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服を脱ぎ、籠に入れて、ボディータオル片手にお風呂のスライドドアを開ける。
もわっと熱気と湿気がまとわり付く。まずは体を頭を洗う。
くだたない話、下ネタを話し、笑いながら体を洗う。
ちょうど僕たち3人以外に人はおらず、割と大きな声で笑っても大丈夫だった。
髪を洗い、コンディショナーを流し3人で温泉に浸かる。
「あぁ〜…何度入ってもいいなぁ〜」
「わかるわぁ〜」
「でも明日で終わりかぁ〜…やだなぁ〜」
「わかる」
「わかる」
「もう1泊しちゃう?」
「お金は?」
「oh…」
「検索したことないけど、高いだろ。ここ1泊」
「まあぁ〜高いだろうね。いつも父母が出してくれてるからわからんけど」
「恐ろしい…考えるだけで震える」
「でもまた行きたいよね」
「行きたい行きたい」
「今日してないボドゲもあるしね」
「たしかに!ボドゲってもっとサクサクできると思ったら、案外熱中しちゃって時間かけちゃうのよね」
「ゲーマーの鹿島は当たり前だけど、オレらも熱中したもんな」
「そうそう。妃馬さんが持ってきた「ドッグ&キャンディー」だけで過ごせたもんな」
「それなぁ〜。あ、ちなみに「キャサリンジテン」弟とやったんよ」
「おぉ」
「仲良いな」
「激オモロだった」
「ま、オモロいだろうな。ENINSHOWさんの動画でもオモロそうだったし」
「でもENINSHOWさん3人だったからあれだけど、鹿島弟2人いんの?」
「いないよ?愛する1人だけ。だから弟にも「ねえ兄ちゃん、これ勝負にならんくね?」って言われた」
「だよね?」
「うん。でも弟もめっちゃ笑顔で楽しんでた」
「そういえば弟くんに彼女のこと話したの?」
「もちろん」
「写真も見せた?」
「もち」
「ビックリしてたでしょ」
「してたよぉ〜「は!?死ぬほど美人じゃん!」って」
「死ぬほど」
「まあ、たしかにな」
3人で笑って、露天風呂に移動した。
また匠が木製の桶で灯篭型のライトを隠そうとしていたので鹿島と僕も手伝った。
ライトで照らされていない足元は不安だったので
鹿島も僕の手を掴み、僕も鹿島の手を掴み、ゆっくりと安全に浴槽に入った。
また3人とも足だけを温泉に入れ、縁の石に座って空を見上げる。
「キレー」
「な」
「あ、また星座検索すんの忘れてた」
「あ、ほんまや」
「たしかに」
「じゃあ…あれ。あの星繋げて」
「どこ?」
「あそこ」
鹿島が指指すがどうも伝わらない。
「あれを繋げて猫座」
「猫座。ありそうだけどな」
「ありそう」
「あんのかな?聞いたことないけど」
「たしかに聞いたことはない」
「じゃあ、あそこらへんを繋げて」
「鹿島も匠もさ、あそこらへんって言われてもわからんのよ」
「たしかに」
「雰囲気で。で、あそこらへんの星繋げてエルフ耳座」
「それは聞いたことないな」
「ないね」
「怜夢の番」
「オレ?そうだなぁ〜…」
なにか星座になりそうなところを探す。
「じゃあ、あそこらへんを繋げて」
「言われてもわかんないけどね」
「ね」
「たこ焼き座。あの、ちゃんと爪楊枝もついてるから」
「あ、わかった。あれでしょ。あそこ」
「あ!オレも見えた!たこ焼き座!」
その後も勝手に星座を作って楽しんだ。
「あぁ〜…マジで帰りた…くなくはないけど、終わりたくないわぁ〜」
「わかる」
「わかるわかる」
「また行こうね?」
「もちろん」
「もちろん」
「じゃ、今度は冬に。東北のほう行って雪合戦しよ」
「あぁ、考えるだけで寒い」
匠がぽちゃんと湯船に入った。
「そっか。匠年末北海道だもんな」
「そそ」
「えーダメー?」
「いや、ダメではないけど。高いよぉ〜?」
「たしかにね」
「えぇ〜と?飛行機代にホテル代、あとレンタカーとか諸々か」
「高そぉ〜」
