赤 通信制に通う高校生桃 赤の担任
青 保健室の先生
通信高校の校舎に保健室があるのかわかんないけどまあ小説の世界なので!!!!!
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赤side
俺は通信制高校に通っている。
週に3日登校して自習や皆との共同課題をするんだけど、俺は中々クラスに馴染めず普段は一人で過ごしている。
今日は共同課題をする日。
共同課題と言うのは気になる職業を調べてプレゼンテーションをするという課題で、周りはチームを作って作成してる中俺は一人で作成している。
少し寂しいけど好きなようにこだわれるからそこまで嫌じゃない。
少しの眠気を感じながら学校へ向かった。
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学校につき席に座りスマホをいじっているとクラスメイトが増えていき周りが騒がしくなる。
桃『はーい、みんな席ついて』
桃先生の合図でみんなが静まって次々と今日やることの説明をし始めた。
桃『赤瀬ー』
赤『はい!』
桃『明日までに完成だぞ、、ってもうほぼ完成してるか』
赤『うん、もう完成で大丈夫です!』
桃『じゃあプレゼン用のWord作っといてな』
赤『ぁ、はい、!』
そうだ、忘れてた。
プレゼンしなきゃなんだ、。
赤『はぁ、』
自分の席に着いてパソコンを開いたもののため息がとまらない。
俺はすごく人前に立つことが苦手だ。
1体1では話せても、かしこまった場所だと上手く話せなくなる。
例えば、職員室。
ドアを開けると一斉に向けられる先生たちの視線がとっても苦手で喉がきゅっと詰まって声がでなくなる。
入学してから頻繁に職員室へ向かうが先生の名前を呼べない俺のことは認知してもらっているのか最近は顔を覗くと桃先生が近ずいてくれるようになった。
そんなことを思い出しながらWordにプレゼン用の文を打っていく。
話すことは嫌いじゃないためスラスラと文ができていく。
黙々と作業しているとものの2時間程度で完成してしまった。
視線が怖い。
俺の話を聞いてどう思われるのか怖い。
上手く文字を読めるか怖い。
そもそも声が出なかったらどうしよう。
不安が一つ二つとどんどん増えていく、
<とんとん、>
赤『…ッ?』
桃『大丈夫か?』
桃『保健室いく?』
俯いてた俺の様子に気付いたのか声をかけてくれた。
俺はパニック障害でもあるからか、先生達はよく俺の様子を伺ってくれる。
赤『…、』
まただ、声が上手く出ない。
この質問に対してどう応えたら桃先生は良く思うだろうか、とか考えていると上手く声に出して答えられない。
この無言な時間も桃先生の無駄になっていて申し訳なくなる。
桃『大丈夫大丈夫、ゆっくりでいいぞ』
赤『…はひゅっ、ぐすっ、』
涙が出てくる。
どうしてこうなってしまうのだろう。
俺、迷惑でしかないじゃないか。
桃『薬は?持ってる?』
赤『はぁっ、はっ、ぐす、』
いっぱいいっぱいな頭で控えめに頷くと先生がいつも薬を入れてるポケットから薬を出してくれた。
桃『飲めそ?』
桃先生の手から渡された開封済みの液体状の頓服を口の中に絞り出す。
苦味が口いっぱいに広まったあと、薬を飲んだ安心感からか少しずつ呼吸も落ち着いてきた。
少しずつ頭がすっきりしてきて周りを見るとクラスメイト達が俺を見ていて、視線が全て怖かった。
桃『眠くなる前に保健室いこ』
赤『、こくっ、』
副作用で眠気がきちゃうことは保健室の先生から聞いているらしい。
少し先を歩く桃先生の後を必死に着いていくと保健室へ着いた。
桃『しつれーしまーす』
青『はーい』
先生がノックしてドアを開けると共に保健室の先生の声が聞こえてきた。
青『お!赤くんどうした?』
赤『…ッ、』
先生の視線も怖い。
俺にどんなことを思っているのか、分かってしまえばいいのに。
桃『発作ぽくなってたから薬飲ました』
青『そっか、了解!』
桃『早退しちゃってもいいし、もし戻って来れそうだったら教室きな』
赤『こく、』
桃『じゃ、よろしくな青』
青『はーい』
ガラガラとドアを鳴らして桃くんが教室へ戻って行った。
ぐるぐると頭の中で色々な思考が回っていく。
自分の鼓動がうるさい。
俺をここまで連れてくるのも桃先生の大切な時間をとってしまったわけで、今だって話せない俺をめんどくさく思っているかもしれない。
