※なんか2年生になってます
※モブがでてきます
※ゆるゆるです。
登場人物
白澤 チャシロ
糸操 トビ
砂東 蓮
五十嵐 心
サバトラ
清滝 龍
チャシロくん→A組
トビくん、清滝くん→C組
五十嵐くん、砂東くん、サバトラくん→B組
「はぁ〜ぁ。 」
少し肌寒い中庭でイツメンと昼飯を食べていると サバトラが溜息を付いた。
「どうしたの?」
「ん?いや、最近さ 」
「うん」
「トビと話してたらさ、トビの友達かしんないけど」
「すごい睨んでくる人いるんだよね」
「あーいるよな普通に面倒くさい」
「俺すげー苦手」
「わ、わかります…正直怖いです…」
五十嵐と砂東、清滝も経験があるらしい
砂東は面倒くさがっており、サバトラと五十嵐は既に苦手意識があるらしい、清滝は怖がっていた
俺は会ったこともないし話したこともないからただ首を傾げるだけだった。
「チャシロは?」
「知らない、会ったことないかも」
「マジか」
「気をつけた方がいいよアイツ」
「絶対何かやらかす」
「あれ、誰だっけ?名前知ってる?」
「女子?」
「いや全然男」
「どんな見た目?」
「長ぇ前髪で、白髪で」
「前髪分けてるよな?」
「そうですね」
「少し太ってて」
「あー、あとバスケ部」
「あー、斎藤、じゃね?」
「え?」
「C組の斎藤 拓哉」
「えー、知らないなぁ」
「清滝、知ってる?」
「…あ、わからないです」
「同じクラスって事ぐらいしか……」
「何で同じクラスの清滝が知らないのにチャシロの方が知ってんの…?」
サバトラに引かれた。失礼だな
そもそもクラス分けの時に名前を覚えればいいだけだ。
「あ、いた」
「おー!おかえり、トビと…」
「斎藤……」
五十嵐がげんなりした声で言った。
苦手なの少しは隠せよ。
トビの手元に何も無いことに気づいた
お昼ご飯ある?と聞くとトビは「ない」と答えた。
購買に行ったが弁当がなくパンもなかったらしい。皆はもうお昼ご飯は食べ終わっており
俺は一口しか食べてないサンドイッチがあった。
「あ、トビ食べかけだけど…白身魚のサンドイッチあるよ?」
「え、いいの?」
「うん、食べかけでごめんね」
「いやいいよ!全然!むしろチャシロの食べかけは嬉しい」
「…」
「やべ、美味すぎる!チャシロの食べかけだからかな?」
「ははWきっしょW」
「トビは変わんねぇなー!W」
「あ、斎藤は?ある?」
「ある」
「そっか」
「……」
なにか凄く目線を感じる…かと思ったら
トビだった
どうやら、俺の飲みかけのオレンジジュースを飲みたいらしい。
「……飲む?」
「飲む」
即答だった
トビの食い気味の飲むに砂東と五十嵐が吹き出した。 サバトラは呆れており
清滝は羨ましそうだった。 嘘 だ ろ?
「っはははぁW」
「ぶはっW」
「食い気味すぎだろ…」
「いいなぁ…」
「どーよ?最愛のチャシロからもらった、オレンジジュースのお味は?」
「甘いし、美味い」
「それに、少しだけストローにチャシロの唾液が残ってて更に美味し…」
「あー!!!もう黙れ!!!」
「っあっははははっW」
「っひー…Wトビ面白すぎ」
「はぁ〜ぁ…呆れる」
「今度俺にもください!チャシロ!」
「え〜…」
「清滝はダメだ、俺が許さん」
「え〜!!トビくんずるいですよ!」
「ぁーWやめやめ!」
「腹痛いW何でお前らチャシロの取り合いしてんだW」
「糸操!」
「ん?」
斎藤が大きな声でトビを呼ぶもんだから
少しだけ驚いた。サバトラと五十嵐はあーあみたいな顔をし始め、砂東は笑っていたのがすんっと真顔になった。そして明らかに面倒くさみたいな表情を表した。珍しいな
清滝は怖がっていた。
「俺のコーヒーもいる?」
「えぇ、でも悪いよ」
「いいから!」
「んー……いや!いいや」
「何で!」
「いや、だって俺チャシロ以外の飲みかけとか食べかけあんまりいらないんだよな」
「むしろ苦手、だからごめんな!」
トビが謝る。
そうすると斎藤は顔を真っ赤にした
「何で何だよ!?!?俺がやるって言ってんのに」
俺以外の皆は、知るかよという顔をした。
俺は疑問しか頭になかった
どうしてそんなに飲んで欲しいのか
気づいた時には斎藤に聞いていた。
「え、となんでそんなに飲んで欲しいの?」
「え?」
「え?」
斎藤は驚いた。
え、じゃあなんで無理矢理飲まそうとするんだよ…。新たな疑問が生まれた
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。
「あ!やべ!、次俺移動教室だ」
「おー、チャシロまたな」
「チャシロ、じゃな」
「今日も迎えに行くわ」
「おう!トビ、待ってるからな!」
やべぇ!急がないと課題を増やされる!
