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数年後______。
僕は小説家になった、彼女の夢を叶えるために。
『先生!』
呼びかけてきたのは僕の担当編集者の恵さん。
『頼んでたもの出来ましたか?』
「…ああ、出来たよ。」
『ありがとうございます!!中身確認しますね〜。』
そう言うと恵さんは僕の家のソファに座り込んだ。
しばらくすると
『中身確認出来ました!めっっちゃ素敵ですね!!』
という絶賛の声が聞こえた。
『せ、先生!?!?』
彼女がビックリしたように話しかけてきた。
ハッと我に返ると、僕は泣いていた。
彼女が、恵さんが、あの時の皐月さんと似ていて、皐月さんが生きているように見えて、泣いてしまったのだろうか。
「ああ、大丈夫、大丈夫だから。」
僕はそう言って涙を拭く。
そうして数分後、恵さんは僕に聞いた。
『先生は、こういうの、辞めたいとか思わないんですか?こんな、文字だけを書くっていう、退屈そうな仕事。』
眉を寄せて質問する恵さんに、僕は笑ってこう答えた。
「辞めたい、とは思わないよ、だって…」