「考えんのやめようか」
「だな」
「…あ、あそこ繋げてぇ〜…髪の毛座!」
「なんか髪の毛座って聞いたことあるけど」
「え、マジで?」
「マジで」
「オレも聞いたことある」
「ガチか」
その後ちゃんと肩まで浸かって星空を眺めて、勝手に星座を作って遊んで温泉を出た。
浴衣を着て、暖簾をくぐり、お風呂から外に出る。
昨日は卓球だったが、今日はエアホッケーでアイスを賭けて勝負することにした。
また各カップルでチームになった。ひさしぶりにエアホッケーをしたが楽しかった。
結果森本さん鹿島ペアが優勝し、妃馬さんと僕が最下位だった。
「あざーす!」
「ありがとうございまーす!」
「じゃ、すいません。お願いします」
「暑ノ井くんサキちゃんあざーす!」
鹿島には腹が立ったが妃馬さんと2人でみんなの分を奢った。
昨日と同じ休憩スペースで6人でアイスを食べ部屋に戻った。
明日はいよいよ最後の日ということで運転もあるし、今日は海で遊んだしで疲れているだろうということで
夜ボードゲームなどで遊ぼうという話は出ず、女子陣は女子陣の部屋に男子陣は男子陣の部屋へと戻った。
部屋に戻ると鹿島がすぐにお風呂へ行ってお湯を出し始めた。
「なにしてん」
「え?これから入ろうかと」
「これから?」
「だって勿体ないじゃん?」
「はあ」
「みんなも入んなよ」
「はあ」
お風呂ができるまで鹿島の持ってきた「キャサリンジテン」をすることにした。
ルールは非常に簡単。お題カードには数字が書かれており、その数字にはそれぞれ言葉が書かれており
めくった山札の次のカードに書かれている数字の言葉を「カタカナ語」なしで説明するというものだ。
ちなみに「カタカナ語」を使ってしまった場合
より早くそのことを指摘した方にポイントが入る。バレなければ続行となる。
じゃんけんをし、まずは僕が説明する人となった。お題は「ピラミッド」だ。
「えぇ〜とね。あの砂漠…にあります。あのスフィ…」
「スフィ?」
「あの、あれの横にありますね」
「ピラミッド!」
「正解!」
「危ねぇ〜。スフィンクスって言うとこだった」
「あれセーフなの?」
「セーフでしょ。言ってないし」
「まあ、オレはあれでわかったけどね」
「じゃあアウトやん」
「じゃあ次からもうカタカナっぽかったらその時点でアウトってことで」
「あいあい」
鹿島がお題カードを捲り、自分で見る。次のお題カードの数字は3。鹿島が悩みながらも説明を始める。
「えぇ〜と。あのぉ〜…。あ、今に思い付いてるの全部だめだ。
あ、えぇ〜…袋に入ってて…おま、けが…入ってたりします。えぇ〜とぉ〜ねぇ〜」
「おまけ?なんだ?」
「おまけが入ってる。いやヒント少なすぎる」
「んん〜とね、こうこんな感じで。あ、危ねぇ〜。
ジェスチャーもダメなんだ。あぁ〜…あ!層になってます!」
「はい!」
「はい!怜ちゃん!」
「ジェスチャー!」
「…」
「…え。あ!え!あれもダメなん!?」
「思いっきりカタカナだしダメだろ」
「え、でもそのもの自体の説明のやつじゃないけど」
「でもダメじゃない?」
「どお?匠ちゃん」
「…京弥。…アウト!」
「アウトかぁ~…」
「でも正解はなんだったんだ?層って言ってたな…」
「層になってておまけ…あ!ウエハース!」
「正解!」
「なるほどね」
「匠ちゃんん~もうちょい早く頼むわぁ~」
「なるほどね。おまけ。シールのことね」
「そうそう」
「なるほどなるほど」
「じゃ次匠ちゃんね」
匠がお題カードを捲る。次のカードの数字は5。
「はいはい。えぇ〜とね。ドラマとか映画」
「ドラマ!」
「…」
「…あ!そうじゃん」
「うぇ〜い。ありがとうございまぁ〜す」
「マジか…そっか。ドラマもダメなのか」
「ダメですねぇ〜」
その後も何回かして鹿島がお風呂を確認しにいくともう出来ていたらしいのでそこで終わりにした。