赤『…ぐすっ、うぅ、』
青『どしたどした、とりあえずこっちおいで?』
青先生にベッドへ連れてきてもらった。
青『靴脱げる?』
靴を脱いで布団の上に座るとその隣に青先生も座ってくれる。
青『今日はどうしちゃったかな?』
赤『…ッ、』
青『うーん、何かしんどかったんだよね、』
青『先生赤くんが困ってること知りたいなぁ』
青『何度も伝えてるけど、僕は赤くんの味方だよ。』
青『めんどくさいなんて思わないからね』
青先生に話を打ち明ける度に言われるこの言葉。
この言葉を聞くと喉の締まりが少しずつ治まってくる。
赤『ぁッ、あの、ッ、ぅッ、』
吃って中々喋れない俺の背中をさすってうんうんって聞いてくれる青先生に甘えてプレゼンのことを話してしまった。
こんな事で、って思われるかな。
いつも話すの平気なのにこういう時だけ我儘だって思われるかな。
青『そっかぁ、』
青『それはきついね、』
赤『どうしよう、ッ』
青『先生には相談したことある?』
先生っていうのは多分俺が通ってる精神科の先生のこと。
赤『話した、本当に無理そうだったら辞めなって言われてる』
青『そっかそっか、』
青『桃先生には自分で言えそう?僕が言った方がいいかな?』
赤『、、、』
どうしよう、どうしようどうしよう、
わからない、。
青『僕から伝えとこうかね』
赤『こく、』
青『赤くんそろそろ眠いでしょ』
眠いのバレてた、
青『今は寝ちゃいな』
青先生がベッドのカーテンを閉めたのを合図に俺は眠りについた。
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青side
赤くんが眠りに着いてデスクワークをしながら伝えられたことを思い返す。
場面緘黙とはまた違うんだもんなぁ、
赤くんの場合緊張からくるものだろうから、僕が根気強く想いを伝えたように少しでも安心すれば喉の締まりも治るんだけどね、。
この辛さは赤くんにしかわからないし、僕ができることは安心させてあげることと赤くんが少しでも過ごしやすい環境にすることだけ。
お薬も最近増えてるらしいし、少し心配だなぁ。
そんなことを考えていると空きっぱなしのドアから人が入ってきた。
桃『青ー、赤どんな感じ?』
青『もー、わんちゃん赤くん起きてるかもなんだから呼び捨て辞めて』
桃『ごめんw』
青『発表は難しそうだね』
桃『やっぱり発表に悩んでた?』
青『うん、視線が怖いってさ。上手く声が出なくなるから出来ないってさっき話してくれたよ。』
桃『そっか、とりあえず青に心開いてくれて良かった』
桃『ただ、あか出席日数やばいから成績的に発表してもらわないとやばいんだよなぁ、』
青『そっか、』
桃『赤が出来そうな形考えてみるわ』
青『うん、お願い。僕も考えてみるよ』
桃『うぃ』
桃『あ、これ赤の荷物だから起きたら渡しといて』
青『分かった!渡しとくね』
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赤side
意識が浮上して瞼を開くと青先生の顔が見えた。
青『ごめんねー、もうすぐ下校時間だからさ』
赤『すみません、』
青『んーん!大丈夫だよ』
青『気分どう?気持ち悪いとかない?』
赤『大丈夫です、』
青『1人で帰れそうかな?お母さん呼ぶ?』
赤『1人で帰れます、!』
青『そっか、気を付けるんだよー?』
少しソファーで雑談をしたあと俺は家へ向かうため保健室を出た。
・
次の日
今日も共同課題の日か、。
そんな憂鬱な気持ちでカレンダーを眺める。
ごはんを食べてゆっくり支度をして玄関を出る。
出る頃には既に遅刻確定な時間だった。
青先生ちゃんと話してくれたかな、。
そんなことを思いながら学校へ向かった。
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廊下を歩き教室の前まで来たが中々ドアを開けれない。
桃先生に会いたくない、そう思ってしまった。
この学校で一番すきな先生なのに。
逃げ癖がある弱い自分が大嫌いだ。
ドアの前で立ち止まっているとドアが勢いよく開いた。
桃『お、赤きてたの』
赤『こく、』
桃『教室入れそう?』
赤『入れます、』
桃『俺プリント職員室から取ってきたらまた戻ってくるから先入ってな』
そう伝えて俺と反対方向に進む先生の後ろ姿を眺めてから教室のドアを開けた。
