「もうすぐハロフィンだな〜」
廊下を歩いていると1人の部下の呟きが聞こえる。嗚呼、もうすぐかと思っていたらある嫌がらせを思いついた。
中原中也と太宰治は恋人同士である。元々セフレという関係であったが中原16歳の誕生日でお互いの本音ぶち撒け(酒の力で)恋仲に至った、保護者である紅葉と森からしたらやっとかという感想である。
恋人同士になってからデートはするものの二人の間に甘い空気など出来るはずもなく、特に変わったことはない。否、中原が照れる事が少しだけ多くなったかもしれない。
そんな訳でどこぞのバカップルでは無い間柄であっては絶対に中原はお菓子を用意する。それをされてしまうと太宰はイタズラが出来ないので用意したお菓子を盗り、当日慌てふためく中也にイタズラをしようという作戦だ。
目的を決めると行動は早い、太宰は中原の予定を頭の中で呼び起こし中原が執務室に居ない時間を確認する。1番早くて後30分、もし菓子が無かった時用のプランBを考えておく。勿論中原に言われた時の為に菓子は用意しておく
30分後、中原の執務室に行くとパッと見は菓子が見当たらなかった。だがここからが太宰の本領だ。
棚の中、冷蔵庫、寝具の下、衣服の中、鍵がついてる場所、隠せそうな場所は全て探した。そし太宰が見落とすことはまず無い。となれば中原が奪われないように自分自身で持っている可能性もある、そうなれば中也の家に深夜に凸るだろう。
時は進みハロウィン前日の深夜23時、太宰はピッキングで当たり前のように中原の家に不法侵入する。
「手前ェ不法侵入すんなッつってんだろ!」
「はいはーい、今日もキャンキャン吠えるねぇ」
こうして煽ると中原は怒りで顔を真っ赤にし、冷静を保てなくなる。ここからプランBの作戦決行だ。
「あ、ねぇ中也。甘い物食べたい」
「はァ?いきなり何言ってんだ、ある訳ねぇだろ」
「…出してくれないと騒ぐよ?近所迷惑になってしまうねぇ」
中原は周囲に迷惑をかけたくない性格の為、こういう手の脅しには弱い。あとひと押しだ
「でも菓子なんざねぇよ、」
「それじゃあ騒ぐからね?いい?」
「ちょっと待て!今から作る」
「待てない」
「…あ、甘いもんあったわ」
太宰の目がキラッ、と光る。
「早く出して!」
「……ほらよ、、」
中原が控えめに渡したのは丁寧に包装された菓子、中にはかぼちゃのカップケーキ。これは太宰の勝ちか。
太宰は包装を雑に解き中のカップケーキを取る、そのまま無言でひと口かじると太宰の目が見開かれた
「…口に、合わなかったか?」
「いいや、とても美味しいよ。」
太宰は中原に口付けを送ると頭からぼふん、と湯気が出るのではという程照れていた
「中也これくらいで照れすぎじゃない?」
「五月蝿ェ、吃驚しただけだ…」
少し訂正しよう、二人の間には甘い空気が嫌という程漂っているらしい。
そしてどうこうしている内に日付は超え、それを確認した太宰は中也に向き直る。
「トリック・オア・トリート、お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうよ?♡」
そこら辺の女子なら間違いなく落ちるような妖気な笑みを乗せ中原にそう言う。太宰の頭の中では慌てふためくか殴られるかのどっちだろう、と妄想を繰り広げていた。
「……元から、ンなもん用意してねぇ」
その一言で太宰はフリーズする、言われたことを理解するのにたっぷり5秒はかかった。
「え、中也…それってつまり」
「ああああ!言うんじゃねぇ!!」
真っ赤になった中原は太宰の口を抑え口封じをする。これだけでも衝撃的だったのに、ここからさらに爆弾発言が投下される。
「…付き合ってから、一度もシてねぇだろ。」
「しょうがねぇから、手前のペースに付き合ってやる…」
俯きながらぽつりぽつりと言葉を零す中原の姿はとても美しく、オタクの発狂ものだ。
一方太宰はとても混乱していた。だが時間が経つにつれこの事態を吸収し、どう楽しむのかにシフトチェンジしている。
「覚悟してよね、中也」
𓂃 𝕙𝕒𝕡𝕡𝕪 𝕙𝕒𝕝𝕝𝕠𝕨𝕖𝕖𝕟 𓂃
コメント
2件
もう無視尊死する
めっっちゃ好きです_:(´ཀ`」 ∠):