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その青鷺は青太の真上を飛ぶだけだった。すると青太の真上まで来るとくーるくーると旋回し始めた。「なんだよう」青太はべそをかきそうになった。しかし、ぴーぴーとひなが小さく鳴き始めた。もう一度、ゆっくり上を見上げるとそこには太陽の光が当たり、神々しく輝く青鷺がいた。
おいで。こっちへおいで。
そう言われている気がして、青太は一歩一歩と青鷺へ近づいた。青鷺は王青鷺神社へ向かっていった。王青鷺山の入口にありますが少しだけズレたところに王青鷺神社はあるのです。青太はそのままついて行った。青鷺は鳥居すれすれを波のようにくぐり、青太もそれについていった。そして、銀羽混じりの青鷺は祠の前へ飛んでいった。王青鷺神社は鳥居こそは小さく、ひっそりとした感じだが、案外広いのだ。
ギイィィィ…
祠の扉が勝手に開いた。ぼうっとするような不思議な青鈍色の光と金の光をまとって現れたのはとても大きな青鷺だった。普通の青鷺より二周りほど大きく、威風堂々としており、金色の冠羽がより素晴らしい。目は右目が金。左目が銀だった。青太が驚きのあまり固まっているとその青鷺がゆっくりとくちばしを開いた。「うぬが盗っ人山本青太か。」青鷺は言った。
しゃべった。青鷺がしゃべった。いや、これは夢だ。現実でこんなことあるわけないんだから。
青太はそう思うことにした。すると、その気持を察したように青鷺が言った。「そなた、これを夢だと思っているな?」この青鷺の一言に他の青鷺たちが一斉にこちらを、キッと強く睨みつけた。「だ、だだだって鳥が喋るわけないじゃん」しどろもどろになりながら言うと、青鷺は呆れた顔をした。「この姿を見て、我がただの鳥だと思うか?」「う…」「ふん。否定できぬようだな。では教えてやろう。我は王青鷺神社の御神体であり、神である。」「か、かみ…?」「そうじゃ。この王青鷺神社の御神体でもある。」「な、名前は?」青太は名前を聞くほど少し余裕が出てきた。「…教えてやってもよい。だが、まだ教えぬ。」「な、なんでだよ!」大きな声で言うと、青鷺の視線がシュン、と冷たくなった。「我の子を盗んだであろう?」「あっ…」青太はようやく思い出した。そして最初に盗っ人と呼ばれた理由も。「心当たりがあるようじゃの。では返してもらおうか」青太は反射的に、「嫌だ!」と言いそうになった。でもこの青鷺相手にそんなこと言ったらどんなことになるかわかったものではない。青太はしぶしぶヒナを渡した。「蒼王丸、蒼王丸!」青鷺は嬉しそうにヒナを受け取った。