海賊
※ズッ友(左右無)
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nk, sidb
早朝に彼を叩き起して海岸へ出かける。
頬を撫でる風はひどく冷たく、部屋着の上からコートを着ただけじゃお世辞にも気持ちがいいとは言えない。
彼もマフラーを付けてはいるがとても寒そうに手をすり合している。
だけど今日の空はおだやかに晴れて澄み渡っている。
nk, 「…今日は冬麗、」
kn, 「……また難しいこと言ってる、」
kn, 「大体さぁ…なんでいつも海行くの?」
nk, 「ん〜、」
先程まですやすやと寝ていた彼は朝早くに極寒の外へ出されたことが少し不服らしい。
nk, 「きんときが、海を盗むところ好きなんだよね」
きっと彼には伝わらないような言葉で本音を隠した。
予想通り彼には通じなかったようで、首を傾げながら目を閉じて理解しようと考えている。それでも思いつかなかったのか、彼は「海なんて盗んでないけど?」と言った。
nk, 「いや、盗んでるよ」
nk, 「今だってほら…」
そう言って彼の瞳に映る海を見る。
彼の青い瞳に反射した海はより深く鮮やかな青を生み出していて、きっとこんなちっぽけな言葉じゃ表せないほど、その一瞬がとても好きだ。
ボトルの中で揺れる水のようにきらきらと揺らめく海と、他の人の言葉にふらふらと着いていく彼はどこか似ていて、
自分のものに出来ないもどかしさと、決して誰かのものになってはいけない奥ゆかしさをもつ彼はいつだって一つ後ろで俺を見ている。
kn, 「…今度は海じゃなくてなかむを盗もうかな?」
kn, 「なんてね」
コメント
4件
こんな話が書きたい!
雰囲気大好きすぎる🥰 投稿されてたの気がつかなくて見るの遅れちゃった😭叶わない恋なのかなって思ってたけど最後で全部ひっくり返ったの最高すぎる 毎度文の表現が儚くてすごい綺麗で尊敬すぎる😍