斎藤の事についてなんて考えてる暇なんてなかった。
「やっと授業が終わった〜〜」
「チャシロー!」
「あ、トビ」
「帰ろ♪」
やけにニコニコしている
どうやら、機嫌がいいみたいだ。
「何でそんなにニコニコしてるの?なんかあった?」
「ん?いや、チャシロといるのが嬉しすぎて、ニヤけが止まんなくて♪」
「なっ…!?」
くだらない理由だった。
トビは前からこういう所がある。
俺が恥ずかしがるセリフを言うのが好きだ。
そんなので恥ずかしがる俺も大概だが…。
言う方が断然悪い!
「お、チャシロとトビ」
「おー!五十嵐、砂東!サバトラ!」
「今から部活?」
「そう」
「俺は休み」
「俺も休み」
五十嵐がやったー、と小声で言った。
何で小声だW
「地区大会が近いからきついんだよな〜」
「大変だなー」
「あ、良かったら4人さ、部活見に来ない?」
この学校、才能高校は部活の見学は出来ないはずだ。
それなのに見学できると砂東が言う。
「あー、何か今はいいらしいぞ 」
「なんでかは知らんけど」
「マジかよww」
「俺行こーかな、暇だし」
「じゃあ俺も行こ」
「トビは?どーする?」
「行く」
「サバトラは?」
「あー、ごめん、今からプーラと買い物」
「は?デートかよ死ねよ」
「黙れ非モテやろー」
「うっせぇ!ばーか!」
砂東が僻んでいるのをサバトラは棒読みでスマホを見ながら返す。
それに対し砂東はグチグチと言っている。
「ふん!行こーぜ」
「あそ、頑張って」
「おう」
何だかんだいって砂東もサバトラも仲良いんだよな。
微笑ましいなぁとおもっていると
「糸操!!!」
「あ」
斎藤が昼休みの時とは比べにもならない大声でトビを呼んだ。
「あの、バスケ部の見学来ない?!」
「あー、ごめん!」
「バレー部みる!」
「は!?何で!?元バスケ部って言わなかった?」
トビがやっていたのはバレー部だし!!!
「え、チャシロがバスケ部じゃね?」
俺がぼーっとしていると五十嵐が答え
「えっあ!そ、そうだよ!」
「中学の頃な!」
「はぁ!?そうなの?」
「身長低いから…バスケ部に見えない!」
失礼だな…こう見えてもダンクシュートを軽々と決めれるんだからな!
どうせ身長が低くてバスケ部に見えないですよ。
心の中でモヤモヤと愚痴を言っていた。
「俺はバレー部だったな」
「じゃあ、そういう事だからじゃあな!斎藤」
「まっ、待ってよ!」
砂東と五十嵐がしつけぇなぁと言いたそうなイライラ顔をし始めた。
トビは少しムッとしていた。
「じゃ、じゃあさ!チャシロ!チャシロだけでもいいから!」
「え?俺?」
「そう!」
「ぇ、でも砂東と先に約束したから明日じゃダメか?」
「明日はもうなぃの! 」
「いやあるよ」
イライラとしている砂東がため息混じりで答えた。
「で、でも!行こーぜ!な?」
「ぃっ…!いや!でも…」
強引に俺の腕を掴んできた。その手が力強くて痛い。
こんなにも俺に強引なのは、恐らく、俺がバスケ部の見学に行けばトビも絶対に来るという考えだろう。
それに俺は非力そうに見えるだから狙いやすい。それほどトビに来て欲しいのだろう。
この人、どれだけトビが好きなんだ。
「なぁ?」
「ぃやっ…でも、ごめっん行けな…」
「痛いっ!痛いから…」
「…やめろ斎藤」
トビ?いや違う。この柔らかいが力強い声は
五十嵐だ。普段あまりキレない五十嵐だが
あまりのしつこさに、プッツンと来たのだろう
「しつこいぞ」
「は、な、なんだ…よ…!?」
「…え?」
「行こう」
五十嵐が無理やり斎藤が掴んでいた手を剥がし
困惑している俺の手をしっかり握り体育館に向かって歩く。