ちゃんと後片付けをし、じゃんけんはせずに鹿島から入ってもらうことにした。
鹿島に言われた「勿体ない」という言葉に釣られて
僕は冷蔵庫で冷やしていた飲み物を持ってベランダに出た。
真夏なので夜中でも暖かい。なんなら暑い。匠も飲み物を持ってベランダに出てきた。
「あっついな」
「な」
「きぃ〜もちぃ〜いぃ〜!」
鹿島の声も聞こえる。
スマホを取り出し、時間を見るためホームボタンを押す。1時47分。
早く休もうとしたがこの時点で決して早くない。その下に妃馬さんからの通知があった。
「もう寝ちゃいましたか?」
いつかの夜を思い出した。通知をタップして返信を打ち込む。
「今鹿島が部屋のお風呂入ってて、交代で入ろうかって話で今ベランダで匠と話してます」
送信ボタンをタップする。
「明日チェックアウト何時?」
「11時」
「朝って9時「まで」よな?」
「そ〜…だね?」
「じゃあ、まあ、8時ころ会場行けばいいか」
「だね」
「にしても寝れんぞ」
「それな」
「こぉ〜たぁ〜いすっか!」
全裸の鹿島がお風呂からベランダに出てきた。
「全裸」
「タオルくらい巻けよ」
匠と2人で思わず笑う。
「匠行く?」
「じゃ、じゃんけん」
「よしきた」
2人して掌を擦り合わせたり、いつぞやのじゃんけん必勝を願うように
手をクロスして捻って胸のほうに寄せたりして、別に勝ちたいじゃんけんでもないのにじゃんけんを楽しんだ。
結果僕が先に入ることになり、結局僕もベランダで全裸になり
部屋に浴衣と下着のパンツを放り投げ、部屋風呂に入った。
大浴場も良かったが部屋風呂は部屋風呂で良かった。檜の香りに包まれ、落ち着く感じがした。
ゆったりとのんびりした空間が流れている、そんな気持ちになった。
お湯に浸かりながら「勿体ない」と言った鹿島に心の中で感謝した。
匠と交代しようとベランダに出るともうすでに下着のパンツ一丁姿の匠がいた。
一応局部にタオルをかけている鹿島と下着のパンツ一丁姿の匠。
「どーゆー状況?」
と思わず漏らした。僕のことを認識した匠は
その場で下着のパンツを脱ぎ、部屋に放り投げ、ベランダ側からお風呂場へ入って行った。
「はい怜ちゃん」
鹿島がバスタオルを渡してくれた。
「おぉ、さんきゅ」
バスタオルで濡れた体を拭き、ベンチに座る。
お尻に直に木のベンチの感覚が伝わる。僕が座ったのと同時くらいに鹿島が立ち上がる。
綺麗なお尻がバスタオルに包まれる。
ベンチに置いておいたスマホを手に取り、ホームボタンを押す。妃馬さんからの通知。
「奇遇!私たちも今部屋風呂楽しんでるところです」
「おぉ〜。そうなんだ」
思わず呟く。その後返信を打ち込む。
「あ、そうなんですね。部屋風呂は部屋風呂でいいですよね」
送信ボタンをタップする。スマホをベンチに置き、立ち上がり
バスタオルを腰に巻いて鹿島の隣に行く。
「見て見て。川」
「おぉ。川の音も聞こえる」
「見よ!綺麗な夜景どもよ!」
鹿島が腰に巻いたバスタオルをバサッっと川のほうに開く。
「我が聖剣を!勇者しか抜けんの」
「はい。やめてください」
鹿島の言葉を遮るように言う。
「でもさぁ〜」
と言うときもまだ川に向かって局部を露出していたので
「話続ける前に隠せ」
「でもさぁ〜」
鹿島が素直にバスタオルを巻き直す。
「露出好きな人とかこーゆーとこで露出すればいいのにね。そーすりゃ捕まんないのに。合法じゃん?一応」
「あぁ〜…」
たしかにな。と言おうろしたが「露出好き」の人の気持ちを少し考えた。
「でもさ、あれじゃない?ダメだよ?もちろんダメよ?露出は。でもダメだからこそ露出したいんじゃない?」
「ほお。ダメだからこそ?1回聞いて…えぇ~みようじゃあぁ~ないか」
「なんだその言い方。だってさ、それこそ家でベランダで全裸はたぶん大丈夫でしょ。合法でしょ?
