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晴明は何となく恋人である恵比寿と普通にいちゃラブしたくなったが自分から誘うのは恥ずかしくなり、とある作戦を立てた。
湯上がりの晴明は、タオルを肩に掛けただけのTシャツと短パンといういつもよりずっとラフな格好でリビングに現れた。
まだ火照る頬に、しっとり濡れた髪が首筋に張り付いている。
恵比寿はソファに座って漫画雑誌をパラパラめくっていたが、チラと視線を上げると眉をひそめた。
恵比寿「ねぇ、晴明。よくそんな薄着でよくうろつけるよね。風邪ひきたいわけ?」
バサッ、と漫画雑誌を置いて立ち上がる。
晴明は内心(えぇっ….気付かないの…..?)とガッカリしながらも、表情には出さずに小さく笑ってみせる。
晴明「って、お風呂上がりなんだし……暑いしね……」
恵比寿「言い訳しないで。ほら、座って。髪ぐらいちゃんと乾かしてよね」
そう言われ晴明は素直にソファに腰掛ける。
すると恵比寿はバスタオルを奪い取り乱暴のようで優しい手つきで晴明の髪をゴシゴシと拭いた。
乾かしながら、自分が着ていたパーカーを脱いで「着て」と無理やり肩にかけさせられる。
恵比寿「……..せめてこれぐらい着て。体冷えちゃうでしょ?」
パーカーの温もりに頬が赤くなる晴明。
でもその赤みの理由を恵比寿は気づくはずもなく、最後まで髪を乾かし終えると満足げに「よし」と頷く。
晴明「もう、寝ます!」
髪を乾かしてもらったばかりの晴明は、頬をぷぅっと膨らませながらそう言ってソファからぴょこんと立ち上がるとそのまま寝室へ行ってしまった。
そんな晴明をポカンと見送る恵比寿。
恵比寿「……は?髪の毛乾かしてあげたのに何その態度!」
不満げにぼやきつつも漫画を読むことに戻ろうとした瞬間ふと考え込む。
恵比寿(……あれ?まさか…….)
晴明のいつもより大胆な薄着、妙に上目遣いだった視線、膨れっ面…….。
恵比寿「…….えっ、もしかして晴明…….」
一気に血が上るのを感じる。
恵比寿「は?…..ちょっ、待って晴明!寝ないでっ!」
気づいた恵比寿は慌てて寝室へ向かう。
扉の向こうでは、布団をかぶって背中を向けている晴明の姿が待っていた。
恵比寿(ちょっと、ちょっとそんな顔して…..ましてや僕を誘うようなことしといて普通に寝れると思わないでよね。晴明)
恵比寿は小さく息をついて、寝室のドアを閉めると晴明の布団の端をそっとめくった。
布団の端をめくると晴明はきゅっと目をつむって、まだ背中を向けたまま。
耳まで赤く染まっているのが恵比寿の視界に入る。
恵比寿「…..晴明」
恵比寿は布団の中に膝をついて、無理やり晴明の肩をつかんでは自分の方に向かせた。
案の定、晴明の頬は真っ赤で、唇を少し尖らせている。
恵比寿「……なに、その顔」
晴明「なんでも、ないです……」
小さな声で言いながら視線をそらす晴明。
恵比寿は、ため息をついてから晴明の頭をくしゃりと撫でた。
恵比寿「……ったく….ねぇ、晴明。そういうのはちゃんと口で言えばいいのに……」
晴明「…..だって」
恵比寿の胸元をきゅっと掴む晴明。
潤んだ瞳で一瞬こちらを見て、それからまた視線を落とした。
晴明「……恥ずかしいじゃん。そんなの…..」
その一言に恵比寿の心臓がドクンと跳ねた。
恵比寿「あーもう….ほんっとに、晴明…..お前ってやつは」
恵比寿は晴明の顎を軽く持ち上げて、逃げるように伏せた顔を正面に向かせるとゆっくり唇を重ねる。
驚いたように晴明の体が小さく震えるが、すぐに大人しく目を閉じて恵比寿に身を委ねた。
唇を離すと晴明はまだほんのり不満そうに唇を尖らせている。
晴明「……気づくの遅いです」
恵比寿「それは、ごめんってば。でもこうしてくっつきたかったんでしょ?」
晴明は少しだけ恥ずかしそうにでも嬉しそうに頷いた。
晴明「……うん」
恵比寿はもう一度小さくため息をついて布団の中で晴明を抱きしめる。
晴明はくすぐったそうに笑いながら、そっと恵比寿の背中に腕を回した。
恵比寿「次はちゃんと言いなよ。晴明」
晴明「…..検討します」
いたずらっぽく返す晴明に恵比寿は苦笑しながら、その頬にもう一度キスを落とした。
キスのあと晴明は布団の中でそっと目を閉じる。
恵比寿はその柔らかい髪に頬を寄せ、ぽつりと小さく呟いた。
恵比寿「….恥ずかしがってるのもかわいいけど、僕以外には絶対やんないでよ」
その言葉に晴明はくすっと笑いながら「わかってますよ」と眠そうに囁く。
けれどその夜、二人が眠りについたのは、ずっとずっと後のことだった。