砂東とトビもしっかりとついてくる。
だが、決していい表情ではなかった。
砂東はいつものギラギラ笑顔どこいったレベルの真顔でトビは申し訳なさそうな顔をしていた。
バレー部の部室に入り、五十嵐が優しく手を離してくれた。
「はぁ……流石に部室までは来ないだろ」
「だな」
「大丈夫?チャシロ」
「あ、う、うん」
「……一応見せて」
トビが強引に俺のパーカーをぬがし、制服の袖をめくる。
「うわ、手跡がくっきり…これは数日間戻らんぞ……」
「……」
「ごめんな、チャシロ」
「俺のせいで」
トビが謝ってくる。何でだろ
トビは悪くないのに。
「んーん、大丈夫。それに、あっちが悪いから。」
「でも」
「大丈夫だから、トビ、な?」
「…おう」
「…」
「よーし!もうこの空気やめやめ!見学行こーぜ!」
こういう時は切り替えが大事だ。
俺が仕切っていい空気にしないと。
そう思い俺は明るく振舞った。
砂東と五十嵐はいつものような笑顔になり、
トビはまだ少し不安そうだが、軽く微笑んでいた。
あの日から1週間が経ち、誰も斎藤のことなんか覚えていなかった。
テストが近く、勉強ばっかりだった俺らは気晴らしに屋上でお昼ご飯を食べていた。
先週よりかは暖かくなり始め、俺はまだまだ寒いが皆はもうカーディガンを着ていなかった。
それほど暖かいのだろう。すげえ
「はい、チャシロ」
「ん?何のパスタ?それ」
「きのこ」
「あ!やった!俺キノコパスタ好きなんだよね」
「1口いーい?」
「おう!」
「……はい、あーん…」
「いいよ、自分で食べるよ!」
トビは毎回あーんで俺に食べさせようとするから困る。
「おーおー、今日もラブラブだな」
「ヒューヒュー」
「末長く爆発しろ」
「うるさいっ!」
砂東、サバトラ 、五十嵐が冷やかしてくる。
トビもトビだ人前ではやめろって言ってるのに…!
俯いて頬を膨らませているとトビが顔を覗いてきた。
「チャシロ?」
「人前ではやめてって…あれほど…言ったのに!」
「ははW怒ってるのか?可愛いな 」
「可愛くない…!」
「ごめんごめん」
反省しろよばか。反省する気がない謝罪でもっと頬を膨らませた。少しでもトビにショックを与えなきゃ反省しない。そう思い呆れるように
「も、いいし、しらない」といった。
しかし逆効果だったようで
「いじけてるのか?チャシロー?」
「いじけてても可愛いなー!」
と言ってきた。ああもうダメだこの男。
もういいやと諦め、テストについて皆に話し始めた時。
「テスト何だけどさ」
「糸操!」
「……はぁああああ〜」
「またかよ…」
「…」
「ひぇ…」
斎藤がトビを呼んだ。
皆は溜息や呆れる声怯えるような様子をみせた。
「何?」
「今日さ、放課後寮で勉強会するんだけど」
「トビも来てくれないか?」
「あー、ごめん、俺寮入ってないし、今日は真っ直ぐ家に帰るつもりだから」
トビはいつものように優しく断った。
「はー?!何でだよ!最近トビさノリ悪い!変!」
「そうか?ははW」
凄く乾いた笑いだった。
しかし斎藤も懲りないな……逆にすごい
斎藤と目が合った。俺をジッと見たあと思いついたような顔をした。嫌な予感が…
やめろ!俺を巻き込むな!頼む!
その願いは叶うことは無かった。
「あ、もしかして!」
「チャシロに縛られてるのか?!」
「は?」
トビもみんなも戸惑いを隠せなかった。
「チャシロの束縛が強すぎて誘いを断るしかない!そうなんだろ!?」
「ったく!チャシロ!縛るのはいいけど少しは緩くしろよー!」
いや、**してねぇよ!**
そもそも付き合ってません! 何勘違いしてるんだ…!頭沸いてるのか!?