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やることが無いため自習をしていると桃先生がまた近ずいてきた。
桃『発表のことなんだけどさ』
ぎゅっと喉が締まるのが分かる。
桃『俺とほかの先生2人の前でやるのはどう?』
桃『ほかの先生っていうのは、、青先生とか黄先生とか』
話さないと、ちゃんと。
なのに声が出ない。
赤『…こく、』
桃『うし、じゃあみんなのプレゼンが終わったらまた声かけるな』
そう言って去っていった。
なんで頷いちゃったんだろう。
出来ないのに返事をした自分の行動に腹が立つ。
周りを見渡せば仲間と発表の練習をする人達が沢山いる。
俺だけ一人ぼっち。
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別日
今日は皆がプレゼンテーションする日。
学校へ着いてソワソワしながら席に着いていると、チャイムの合図でプレゼンテーションが始まった。
チーム毎に評価を付けていく。
みんな発表してるだけですごいから皆5点中5点つけちゃってるけどまあ、いいや。
「これから職業紹介をはじめます!」
あの子話すのが苦手な子だ、、
そっかチームだから代わりに話してもらってるのか。
いいな。
俺もチームを組めばよかった、。
そんなこと考えているとあっという間に全員の発表が終わった。
桃『みんな評価用紙前にまわしてー』
HRが終わってみんな帰宅準備をはじめ俺もリュックを背負おうとした時、桃先生に声をかけられた。
桃『明後日の放課後、発表で大丈夫そ?』
赤『、、、』
大丈夫って言われたら大丈夫って答えなきゃ、
赤『だぃ、じょ、です』
桃『無理しないようにな』
はい、と返事をしてその日は家へ帰った。
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2日後
明日発表だって考えたら中々寝れなくて一睡も出来ず起きる時間になってしまった。
怖くて支度ができない。
また逃げるのか、?
いじめを言い訳に休んでた学校、やっと行けるようになったのに。
赤『、、ッ』
このままじゃダメなことは分かってる。
これから社会人になった時にこんなんじゃ上手くいかない。
なのに体も頭も上手くコントロールできなくて、
苦しい。
死にたい。
消えたい。
・
気がつけば腕や首が血だらけになっていた。
3ヶ月も辞められて凄いねって褒められたばかりなのに。
過呼吸になってはベッドに倒れての繰り返し。
やっと落ち着いてきてスマホを開くともう下校時間を過ぎていた。
赤『はは、』
呆れから来る乾いた笑いと一向に止まらない涙。
もう、学校行きたくないな。
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桃side
赤が学校を無断欠席したのはこれで4日目。
やはり発表が重りになっているのかどうなのか。
さすがに心配になって電話をかけると赤のお母さんから聞きたくない話を沢山された。
ベッドから出られず引きこもってると。
自傷も酷くなってるようで俺が何を話したのか責められた。
俺はそんな傷付くような話し方をしてしまったのだろうか。
赤の医師に電話で伺うと赤は今思い込みが激しいらしい。
相手にどう思われているのか、自分自身で勝手に決めつけ苦しめてしまうと話された。
今俺ができることは学校で赤を待つことだけ。
学校用のメールツールで赤にお詫びの文を送って業務に戻った。
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赤side
あれから何日経ったのか分からない。
ごはんも食べてないし、風呂にも入れない。
お母さんが心配して俺を先生の元へ連れていこうとしたから全力で拒否したことは覚えてる。
何日も開いてないスマホを開くと通知が来ていた。
意を決して開くとそこには桃先生の文が綴られていた。
青先生と似たような言葉が並べられた文に少し心が揺さぶられた。
また、頑張ったなって頭を撫でて欲しい、。
そんな些細な願望を胸にずっと触っていないドアノブを握り足を踏み入れた。
シャワーを浴びるのは久しぶりで傷口にすごく染みたけど全部どうでもよかった。
半袖を着るの気が進まなかったしそれこそ病みアピだとか思われそうで怖いけど35℃の真夏日に長袖は死んでしまう。
