リクエストありがとうございます。
まだまだ受け付けておりますのでぜひ。
注意⚠️
👑痛いことされてます。
本人様と一切関係ございません。
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◆放課後の教室
帰りのチャイムが鳴って、
ほとんどの生徒が帰ったあと。
教室には、みことが残ってプリントを
まとめているだけだった。
ドアが ガラ… と開き、
なつといるまがゆっくり入ってきた。
「……あれ?まだ帰ってなかったんだー
みこと」
なつの声はいつもより低くて、
みことの背筋がびくりと震えた。
「っ……ご、めん……まだ片付けが……」
いるまがため息をつく。
「返事遅い。そういうとこムカつくって
前言ったよな?」
みことの手が震える。
逃げようにも足が痛いままで動かない。
なつが机を蹴って、
みことの目の前にしゃがみ込む。
「ねぇ。お前さ……
なんでまだ学校来るの?」
「っ……」
「ほら答えろよ。お前が来るから俺らの
気分悪ぃんだよ。」
いるまが、みことの後ろ髪を無理
やり掴み、顔を上げさせる。
「“すみません” は?」
「っ……す、すみません……」
「声ちっさ。」
髪をぐいとさらに引っ張られ、
みことの目に涙が溜まる。
なつが笑って、わざと楽しそうに首を
傾ける。
「みことってさ……誰にも必要と
されてないのに、なんでいるわけ?」
「……っ……」
「らんも今日は来てないんだろ?
ヒーロー気取りの大好きな“らんらんw?”
がさ。」
みことの肩が震える。
「……らんらんは……っ、
今日は生徒会で忙しいから……」
「はい出ました。“信じてますアピール”。」
なつが鼻で笑う。
「お前が呼んでも、あいつ来ねぇよ。
だってお前より大事な人間なんて
他にいくらでもいるし。」
みことの表情から色が消える。
いるまが無言でみことの手首を掴み、
机に叩きつけた。
「いっ……!」
「ムカつくんだよ。」
なつがみことの脇腹を軽く蹴る。
本気じゃない。
でも“本気じゃないのに痛い”というのが
一番堪える。
「泣きたいなら泣けよ?
お前の泣き顔って……めっちゃ弱くて、
壊しやすそうで…見てて楽しいんだよな。」
みことの目から涙がぽろぽろ落ちる。
「……やめ……やめて……」
「やめてほしいなら、“やめてください”
だろ?」
「……や、やめてください……」
なつが満足げに笑う。
いるまがみことの耳元に囁いた。
「俺となつ、もうお前に飽きてきてる。」
顔が真っ青になるみこと。
「飽きたらさ……次どうなると思う?」
答えられない。
「冷たい教室で1人で泣いて考えてろよ。」
なつがくるりと背を向ける。
「じゃ、帰ろ。いるま。」
「あぁ。」
二人は本当にそのまま教室を出ていく。
後ろを一度も振り返らない。
残されたみことは、 声を押し殺して
机にしがみつき、震えながら泣いた。
―――――――――
教室を出たあと、
みことは通学路のカーブを曲がった瞬間、
足がふらりと揺れた。
「……っ、は……ぁ……」
脇腹の痛みが波のように押し寄せる。
さっき蹴られたところが腫れて、
呼吸するだけでズキズキした。
歩道の柵に掴まりながら、
ゆっくり、一歩、一歩……。
でも膝が耐えられず、ガンッ、と転んだ。
「っ……い、たい……」
誰もいない。
誰も助けてくれない。
らんらん…
名前が喉まで出たけど、呼んだら
余計惨めになるだけだと思って飲み込む。
「……帰らなきゃ……」
這うようにして立ち上がり、
何度も転びながら、
それでも家へ向かった。
―――――――――
古くて湿った匂いのするアパートの
階段を 手すりにしがみつきながら上がる。
ドアノブが錆びていて、
鍵を回す手も震えている。
「……ただいま……」
暗い。
電気はついていない。
リビングの奥でテレビの光だけが
ちらちらしていて、
その前には父親が座っていた。
振り向きもしない。
「……父さん、帰った……よ……」
声は小さくかすれていたが、
返事はない。
しばらくして、テレビの音に混じるように
低い声が落ちる。
「……その傷、なんだ。」
みことは固まる。
怒鳴られたわけじゃないのに、
背筋が冷たくなる。
「……っ……ただ、転んだだけで……」
すると父親が笑った。
その笑いは嬉しさでも心配でもなく、
嘲りそのもの。
「……母さんに似たんだな。弱ぇところ。」
みことの呼吸が止まる。
「何回も言うぞ お前を産んで……
母さんは死んだ。」
テレビの光に照らされて、
父親の目だけがぎらりと光る。
「お前のせいだろ。
あいつが死んだのは。」
みことの喉がしめつけられる。
「……ちが……う……」
「違くねぇよ。」
父親は立ち上がり、近づいてくる。
「お前見るたび思い出すんだよ。
あいつがどれだけ苦しんだかってな。」
肩を掴まれ、壁に押し付けられる。
「俺の人生もぶっ壊したくせに、
学校で何やってきたんだその傷。
喧嘩か?いじめか?