「違うぞ、チャシロは縛ってない」
「俺がこうしたいから断ってるだけだ」
トビがはハッキリと否定した。
だが、斎藤は話を聞かずまた俺を責めた。
「いいって!チャシロなんか庇わなくて!脅されてんだろ?」
「俺にはバレバレだからな!」
「俺がここでチャシロを説教してやる!」
「は…!?」
「何…!?」
腕を思い切り引っ張られた。
カーディガンがブチブチと鈍い音を上げている。やめろよ、ちぎれるだろ…
このカーディガンは俺にとって大事なカーディガンだ。なんせ、鐸から誕生日プレゼントとしてもらった手作りのカーディガンだ。
「やめろよ…!痛いよ!」
「黙れ!トビを束縛しやがって!」
「違うって言ってるだろ斎藤」
「いいんだって、トビ!たまにはガツンと言ってやんないと!」
「…!」
斎藤の腕が上がるのが見えた。
しかし、俺と斎藤の間にトビが無理矢理割り込み、トビは俺が背中に隠れるようにたった。
「しつこいぞ、斎藤」
「チャシロは縛ってないし俺も縛られていない」
「そもそも付き合っていないから」
「そうだよ、斎藤」
「トビとチャシロはギリギリ恋人じゃない
だから落ち着こ?」
「そ、そうですよ!しつこいです!」
トビと清滝とサバトラが弁明した。
それに続いて五十嵐と砂東も弁明してくれる。
流石に納得したのか、斎藤が落ち着いた。
しかし、凍りついた空気は落ち着かない。
「ま、まぁまぁ!それよりさ!」
「…」
「あ!今度この辺りで…ま、まつ」
「あー!チャシロくん達じゃん!」
「やっほ」
「ミケ先輩……」
「あれ?何この空気…?」
「さっっむ…」
「ところでチャシロくん達は何してたの?」
「あ、俺らはテスト勉強の気晴らしにお昼ご飯を」
「へー!いいじゃん!」
「そういう先輩は?」
「んー、友達と喋ってた」
「え?隣…誰かいるんですか?」
「んーん、いないよ」
「私のイマジナリーフレンドならいるけど」
「イマジナリーフレンド!?」
「あれ?見えない?おかしいなー…」
「あははW俺らには見えないみたいですW」
「そっかー、残念」
タイミングよく誰かと喋っていた先輩が来てくれた。先輩は凄い。
このような凍りついている空気でも先輩がくれば先輩の性格の緩さ、それ以上にはっちゃけた空気を持ってくるから助かる。
「はぁ!?変だよ!」
「え?」
「見えないものが見えるって!」
「自分が特別だと思ってる?W」
「おい!斎藤」
斎藤が先輩に対し失礼な態度をとったことに思わず砂東がブチ切れた。
そういえば先輩の事好きって言ってたもんな。
「いい加減にしろよ!」
「はぁ?何が?」
「あはWうける」
「砂東くんもぉいいよWなんか面白いしW」
先輩が止めに入るが砂東は止まらない。
「初対面の先輩に対して!敬語も使わずに!」
「知らねぇしそれに今の時代、先輩後輩かんけーねぇ!」
「痛いからその手どけろよ!センコーに言い告けるぞ!」
「落ち着いて……!砂東 」
「斎藤も」
あんまり、大事にしたくなくて、俺と五十嵐は一旦砂東と斎藤の距離を置こうと思い、砂東の腕を無理矢理にでも引っ張り屋上を後にした。
後ろからは斎藤の声が聞こえるが気にしない。
いつもはうるさいのに昼だからなのかは分からないが静まり返った教室につき、砂東の手を優しく離した。
「っ……クソッ!!!!」
「黙って聞いてれば…」
「流石にあれは酷いな、しかも初対面」
砂東が思い切り自分のバックを蹴り上げた。
いくら変人のミケ先輩だとしても、初対面で「変だね」は誰でも頭にくる。ミケ先輩は気にしてないみたいだけど……
砂東のイラつきに五十嵐もそれには頷いた。
どうやら斎藤が周りに言いふらしているらしい。
「トビは俺の見方」「砂東が殴ってきた」「チャシロはトビを束縛している」「ミケ先輩はかなりの変人」
等の悪い?噂をみんなに広めている。
ほぼ嘘じゃねぇか。
ミケ先輩に関しては本人も認めてるから変わりは無いけど……
挙句の果てには「トビは俺の事が好き」 とか言っているらしい。
それにはトビも頭を悩ませている。
トビだけじゃない。悪い噂を広められた俺らは当然誤解をされており、それを解くのに必死だ。
「まぁじ有り得ないんだけどぉ!あのキモデブぅ!」
数少ない女子友達のトビの事が大好きな七瀬は俺によく愚痴を吐くようになった。
