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sik 「」 mrkm 『』
usm 「」
sik 視点
「 カゲツくーん!一緒に帰ろ! 」
『 お、おん!かえろかえろ! 』
ぎこちなく笑うカゲツくんが可愛らしくてなんだか笑みが溢れてくる。まあ俺も昨日付き合ってからずっと緊張しっぱなしなんだけれど。結局付き合ったことはいつもの8人には伝えることにした。マナくんとライくんはすっごく喜んでくれたしマナくんなんかはちょっと泣きそうになってた。勿論、ウェンくんとロウくん、るべくんも喜んでくれていたしおめでとうとも言ってくれた。けれど一人だけまだ言えていない人がいる、それがリトくん。学校にはいたし朝も会ったけど、タイミング悪く用事があったりとなかなか喋る機会がなかった。なんだか元気もなかったし、もしかしたら体調でも悪いのかと心配していたけど体育の時間のバスケでダンクを決めていたから多分元気。心配ではあるけど、まだ明日があるし、多分誰かから聞くだろうと思う。
「 今日どっか寄り道して帰る?僕、今日結構暇なんだけどさ。 」
『 !!ぼ、くも!ひまひま!ゲーセン行こうぜゲーセン! 』
かわいい、嬉しそうな笑顔が。なんだか同い年とは思えないほど幼く見える。可愛らしくてついからかってしまいたくなる、キュートアグレッションってやつなのか。そんなことを考えながら二人で隣に並んで校門を出た。
usm 視点
『 あ~あ 、 行っちゃったよ? 』
隣に立っているウェンが校門の方を見てそう伝えてくる。俺のテツへの気持ちに気が付いていたのは三人、ウェンとロウ、それからるべ。
「 うるせーよ 、 」
『 も~、拗らせるくらいなら告白すれば良かったのに。てか今日あからさまにテツのこと避けてたじゃん、あれ絶対アイツ傷つくよー? 』
「 おいウェン、リトにも心の整理とかいるだろ。 」
『 あれ、小柳くんが気使ってる。めずらし 』
「 星導は一旦黙っとけ。 」
この4人で集まってるのは俺のせい。俺が失恋をしたから慰めに全員駆けつけてくれた。そして今屋上で話し込んでいる。鍵はウェンが空き缶でつくった合鍵を利用して侵入した。
「 別に 、 俺に告白されたってテツが困るだろ。アイツもともと、カゲツのこと好きだったし。 」
『 だからって諦めんなよ!リトくんらしくなくなーい?見てるこっちがもどかしいんだけど! 』
「 俺だって諦めたいとか思ってねーし 、 普通にまだ好き。でもアイツらの幸せを間にはいってぶち壊すのはちがくね?テツが傷つくし。 」
『 でもさ 、そうやってイッテツのこと避けててもアイツは傷つくんじゃないですか?もともと仲良かったんだし、リトの変化に一番に気が付くのはイッテツだし。 』
るべの言う通り、今のままでいてもアイツを傷付けて悩ませるだけ。俺が元気がないなんてこともう気が付いているかもしれない。俺とアイツの仲だし、絶対に気付く。気付かれたくない。
「 別に俺はリトの好きにすればいいと思うけどな、俺らがどうこう言うことじゃなくね? 」
『 そうだけどさあ~~ … 、ずっとリトが好きだったの知ってるんだから僕たちも色々考えちゃうじゃん。 』
『 ニキと同じ 、 リトの気持ちを知ってるのが俺たちだけってのがまたね。 』
「 … 俺だって 、 諦めたいとか思わないし 、 むしろ俺のこと好きになってほしい。でも俺はテツの幸せな顔が好きなわけで、それの相手がカゲツだからってテツのことを傷つけてまで好きになってほしくはねえの。 」
沈黙、そりゃそうだろう。こんなに落ち込んでる俺に、俺自身も吃驚しているくらいだし。こんなに好きならさっさとコクればよかったのに、それができなかったのはやっぱりアイツの幸せを願ってたからだろう。友達からコクられたらアイツは気まずくなって、嫌でも付き合うという選択をするから。そんなの嫌だ、アイツは、テツには本当の気持ちで付き合って貰いたい。ワガママばかりで嫌になる。こんなにワガママで臆病な俺は、いつもの俺じゃない。わかってるのに。
『 僕は悔しいよ、結構。リトの本気度は見てたらわかるし、そうやってきをつかって自分の好きを蔑ろにしちゃったりさあ。 』
「 まぁ、それはそうだな。リトの気持ちは絶対蔑ろにするべきではない。 」
訳がわからなくなって俯いて黙る。もう見えなくなったテツとカゲツのことを考えて、苦しくなる。楽しそうに笑いあって、抱き合って、そのうちキスもするだろう。俺は耐えられない、そんなの無理だ。テツの隣は俺がよかった。
「 …… はぁ~~ … 俺ってこんなに恋する乙女だったっけえ … 。 」
『 でけえメンズが恋する乙女とかやめてよね。でも、僕が知ってる限りじゃ相当恋してたと思うよ。 』
『 ね、それは俺も思います。だってリト 、 イッテツと話してるときの顔とかあからさまに嬉しそうだったし。 』
「 まあ、ゆっくり考えろよ。俺たちならいつでも相談にのるし。 」
「 さんきゅー … 、 んーーっ 、 つかれた 。 今から飯食いにいかね? 」
『 さんせーい!KP!KP! 』
「 いや、俺たち高校生な? 」
『 まぁまぁ、リトの慰め会の続きでもしましょ。 』
明日からはちゃんとアイツと話そう、これ以上アイツを傷つけては可哀想だし、俺も慣れなきゃいけない。泣きそうになったらまた慰めてもらえばいい。心が軽くなる感覚はまだ先だろうけど、今はちゃんと心から笑えている。
next …
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