どうせお前が悪いんだろ。」
みことの目から涙がこぼれる。
「……ごめんなさい……」
「謝るなら最初から産まれてくんなよ。」
その言葉が、
一番深く刺さった。
父親はみことを乱暴に突き放すと、
何事もなかったようにまたテレビの前へ
戻った。
みことはふらつきながら自分の部屋へ
入り、 膝を抱えて静かに泣いた。
声を出すと怒られるから、
必死に息を殺して。
―――――――――
自室のドアを閉めた瞬間、
みことの身体から力が抜けた。
ドサッと床に座り込み、
しばらく目の焦点が合わない。
「……ごめんなさい……ごめんなさい……」
誰に向けた言葉でもない。
ただ、自分の存在を薄めるための
儀式みたいに繰り返す。
やがて、喉が痛いのに言葉が
止まらなくなる。
「生まれてきて……ごめんなさい……
母さん……ごめん……父さんの
人生も壊して……学校でも役に立てなくて……
……なんで俺、生きてるんやろ……」
声が震え、涙が止まらないのに、
感情だけがどんどん麻痺していく。
胸の奥が空洞みたいにすうすうする。
ふらふら立ち上がり、
洗面台の鏡を見る。
腫れた頬、割れた唇、涙で濡れた顔。
「……きたない……」
鏡の前の自分を見て、
みことは突き落とされるような嫌悪感に
襲われる。
「こんなの……誰も好きになるわけない……
らんらんだって……こんな俺……
見たら嫌だよな……」
また涙が出る。
でも胸だけは冷たいまま。
みことはクローゼットを開け、
奥のほうから小さな箱を取り出した。
中には
・折れた鉛筆
・古い手紙の切れ端
・使用期限の切れた薬
・錆びたカッター
全部、
「居場所がないと感じた日」に
集めたもの。
触るたびに、過去の記憶が蘇る。
「……使えたら楽なのに……」
カッターを握るけど、
手が震えて動かない。
刃先が自分の肌に触れると、
息が止まり、涙が溢れて
胸が締め付けられて吐き気がした。
「……できない……怖い……
死ぬ勇気もない……
なのに、生きるのも…痛い……」
喉が痙攣したみたいに嗚咽が漏れ、
床に崩れ落ちる。
呼吸がうまくできない。
胸がぎゅっと締め付けられ、
視界が狭くなる。
「……っ……は……っ……たす……け…ッ…」
誰も来ないと分かってるのに、
声にならない声が漏れる。
「っ……ひとり……いやだ……
だれか……らん…らんッ…」
ここで、
みことは初めて声をあげて泣いた。
枕を抱きしめて、
喉が焼けるほど泣いて泣いて泣き続けて、
そのまま意識が遠のく。
―――――――――
◆翌朝
朝日が差し込むころ、
みことは床に倒れたまま目を開けた。
頭が割れそうに痛い。
体が重すぎて、起き上がるだけで
吐き気がこみ上げる。
「……つかれた……」
誰にも言えないまま、
声は無く、心だけが静かに擦り切れていく。
昨日の夜の“幻”がまだ頭を離れなくて、
眠れたのかもよく分からないまま、
ただ時間だけが過ぎていく。
「……父さん、今日…ちょっと体調が悪くて。学校、休んでいい……?」
声は震えていた。
怯えているのが自分でも分かる。
父親は新聞を読みながら、最初は無視した。
けれど、みことの声があまりに弱々しかったのか、顔だけがゆっくりと上がった。
「は?」
その一言で、空気が凍る。
「何言ってんだテメェ。
誰が学費払ってやってんだよ」
低い声が、嫌なほど静かで。
なつの背筋は反射で強張った。
「……ごめんなさい、
でも…ほんとに、ちょっと……ッ」
「ちょっと? ちょっと体調悪いくらいで
休む金、誰が出してんだ?」
椅子が ギィッ と音を立てた。
父親が立ち上がった瞬間、みことの呼吸は
浅く短くなる。
逃げられない。
「甘えんなよ。いい年して、
ガキみたいなこと言ってんじゃねぇ」
父親の手が、
新聞を丸めた勢いのまま持ち上がる。
――殴られる。
そう思った瞬間、みことの視界がぐらりと
揺れた。
心臓が喉までせり上がってくる。
「す、すみません……いきます。
いきますから……ッ!」ガクガクッ
声が勝手に震えて、涙が滲む。
父親の腕が止まる。
だが怒りの熱だけは目に残っていて、
逃げ場のない圧がのしかかる。
「最初からそう言え。
……くだらねぇことで手間かけさせんな」
