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「だから、聖魔神になったら告白すると約束したわけだ」
「いや、もう告白してるじゃないですか。『結婚してくれ』って」
100%リイではない口調が聞こえた。しかも、ルウゼスの間違いを指摘してくる。
「誰だ!?」
「えっ、僕はマージュですけど」
その生意気なやつは妖精のように小さく、30㎝くらいの大きさだった。正直ルウゼスはマージュに少し、いや大分イラっとしたが、リイの様子がおかしいので怒るのを我慢した。
「マージュ!どうしてだぞ!?」
リイは慌てていた。マージュは学園の生徒ではない。なので、本当は学園にいたらいけないのだ。
部活は聖魔神しかいなかったからいてもまだよかったが、これは完全にアウトである。
「リイ様、ごめんなさい。ですが、少し厄介な問題が起きまして……」
「何だぞ?」
「実は、魔界の門は開いていないんですけど……」
「天界の門が開いてるんです」
リイは魔界の門を開けようとする者がいることは知っていたが、天界の門を開けようとするがいるだななんて知らなかったし考えてもいなかった。
「場所はどこだぞ?」
「5階の第3図書室です」
「それって、あの都市伝説のか?」
ルウゼスが会話に割り込んできた。リイは都市伝説というものが気になった。
「何だぞ、それ?」
「第3図書室は生徒の立ち入りが禁止だから、禁書がおかれているんじゃないかっていう噂があるんだよ」
「その噂が本当なら、第3図書室で天界の門が開いてることにも辻褄が合います」
そう聞くとリイは急いで第3図書室へ向かった。
マージュも行こうとするとルウゼスが羽を掴んでいた。気にしないで、羽を手から抜け出すことは出来たが、わざと掴まれて動けない振りをした。
「何するんですか」
「お前は何者なんだ?」
「僕は、リイ様の使い魔です。じゃあ、もう行っていいですか」
マージュは何を聞くかと思ったら、そんなことかと思いさっさと行こうとする。が、ルウゼスがなぜか寂しそうにそこに突っ立っていたので、めんどくさいが声をかけることにした。
「貴方も行きますか?」
「ああ!」
ルウゼスは嬉しそうにそう言った。
リイは第3図書室の前についた。部屋の外にも不穏なオーラが溢れ出ている。思ったより大分まずい状況だった。リイは急いでドアを開けた。
だが、遅かった。門は完全に開いており、天界と繋がっていたのだった。
そして、もっとまずいことにこの部屋には何体もの天使達の姿があった。
「オ前ガ門ヲ開ケタノカ」
天使の目線の先には一人のニンゲンがいた。教師スズエン・カイノだった。
「そうだ。キミにお願いがあってね」
スズエンは天使とネガイの契約を結ぼうとしていた。 だが、リイがそれを見逃すはずがなかった。
「今すぐ天界の門を閉めるのだぞ」
「!……リイ」
「スズエン、今す……」
リイがもう一度スズエンに警告しようとすると天使がリイの腹をおもいっきり蹴る。
リイはギリギリで避け、体勢を崩してしまう。
その瞬間、天使がリイに光魔法・《光の檻》を放った。
すると、リイの体が金色の光りに捕らわれる。そう、捕らわれるだけだった。
本来、この技は対象を光りに閉じ込め、消滅させるものだ。だが、リイは消滅しなかったのだ。
天使はリイを凝視する。わかるのは目の前にいるのは人間ではなく魔神、しかも、かなり上位のものだということだけだった。
リイの赤い瞳が光る。すると、いとも簡単に《光の檻》が壊れてしまったのだ。
───ありえない。なぜなら、《光の檻》は光魔法の中でも強度は一番といっても良いほど高いのだ。なのに、こんな簡単に───!
スズエンはリイの異常さには感づいていた。ルウゼスの件があったのだ。気づかないはずがなかった。
スズエンはこの国の中でもトップの実力を持っている魔術師である。そんな自分が異常というほどの者などスズエンは一つしか思い付かなかった。
「リイ、キミは……」
リイはスズエンの方へ歩みよる。
「スズエン、天界の門を閉めるのだぞ」
これが最後のリイの警告であり情けでもあった。これ以上天界の門を開けておくのは危険である。
だからリイは聖魔神としてスズエンを捕まえなければいけなくなるのだ。
だが、スズエンは閉めようとはしなかった。
「僕は閉めないよ」
そう聞くとリイは悲しそうな表情をしたが、すぐに手のひらを門の方へ向け、呪文を唱える。
すると、門が閉まり始めた。
リイの呪文は恐ろしいほど完璧だった。なので、すぐに門は完全に閉まり、跡形もなく消え去るだろう。
「っ、このままでは」
(計画が狂ってしまう……! )
そう思うスズエンの頭の中に一つ、リイを止める考えが浮かんだ。
それは───天使達に自分の体をやることだった。
そんな危険を起こすことなど普段のスズエンならしない。だが、今のスズエンは冷静な判断が出来なくなっていた 。
だから、最悪の事態を引き起こしてしまうことになるのだ。
「天使達、僕の身体を上げる変わりに叶えてほしいネガイがある」
「ナンダ」
「リイを殺してほしい」
スズエンは本気でリイを殺そうとは思っていなかった。天使達の力が上がってもリイを殺す気で戦わないと止めることは出来ないと思ってそう言ったのだ。
だが、この言葉が逆鱗に触れてしまった。
スズエンの身体に天使達が入っていき、天使達は人間の身体を手に入れ、天人となった。
そして、契約通りリイを殺そうとする。
が、身体がいうことをきかなかった。
「……?何故」
天人が不思議がっていると声が聞こえた。
「何故、ですって。そんなの決まってるじゃないですか」
そいつは淡い薄黄緑の長髪で目がベールで隠されている者だった。
「呪ったからですよ」
そう言うと、美しい容姿とは反対にニヤリと不気味に笑った。