません。
コメント
2件
ちょっとモブリットとアーベルの距離感近すぎたかな? けど、近すぎるくらいがふたりは丁度いい気がする。 前々から言ってるけど、湿度高めの友情というか。共依存というか。 シスとリーネも会わせてあげたいけど、どうなるかな。 自分でも、分からないまま書いてる。そもそも息抜きのつもりで書いてるから、 物語の落とし所というか。全く考えてない。
うわあ、ここ……綺麗で平和な世界に閉じ込められてるのが逆に辛いですね。ピンクのビーチも心地よい風も、全部“帰れない”っていう事実を際立たせてる感じがして。右腕がないって描写、それだけで「どれだけ失ったんだろう」って胸が詰まりました。最後の「左手でお前の手を握りたい」に、諦めと願いが混ざってて泣けます。連載中の5話、続きが気になります。