新聞が机に叩きつけられて、
みことは反射で肩を跳ねさせた。
父親が部屋を出ていく足音が遠ざかるまで、
呼吸が戻らなかった。
みことは膝を抱えるようにして、
ゆっくりと座り込む。
——学校行かなきゃ。
行かなきゃいけない。
でも、身体が動かない。
ーーーーーーーーー
無理やり学校に来たみことは、
午前中だけで限界だった。
息が浅くて、教室の蛍光灯が
目に刺さるように痛い。
足元はふらつき、黒板の文字は霞む。
(……もう無理。ちょっとだけ、
横にならないと……)
やっとの思いで保健室のドアに
手をかけた。
ガラッ……
そこで、みことの時間が止まった。
ベッドの薄いカーテンの向こうから、
くぐもった声が聞こえる。
くすぐるような笑いと、押し殺した息。
「や、いるま……近い……っ//」
「いいじゃん別に。誰も来ねぇよ、
こんな時間」
「…、好き」
カーテンを開けた瞬間、
ベッドの上でいるまがなつを抱き寄せ、
首元に顔を埋めているのが見えた。
なつは頬を赤くして、
胸元を軽く押し返している。
ほとんど恋人みたいな距離だ。
みことの肺から、
音にならない息が漏れる。
(……嘘だろ)
二人が、同時にみことを見た。
なつの表情が、嫌悪に歪む。
「……は?」
いるまは舌打ちした。
「チッ、タイミングわりー。
お前、なつの姿見たか?」
みことは震える声で答える。
「み、見て…ないです……」
胸の奥が、何かが砕けるように痛い。
なつはベッドの上でゆっくりと身体を
起こした。
布団で体を隠して完全に、冷たい目で
みことを見る。
「……いるま。こいつのこと
殺してもいいから殴って」
言葉は静かだったのに、
保健室の空気が 一度で凍りついた。
いるまは片手でなつの頭をぽん、
と撫でて、
「ん、。りょーかい
……ってことで、みこと。覚悟しろよ?」
ベッドから降りる足音が近づいてくる。
みことは後ずさりした。
膝が笑い、壁に背中がぶつかる。
(どうして……なんで二人が……
なんで俺がこんな目に……)
保健室の薄暗い影が、
逃げ場のない檻みたいに感じられた。
後ずさるみことの背中が、
コツンと硬い壁にぶつかった。
その瞬間、
いるまの口元が、にやりと歪む。
「逃げ道なくなっちゃったな、」
声は低く、わざと優しく囁くみたいに
聞こえるのが余計に怖い。
みことは必死に視線をそらすが、
いるまはゆっくり、
ゆっくり距離を詰めてくる。
足音が一歩ごとに大きく響く。
(やだ……ほんとに来ないで……)
いるまはみことの制服の胸元を掴み、
壁に軽くドンッと押しつけた。
それだけで息が跳ねる。
「お前さあ。
俺となつの邪魔したよな?」
至近距離。
いるまの表情は笑っているのに、
目だけが全く笑っていない。
みことの心臓は痛いほど跳ねた。
「ち、が……ただ具合悪くて……」
「言い訳すんなよ。
お前が来なきゃ、
もっと楽しかったんだよ」
吐き捨てるような声。
その“もっと”という言葉が鋭く刺さる。
ベッドの上のなつが、足を組んでみことを
見下ろす。
「いるま、まだ優しいよ。
もっと詰めてよ。 こいつどうせ泣くまで
何もわかんないんだから」
なつの声は冷たく静かで、
みことの頭が真っ白になる。
いるまはみことの顎を指先で掴み、
無理やり顔を上げさせた。
「ほら、父親に嫌われてる可哀想な
みことくん 早く泣くなら泣きな…?」
図星を突かれたみことの喉から、
息が止まる。
(なんで……知ってる…の…?)
いるまはさらに口元を近づけ、囁く。
「全部バレてんだよ。
お前の家のことも、
誰にも愛されてないのも。
だからって俺らに迷惑かけて
いい理由には ならねぇよな?」
壁がぐらぐら揺れて見える。
足が震えて、立っていられない。
(やだ……誰か……助けて……)
でも、誰も来ない。
この空間には、
みことを追い詰める二人しかいない。
いるまの手が振り上がり、
みことは反射的に目をつむった。
(殴られる……!)
――その瞬間だった。
「やっ……!」
気づけばみことの腕が勝手に動き、
肩を押し返すように力が入っていた。
殴られる前に“防御のつもり”で出した手。
けれど、みことの体重が予想以上に
乗ってしまい、
ドンッ!!!!