「ちょぉしのりやがってぇ!今度あったら殺してやるぅ……!」
「あははW頑張れ」
「なぁにが『糸操は俺の事が好き、だから諦めてねデュフデュフ♡』だぁぁ!!」
「鼻息うるせぇえしくせェんだよおおお! 」
「まぁまぁ…ほら、牛乳飲んで落ち着け」
「うん」
「あとさぁ、チャシロぉ」
「?うん」
「トビくんが好きなのはぁ、私かぁムカつくけどチャシロであってぇ〜!」
「あのキモデブは100%ねぇに決ってんだろぉ!!!!」
「トビくんを知った口聞きやがってぇ!!」
「おいこら、ムカつくってどういう意味だ」
「マジありえなくないぃ?」
「これは流石に有り得ないよな」
「俺も被害にあってるし」
「はぁ!?マジでぇ!?」
「だから鐸ちゃんイライラしてたのかぁ」
「鐸が?」
「うん」
「えー!マジか!悲しい」
「鐸には笑ってて欲しいなぁ」
「おやおやぁ?」
「んなっ!やっぱ今のなし!」
「えー?どぉしよぉっかなぁ」
「やめろ!」
「はいはい、じゃあぁ、お願い聞いてぇ?」
「お願い?別にいいけど」
「1回あのキモデブぶっ飛ばして」
「はー!?ヤダよ!」
「聞くって言ったでしょぉ!」
「じゃあ、頑張ってぇ〜」
「ううぅ〜……」
無茶なお願いをされたものだ。
ぶっ飛ばすって、殴るってことだよな。
無理がありすぎる……
やっとテスト期間から解放され、7月に入った時。7月に入ったばかりなのにセミが鳴いていて、暑苦しい。
俺らは人目を気にせず、いつもの中庭でお昼ご飯を食べていた。
「あ、トビ」
「ん?」
「聞いていいのか分からないけど、斎藤どうなった?」
「あー、切ったぞ」
「お!遂に!?」
「もう俺らには関わるなって、言っといた」
「あー、よかった、てか逆に助かる」
「もうこれ以上チャシロ達に迷惑かけたくないからな」
「ごめんな、本当に……」
「いやいや、大丈夫だぞ!?」
「そ、そうですよ!糸操くんが頭を下げることじゃ……!」
「そうだそうだ!トビは悪くねぇぞ!」
「そうだね、俺も同意」
「うん」
「お前ら……」
「何っ!?」
「あっははははW」
トビが謝ったかと思えば、笑って肩を無理矢理組んできた。なんだコイツ
「あ、そーいえば」
「来週、駅前の公園でさ、祭りあるらしいよ」
「え!そうなんですか?」
「そっか、清滝は転校してきたもんな」
「毎年7月の初めに祭りあんだよ」
「そうなんですね」
「お前ら行く?俺は姉ちゃんのパシリで行くけど」
「俺は行きたいな、極力家にいたくないし」
「俺は…プーラが行くなら」
「うわ死ね」
「は?」
「俺は行ってみたいですね」
「チャシロとトビは?」
「んー…」
「俺は行く」
「え、マジで?」
「あのー、先輩に魕狩りの見張り頼まれてる」
「ああね」
「俺は…」
「……」
去年は皆と行ったが結局はぐれてしまい、トビに怒られた。
今年もそんな真似したくないな……。
俺はそう思っていた。
俺は昔から人混みが苦手でトビみたいにグイグイ進めるわけじゃない。五十嵐、砂東みたいに身長が高いわけじゃない。
なら…答えは簡単だ。
「俺はいいかな、行かなくて」
「えー、マジかぁ…!」
「…」
「トビ?どーした?」
トビが何故か頬をハムスターのように膨らませている。拗ねているようだ。可愛くないからやめろ。
どうやら、俺と行きたかったみたいで俺の浴衣姿を見たかったらしい。
「俺、チャシロが行くから見張り頑張るのに… 」
「チャシロがいないと頑張れねぇよ!」
「えー…」
「なぁ?お願いだぁぁ…」
「はぁ、わかった」
「まじ!?やった!」
俺が渋々OKをだすとトビはパァァァと顔が明るくなり満面の笑みをうかべた。
子供みたい。その後俺らはサバトラ以外一緒に回ろうって話になった。
祭り当日、みんな張りきっており俺の浴衣を着付けをしてくれる管理人さんは1番張り切ってた、着付けたおまけに長くなった襟足を結んでくれてヘアピンとか使って髪をセットしてもらった。皆可愛いって言って写真撮ってたけど俺のプライドがバキバキにおられた。悲しい。トビは先に行っているらしいから1人で集合場所に向かった。下駄できたから歩きづらかった。
「あ、砂東、五十嵐、清滝 」
「おー、チャシロ」
「ごめん、待った?」
「いや、全然」