だからダメなところで露出するっていうこと自体が好きなんじゃないの?そーゆー人って」
「あぁ〜なるほどねぇ〜。怜ちゃん」
「ん?」
「やってた?」
「やってねぇよ」
「いや、そーゆー趣向を持ってる人の考えやん」
「違うから。ほらカリギュラ効果ってあるじゃん」
「んん〜…聞いたような聞いたことないような」
「見ちゃいけないよって言われているけど見ちゃうみたいな。
禁止されていることほど人はそこに魅力を感じるっていうやつ」
「あぁ、でもわかるわ」
「なんの話してんの?」
声のほうを向くと匠が全裸で出てきていた。
「あ、タオルそこに置いてるよ」
鹿島がベンチを指指す。
「おぉ、サンクス」
匠がバスタオルを取りにベンチへ行き、バスタオルを腰に巻いて合流する。
「でなんの話してたの?」
「カリギュラについて」
「効果ね」
「カリギュラ?ゴッドリーダーのマヤガミ?」
「「あぁ!いたいた!」」
鹿島とハモった。その後もひさしぶりにゴッドリーダーの話をしたり
川を眺めたりして、そろそろ寝ようかということになり
部屋に戻り、下着のパンツを履き、浴衣を着て、鹿島と匠はベッドに、僕は布団に入った。
「おやすみぃ〜」と各自言い合って寝ようとした。
枕元のスマホを手に取り、ホームボタンを押す。妃馬さんからの通知。通知をタップし、トーク画面へ行く。
「ですよね!檜の良い香りで!」
「じゃ、私寝ますので。おやすみなさい」
あ、寝ちゃったか…
と心の中少しがっかりしつつも返信を打ち込む。
「檜の香り、なんか落ち着きますよね」
「はい。おやすみなさい」
送信ボタンをタップする。トーク画面に僕の送信した文が表示される。
送った時間の表示の上に「既読」の文字がつかないのに、少し寂しさを感じながらもスマホの画面を消す。
顔を照らしていた明るいスマホの画面が黒くなり、顔の周りから明かりが消える。静かで暗い部屋。
泊まるのが今日が最後と考えると少し寂しかった。
もう一度スマホの画面をタップする。妃馬さんからの通知があった。
「まだ起きてたんですねw」
寂しさをかき消すほど嬉しかった。通知をタップし、トーク画面に行く。
僕の送ったメッセージの送った時間の表示の上に「既読」の文字がついていた。
返信が来ているのだから当たり前なのだが、それが嬉しかった。
「妃馬さんもねw」
送信ボタンをタップする。トーク画面に僕が送ったメッセージが表示される。
送った時間の表示の上にすぐに「既読」の文字がついた。
「なんかもう最終日かと思ったら少し寂しくて」
「わかります。でも妃馬さんのメッセージで寂しさ少し紛れましたw」
「えぇ?照れますねぇ〜(ฅωฅ`)照♡」
「眠くなってきました?僕は少し眠くなってきました」
「私も少し眠くなってきました」
「じゃ、まあ明日も朝ご飯早いし今度こそ寝ますか」
「そうですね。今度こそ寝ましょう」
「じゃ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
フクロウがパジャマ姿でナイトキャップを被って「おやすみ!」と言っているスタンプ。
猫が布団に寝転がり「おやすみ」と言っているスタンプ。
フクロウが木の上で目を瞑って「Zzz…」と寝ているスタンプ。
猫が掛け布団の上で丸くなり寝ているスタンプ。
「寝ましょ?w」
「怜夢さんもね?w」
「じゃ、ほんとにおやすみなさい」
「はい。おやすみなさい」
返信したい気持ちを堪えて、スマホの電源を消し枕元に置いて目を瞑った。
妃馬さんとのやり取りで顔がニヤけていたのがわかった。
ニヤけ顔のまま、寝るために姿勢をあれこれ変えているといつの間にか眠っていた。