「――は?」
いるまの身体がベッドの縁にぶつかり、
尻もちをつくように倒れ込んだ。
保健室に、不自然なほど静かな音が
響いた。
みことはその場で凍りつく。
(ちがう……今の……押したんじゃない……!
勝手に、体が……!!)
いるまは倒れたまま、
しばらく目を見開いて固まっていた。
その光景を見て、
ベッドに座っていたなつが
「……は?」と低く呟いた。
次の瞬間、**ガタン!!!!**と
大きな音を立てて立ち上がる。
首筋の血管が浮き上がり、
噛みしめた奥歯がギリッと鳴る。
怒りで瞳の色が変わったみたいに見えた。
なつの声は、完全に“切れた人間”の
声だった。
「お前……今……何した?」
みことの喉が音にならない震えを返す。
「……ちが……っ、勝手に動い……」
「いるま、押したよな?」
語尾が震えている。怒りを堪えている
“震え”じゃない。
爆発する前の震えだ。
いるまは倒れながら、
手をついて起き上がる。
額に手を当て、苦笑しながら、
「……はは。やってくれんな、みこと」
それを聞いたなつの怒りが
――完全に引火した。
ズンズンと床を踏み鳴らし、
みことの方へ歩いてくる。
「殺すまではしねぇよ。でも」
目が一切笑っていない。
「お前、俺のいるまに――触ったよな?」
その一言で、みことの足は完全に
すくみあがる。
逃げようとしても、壁が背中を押し返す。
(やだ……!やだ……!
なんで……なんでこうなるん…!?)
なつはみことの胸ぐらを掴んだ。
指の力が強すぎて、布がきしむ。
「許せねぇんだけど。
お前みたいな奴が、いるまに触ってんの。
勝手に体が動いた? 知るかよ。」
耳元で囁くように怒鳴る。
「お前の存在がムカつくんだよ。
今日ここで消えても、
誰も困らねぇよな?」
いるまはゆっくり立ち上がりながら、
その光景を微笑みながら見ていた。
「なつ、やっちまっていいぞ」
みことの視界がぐらぐら揺れた。
(……ほんとに、殺される……)
胸ぐらを掴まれたまま、
みことは呼吸がうまくできなかった。
なつは殴らないまま、
わざとゆっくりと顔を近づける。
怒鳴りもせず、語尾が震えもせず。
ただ“感情が消えて”いた。
その表情が、逆に恐ろしかった。
「……お前さ。
なんで生きてんの?」
みことの心臓が止まりかける。
「違うよ?殴れっているまは言ってたけど、 殴る価値すらないってこと。」
言葉が喉で固まるみことを
見下ろしながら、 なつは目を細めた。
「お前、生まれてきてよかったと
思ったことある?」
(やだ……やだ……やめて……)
「ないよな。顔見たらわかる。」
いるまが後ろでクスクス笑った。
「みことってさ、
“誰にも必要とされてない顔”してるよな。」
なつが続ける。
「親にも愛されてねぇんだろ?
友達もいないよな?
俺たちに話しかけたのが間違いだよ。
身の程わきまえろよ。」
みことの膝が震えて、
床に崩れ落ちそうになるのを
なつはわざと支えず、胸ぐらだけで
吊り上げた。
「母親殺しさん?」
耳元で囁く。
「家帰っても地獄、学校来ても地獄、
逃げ場所ある?」
みことの目に涙が溜まった瞬間、
いるまがニヤッと笑いながら歩み寄る。
「やめろ キモいから。
泣いたって誰も助けねぇよ?」
なつが追い打ちするように言う。
「その“勝手に体が動いた”とか言い訳さ。
お前みたいな弱い奴が逆らったって、
すぐ死ぬだけだぞ?」
声は穏やかで、
内容だけが地獄だった。
みことが震える手で口を覆ったが、
その仕草を見ているまが鼻で笑った。
「自分が邪魔者って、気づけよ。」
なつが胸ぐらを離す。
突き放され、みことは床にへたり込んだ。
その上から二人が見下ろす構図。
完全な上下関係。
逃げ場なし。
いるまがしゃがみ込み、
みことの顎を指先で持ち上げる。
優しい手つきなのに、言葉は刃物だった。
「なぁみこと。
一回、本気で考えたことあるだろ?
“俺なんで生きてんだろ”って。」
みことの呼吸が止まる。
なつが笑わずに言う。
「答え教えてやるよ。
―お前は、誰の人生にも必要ねぇからだ。」
その瞬間、みことの視界が真っ白になった。
心が“折れた”音がした。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
お疲れ様でした。
久々のリクエストで結構描いちゃいました
改めましてリクエストありがとう
御座いました。
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