「お!珍しく髪セットしたの?」
「うん、管理人さん張り切っててさ」
「チャシロ……か、可愛いよ!写真撮っていい?」
「いいけど…清滝も写ってよね」
「うん!勿論!あ、皆さんも良ければ写りましょ?」
「いいな!じゃあ俺も映る!」
「じゃ、俺も」
「はい、チーズ!」
「…よし、いい感じに撮れましたよ」
「うわ!上手いな!」
「あはは、撮るの好きなんで」
「ところで、トビは?」
「あ、後で合流するって」
「おけ」
「何処から回るー?」
「俺りんご飴食べたーい」
「おお!いいね!」
「いいですね」
清滝に可愛いとか言われてビックリしたけどみんないつもどおりで安心した。最初にりんご飴を食べようって話になった。祭りは始まったばかりって砂東はいってたけど凄い人集りだった。前を見たら砂東達の背中が見えなくて焦ったけどグイッと腰に手を回されて驚いたけど清滝が引っ張ってくれた後グイグイと人混みを器用に進んでく。こういう所トビに似てるよな、あれ?トビが清滝に似てるのか?分からなくなってきた。けど腰に手を回されながら歩くのも歩きづらい。
「清滝、歩きづらいかも」
「ん、じゃあ手繋いどく?」
「うん、そうする」
「わかった」
清滝と手を繋いで歩く。ちょっと恥ずかしいけど誰ともはぐれないならそれでいい。それより…清滝って意外とガタイいいよな。押してもビクともしないし、手も大きくてガッチリしてる。腕も足も細い割には筋肉がある。なんてこと思ってたらりんご飴とかチョコバナナが売っている屋台についた。
「チャシロはなんか買う?」
「チョコバナナ買う」
「分かった」
「ん、どうしたの?清滝」
「あー、チョコバナナね!うん!いいと思う!」
握っている手が熱くなった気がして、清滝の顔を見た。清滝が顔を真っ赤にしていた。
「…はい、チャシロ」
「ありがとー」
「んむ……ん!美味しい!」
「んん…りんご飴もうめぇな!」
「それな」
「お、皆」
「おー、トビ」
トビが合流した。見張りはもういいのかと聞いたら四天王の勝さんとチャラさんも来てるから大丈夫らしい。トビに可愛い可愛いと撫で回された。しれっとチョコバナナ貰われたし!それより、さっきから視線を感じる。ジロジロと見られている気がする。気の所為だと自分に言い聞かせて清滝に続いて歩き始めようとした。トビに腕を掴まれて俺と清滝の足が止まる。ちょ、砂東と五十嵐とはぐれる。
「え、トビ?」
「どうしたんですか?糸操くん」
「……で……」
「え?」
「何で…清滝とチャシロが……手を繋いでるんだ?」
どうやら俺と清滝が手を繋いでるのが気になったらしい。はぐれるから手を繋いでるっていうともっといじけた。そして乱暴的に俺の腰に手を回して清滝から手を奪った。清滝を煽るようにいやらしく俺の手と腰を撫でる。くすぐったい。
「ダメ、清滝は」
「……ずるいですよ、糸操くん」
「はは、俺が来るまで手繋いでただろ?」
「糸操くんはいつも繋いでるじゃないですか」
「……」
「……」
2人して睨み合う。俺はどうしたものかと代案を考える。いい案が思いついたが恥ずかしい。けど言わないともっと雰囲気が酷くなる気がする。
「ね、ねぇ」
「ん?どした?チャシロ」
「チャシロ?どうしたの?」
「2人とも俺と繋げば……いいじゃん」
「「ん?」」
「っだから!こういうこと!」
右手を清滝の手と繋ぎ、左手はトビと繋いだ。2人は驚いたが俺が考えたって言うことで反論はしなかった。今すごく顔が熱い気がする。すごい恥ずかしい。けど2人とも機嫌が良くなったからいいや。砂東と五十嵐は見失ってしまった。けどすぐ見つけれた。五十嵐の赤髪は珍しいし2人とも顔がイケメンだからすぐわかった。2人に叱られたけど俺と清滝とトビの手を見て察して2人だけを叱ってた。その後、勝さんとチャラさんにあった。しょーさんに沢山買ってもらった。こんな量食べきれないなぁ。とか思いながら楽しくやってた。チャラさんはトビと写真撮ってた。トビの顔を気に入ったらしくインスタにあげてた。しょーさんとチャラさんと解散したあと、ヌコ先輩と管理人さんと会った。ヌコ先輩にも沢山買ってもらった。管理人さんは皆に奢る形でやってた。皆気分が上がってたし沢山食べてた。俺もアイスバーやらソフトクリームとか食べて楽しんでた。先輩達とも解散して色々回った後、みんなトイレ休憩に行った。俺はそんなにだったから神社で休憩してた。人混みは苦しいし寒いから嫌いだ。けど今日はみんなといたから思った以上に苦しくなかった。等と頭の中で日記を書いていると話しかけられた。話しかけて来た相手は…