まだよく分からない心境な中、学校へ向かった。
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桃side
4時間授業中3時間目が終わろうとしている。
みんなに配る用のプリントを取りに職員室へ向かおうと教室を出た時、ずっと見たかった姿があった。
桃『あか、?』
赤『…ッ』
腕も首も傷だらけで心做しか痩せこけてた気がする。
桃『来てくれてありがと、』
桃『保健室いくか?』
赤『こくっ、』
桃『よし、おいで』
・
保健室へ付きドアを開く
青『はーい、…って赤くん!』
桃『来てくれた』
青『来てくれてありがとう~!』
青『頑張ったね』
赤『…、』
桃『俺教室戻らなきゃだから放課後まで待てるか、?』
赤『こくっ、』
桃『ん、おけ、またここに来る』
青『赤くん手当しよっか』
赤『大丈夫、です』
青『うーん、菌入っちゃうよ?』
赤『ごめんなさい、、』
青『大丈夫大丈夫、めんどくさいって思ってないからね』
優しく声掛けしながら赤くんの腕に包帯を巻いて首元には大きめの絆創膏を貼ってあげた。
手当が終わる頃には赤くんの瞳から涙がぽろぽろと流れていた。
青『今日は来てくれてありがとうね、』
赤『ぐすっ、』
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赤side
桃くんに会って保健室に連れてかれて流れるように手当をされた。
いろいろな不安が押し寄せる。
桃先生とちゃんと話せるかな、。
無断欠席なんか続けちゃった俺ってそもそも進級できるのかな、。
青『なにも考えなくて大丈夫だよ。』
青先生の一言一言が心に響いて涙が止まらなくなる。
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桃『失礼しまーす』
青先生に慰められていると桃先生が入ってきた。きっと放課後になったんだな。
赤『…ッ』
桃『赤ごめんな、前は無理なお願いして』
そんなことない。
俺が断れなかったのが悪い、。
赤『ちがッ、ごめなさ、』
桃『自分が悪いって思わなくていーの』
赤『ぇ、、?』
桃『いつも俺の事思ってくれてたんだな』
桃『俺は赤のこと生徒として好きだしネガティブなこと思わんよ』
赤『ッ、ぐすっ、うぁ、』
桃『大丈夫大丈夫、』
桃先生の言葉で全部全部緊張が解けていく。
喉の締まりもいつの間にか治っていた。
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赤『発表、したいです、』
我ながらに馬鹿だと思う。
でも、今なら頑張れる気がした。
桃『ほんとに大丈夫か、?』
赤『でも、今がいい、です、我儘でごめんなさい、』
桃『そっか、よし、やろ』
青『僕も聞いていいのかな?』
赤『こくっ、』
青『ほんと!楽しみにしてるね』
桃『じゃあパソコン取ってくるから待ってて』
桃先生がパソコンを取りに行って数分、再び不安が押し寄せてきた。
赤『はっ、ふぅ、』
青『大丈夫大丈夫、深呼吸して?』
赤『はぁ、ふぅー、、』
青『そうそう!上手だね』
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桃『おまたせ』
赤『…ありがとうございます、』
パソコンを開き自分のスライドとWordを開く。
後は話すだけ。
赤『ぁ、ッ、ぅ、』
やっぱり声がでない、
青『大丈夫だよ、赤くん深呼吸してみて?』
赤『すぅ、ッ、はぁ、、』
青『僕の名前呼んでみて?』
赤『ぁお、せんせ…』
青『そうそう、!』
赤『ふぅ、、』
よし、行ける。大丈夫。
赤『こ、これから、発表をッ、はじめます、』
スラスラと読めなくて発表とは程遠いけれど、青先生と桃先生の声掛けのおかげでなんとか最後まで話し終えれた。
赤『こッ、これで、発表をおわります、、』
青『うん!完璧!!頑張ったね!』
桃『よく頑張ったな』
そう言って桃先生が頭を撫でてくれた。
そう、これをして欲しかった。
ずっと欲しかった行動を頑張った後にされるってこんなに嬉しいんだ、。
桃『また明日からも学校これる?』
赤『はい、!』
end
いや久しぶりすぎる
スランプすぎる
コメント
1件
おひさしぶりの投稿ありがとうございますт т 今回もすごく良かったです🥹🥹