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おれの席は、彼の後ろなのが、唯一の救いだと思う。だって、後ろの席ならば、いくら存在感が薄いおれでも、彼に存在くらいは覚えてもらえるから。
それに、黒板を見るフリをして、おらふくんの背中をずっと眺めても、誰からも怒られないし、気づかれないから。
(特等席だなぁ…)
ただ、彼の背中を見ているだけじゃ何も学べないので、成績が落ちたことは言うまでもない。
「なぁ、おんりー」
「ひゃっ、ひゃいっっ!」
ずっと背中を向いていたおらふくんが急に振り返ってきたものだから、驚いて変な声をあげてしまった。こんな至近距離でも、顔が整っていることが分かる。気づいたら見蕩れていそうだ。
「ははっ、可愛ええなぁ。案外ビビりなんやな、おんりー」
「び、びびりじゃないし、可愛くもない!」
おれが自分を好きだなんて知りもしないおらふくんは、急にそんな天然タラシ発言を言ってくるものだから、心臓に悪い。
嬉しいけど照れくさくて、不貞腐れた応えをすると、そんなおれを見て、おらふくんはまたケラケラ笑う。
その笑顔に、また心拍が乱れるのが、嫌でも分かるほど、おれの心臓はうるさい。
「そ、そういえば、なんで振り返ったの?」
「あぁ、せやった。この問題わからんくてさ、教えてくれへん?」
「いいよ」
なんとか平常心を取り戻し、おらふくんの分からない問題を教えるために、おれは自分の教科書をおらふくん側に向けようとすると
「あ、ちょい待ち」
そう言えば、おらふくんが席から立ち上がり、椅子を持ち上げる。そして、おれの真横に椅子を置いて、その椅子に腰を下ろした。
「えっ、ちょっ…!?!?」
「こっちの方が手間かからんやろ?俺もゲームのやりすぎで、あっこからやと見えへんしな」
そういう問題じゃない。ようやく平常心を取り戻し始めた心臓が、さっきよりも早く乱れ打ち、冷めそうだった顔も再び発火し始めている。温度差で頭がどうにかなりそうだ。その温度差でショートした頭では、到底勉強を教えられそうにはない。いや、それ以前に、勉強を教えるための語彙すらみつからない。
「ちょっと、近くありません…?」
このままだと、心臓がもたなくなってしまいそうだから、おれはおらふくんと距離をとろうと、目を逸らしながら言う。今のおれでは、合わせる顔がないから。
「…嫌やった?」
だが、おれが自分に好意を抱いてることも知らないおらふくんは、目を合わせようとしないで、距離を置こうとしたからか、おれが自分を嫌っていると捉え、寂しそうな声でそう言った。
その声に動揺して、おらふくんの顔を見れば、明らかに眉を下げて悲しんでいた。
違う、そんな顔させたかったんじゃない。
「違うっ…!!ただ、近かったから、緊張しちゃって……」
「え?」
あ。と、気づいた時には、もう遅かった。
おらふくんがあまりにも悲しんでいたから、それを弁解したくて言ってしまった本音だったが、流石に直接的すぎた。こんなの、自分に好意を抱いてます。といっているのと同じだ。恥ずかしさよりも焦りが出て、おれは冷や汗をかいた、なんだか少し気持ち悪い。
「…ごめん、ちょっと保健室行ってくるね 」
「え、急やな…もしかして、ずっと体調悪かったん。俺もついてこか?」
あぁ、だから嫌なんだ。
誰かに恋心を抱くのは、自分にも相手にも害が出てしまうから。
「大丈夫、一人でいけるよ……勉強、教えられなくてごめんね」
無理やり笑顔を作り、おらふくんの返事も待たず、おれは教室を出ていった。ちゃんと笑えてたかな、なんて、今のおれには考える余裕もない。
とりあえずトイレに駆け込み、個室に入り、おれはその場で座り込み、涙を流した。
「っ、ふぐ……ぁ゛っ…」
こんな一言で傷つくから、気にしてしまうから、相手に迷惑をかけてしまう。
面倒臭いって思われたかな、おれのこと嫌いになったかな。
何を思ってもネガティブな思考になり、涙は止まるどころか、流れ続けるばかり。本当、教室で泣く羽目にならなくてよかった。と、どこか冷静にそう思った。
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コメント
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ほんとに毎回毎回最高すぎます😭 恥ずかしがってる🍌チャンと 鈍感すぎる⛄️クンがほんとにてぇてぇ コラボ連載めちゃくちゃ参加したいです ですがめちゃくちゃ書くの下手です…
おっふ、良い… お師匠様の小説は毎回天才的なもう神ですね、 今お寿司屋さんにいてもう腹いっぱいで死にそうです(?) コラボ連載…してみたいけど下手だからなぁ…💦 もしも良かったら応募してみます()