まさかの斎藤だった。あまりの驚きに思わず息を忘れた。
「久しぶりだな、チャシロ」
「お、おう」
色々話してるけど出てくるのは「うん」とか「おう」とかの相槌だけだった。声を出すのも必死だった。だって、トビが警告した のに話しかけてきたから。
「チャシロってさ清滝と手繋いでたよな?仲良いの?」
「え、あーうん!仲良いぞ 」
「そうなんだ、じゃあさ」
「糸操を俺に譲ってくれない?」
「は?」
思わず困惑の言葉が出て来た。俺らに関わるなってことは、嫌いってことと同じなばず。けれど斎藤は譲れと言ってくる。訳が分からず頭がクラクラする。けどよく考えてみた。ないと思うけど、もし、もしトビと斎藤が付き合ったら?そう考えると胸の奥が苦しくなってきた。モヤモヤするというかザワザワする。とりあえず理由を聞いてみた。
「え、な、何で?」
「トビはチャシロの事が好きなんだろ?」
「で、チャシロは清滝と付き合えば、トビは諦める。だから俺が貰う。」
「清滝はチャシロのこと好きらしいし!」
意味のわからない事を言われた。トビはまだ分かるとして、清滝が俺の事好き?意味がわからない。それよりも怒りが湧いてきた。トビを甘く見ている事に。
「ト、ビは、…」
最初はへろへろな言葉だったけど次にはしっかりと反論を述べていた。
「トビは、そんなにすぐ諦めないよ」
「はぁ?」
「トビは1度決めたことは諦めないし、どんな事してでも手に入れる」
「諦めることなんてないんだよ」
思ってた事をいえた気がする。しかし斎藤は納得せず顔を真っ赤にし、俺の顔めがけて腕を振り上げた。ここで避けるのは良くない。俺もトビは大切な人だと思ってるから代わりに殴られるのも当たり前だ。けど殴られる直前に目の前が黒くなり何かに引っ張られた。
「…あれ…痛くない?」
「いってぇ、な…。テメェ…!うちの後輩に何してやがる」
「この子に暴力は必要ありませんよ」
「そーだ!そーだ!」
「んなっ!」
「チャシロくんに触るな、ここから立ち去れ」
先輩が俺の代わりに殴られたっぽい。先輩の右頬が赤くなって鼻からは軽く血を出している。俺が殴られてたら酷いことになってたな。それでも先輩は気にせず自分を心配するよりも俺に気を使ってくれた。管理人さんや勝さんやチャラさんもいた。管理人さんは冷静に斎藤を跳ね除け、チャラさんはぷんすこしながらこの様子を撮ってた。勝さんは激おこで斎藤の胸ぐらをつかみガン飛ばし。そんな勝さんに戦慄した斎藤は腰が抜けたようで四つん這いになってここを去った。斎藤と入れ替わるように砂東達が戻ってきた。砂東は斎藤の姿を見てゲラゲラと笑ってた。五十嵐は先輩の様子を察して斎藤にブチ切れ、清滝とトビはと言うと
「チャシロ、大丈夫?」
「汚い手で触られてないか?大丈夫か?チャシロ」
こんな感じに頭を撫でられたり手を握られたりだった。先輩の心配をしやがれコノヤロー。ぽかぽかと2人の胸元を叩いたが笑って済まされた。その後先輩達とはすぐに別れた。しょーさんもチャラさんも機嫌がいい。だってもういちど俺とトビに会えたし、先輩がいるから。楽しめたらいいな。そろそろ花火の場所取りをしようっていう話になった。公園の草広場はもういっぱいだった。けどベンチは空いてた。砂東達は俺に譲ったけど俺一人で座るのも気が引ける。だから無理矢理にでも隣にトビを座らせた。後で後悔した。砂東を座らせばよかった。しょうさんに買ってもらったポテトやらたこ焼きやらを整理してたら急にドンッと大きい音がした。驚いてトビに縋り引っ付いたけどすぐ離したけどその手を捕まれ絡ませる。離そうとしたけど絡んでくる手が震えている気がしてやめた。初めて俺から、優しく強く繋ぐ。トビは驚いたけど俺は顔を俯いたまま。凄く恥ずかしい。トビが静かに口を開いた。
「チャシロが…殴られそうで怖かった」
何だそれ、先輩が殴られたじゃん。心配しろよ。けど口から出たのはそっかとかうんの相槌。
「俺、チャシロの事が好き。」
「えっぁ、し、知ってる」
「普通に恋愛として。」
「あ、そっか」
「1人にしたことすごく後悔してる。」
「けどチャラさんが撮ってた動画みて、嬉しかった。」
「な、何で?」
「チャシロが俺の事、しっかりと見てくれたし、チャシロからも大事だって思われてるんだなって」
「…」
「チャシロ」
「ん?」
「こっち見て」
やだ、見たくない。凄く情けないもん。俺。変な顔してると思う。けどトビは強引に向かせてくる。
「な、なんだよ…」
トビは無言で俺の下唇と顎に手を置く。もうひとつの手は優しく頬を撫で、頭をぐいっと掴む、トビの顔がぐいと近づき。唇と唇が重ね合う。触れるだけのキス。初めてのキスだ。2回3回口付けを交わしたらトビは優しく俺から離れた後、手をさっきよりも強く握る。関節キスもファーストキスもセカンドキスも全部トビが初めてだ。花火が終わったあと砂東と五十嵐は綺麗だったなと言い合っていたが清滝は耳が変とかいって頭を振ってた。トビも凄かったなと言ってたけどおぼえてない。その後はもう解散って言う形になった。砂東達は朝まで遊ぶらしい。家が近くないトビと俺は帰る。トビと手をつないで帰る。すれ違った人にちらちら見られているのは手を繋いでるからだろう。それよりも足が痛い。なれない下駄出来たから。トビは気づいて俺をおぶって歩く。さっきよりも視線を感じる。駅まで着いたら流石に降りた。
「足大丈夫?」
「あ、ちょっと痛いかも」
「みせて」
「うん」
「……よし」
「リバテープ張ったから」
「ありがとう」
トビがいつも財布に持参している絆創膏を貼ってくれた。たまにトビは方言が出る。聞いた事のない方言がでておもしろい。電車に乗り次の駅で降りる。乗っている間も手を繋いでいてチラチラと見られる。けどトビは堂々としてた。家に着いてシャワーを浴びて部屋に行く。けどトビも俺の部屋に入ってきた。ベットに押し倒され自由が聞かない。困惑する俺にトビは優しく頬を撫でてくる。 「トビ?どうしたの?」と聞いても何も答えない。少し怖さも感じた。トビは何も言わず俺の首筋に食らいつく。服を優しく脱がせ、俺の肌に触れる。嫌がる俺を無視して。トビを押し退けようとする俺の手を大きな手で優しく絡ませる。
「と、び…」
「チャシロ」
「こわいっぃ……」
「うん、怖いよな」
「トビ、 怖い…てぇっ、ひっぅ…」
「大丈夫、大丈夫だから」
遂に泣き出した俺を慰めるようにトビが頬にキスをする。頬のキスは首筋から鎖骨へと移り吸う力が強くなりチリッとした痛みがした。今ここで叱りたいのに口から出るのは「怖い」や嗚咽ばかりで出来ない。遂にトビの手は俺の短パンまで来ていた。脱がそうとする手を掴んだ。
「やだ、こわいっ」
「ん、逃げるな」
後ずさりして逃げようとする俺の腰を掴んで無理矢理に短パンを脱がす。トビの顔が怖い。いつものような優しくて温かい目じゃない。獣のような鋭くて冷たい目だった。俺の足を優しく掴んで口をつける。さっきと同じでチリッとした痛みが数回きた。俺は混乱と怖さで顔がぐちゃぐちゃだ。逃げようとしても腰を強く掴まれてるから逃げれない。トビが俺のパンツに手を置いたことによって俺の混乱度がMAXになった。
「や、やだって!な、なになに!?」
「大丈夫だから」
「だ、大丈夫じゃない!」
「ヤダっ!やめて!待っ!うわあああああああ!!!」
次の日、いつも通りトビに起こされて一緒にリビングへ行った。先輩達はいつも通り挨拶してくれたがトビをみてギョッとした。
「え、トビくんその頬の傷どしたの?」
「引っかかれたの?!」
トビの頬は真っ赤で引っ掻いたあとがあった。「あー、ちょっと猫に引っ掻かれまして…」
「えー、大変だね。どんな猫?」
「うーん、白くて茶色くて」
「茶白柄?」
「あー、はいそうです」
「トビくんにも懐かない猫か」
「そうですね、早く懐くといいんですけどね」
そんな事を俺を見ながら言う。サバトラとヌコ先輩には勘づかれたけどどうにかしてやりすごせた。早く俺の気持ちも言えるといいな。甘く蕩けそうな気持ちが溢れる。
コメント
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早く抱かれてくれチャシロくん