「お待たせー」
「ん、おかえり」
お風呂上がりの18号が私の隣に座る
今日から18号のお家にお泊まり
関東から関西までちょっとした旅行気分だ
「あれっ明日雨だ…どうしよっか」
「そうそう、そうなんだよねぇ」
明日は某テーマパークに行く予定にしてたけど残念ながら雨マーク
でも私の滞在期間は数日あるから心配ない!と、予定の組み替えを話し合う
いつがいいかなぁ、と真剣に悩む18号の横顔がかわいい
実際に会うのは久しぶりだ
こんなにかわいかったっけ?とじっくり眺めてしまう
「なーに?どうしたの?」
私の視線に気づいた18号が見つめ返してきた
目が合うだけで心がポカポカする
でもそれと一緒に…ソワソワもする
いや……実は、今日一日ずっとそうだった
「遠距離って……なんかこういうとき恥ずかしいね」
「なにが?」
「実際に会うの久しぶりじゃん?」
「うん」
隠していてもしょうがない
せっかく会えたんだ、伝えてもいいよね
と意を決する
「その…今日…する、かなって…浮かんじゃって…。いやごめん!引くよねこれは!ごめんて!」
決した割にはしどろもどろで…
恐る恐る18号の顔色を伺うが、良いとも悪いともとれない表情をしている
「別に、いいけど」
「引いてるやつじゃん…?」
「すこし」
「ですよね?!」
これはやらかしたと額に手を当て俯く
すると頭上から声が降りかかってきた
「でも」
ん?でも?
「期待してくれたのは嬉しい…かな?」
「おぉ…」
思わず感嘆の声が出る
まさかポジティブパターンだったとは…
「なーにー」
「デレ!てる!」
自分の口元が緩んでいるのがわかる
嬉し過ぎて本音の感想が漏れ出ていた
「あー、もうだめ。やだ」
「ごめんごめんごめん!」
茶化したわけじゃない
普段やたらツンな彼女のデレが見れて、ただ嬉しかっただけで…
と、そんな言い訳は彼女には関係ない
少し眉根を寄せて彼女は黙ってしまった
「…」
「ああーじゅはちーごーめーんー!!」
顔の前で両手を合わせて謝る
このタイミングで険悪になるのだけは避けたい
せめて仲良く眠りについて明日を迎えたいと頭を下げる
「じゃあ、はい」
「あれ?いいの?」
声がかかったのを聞いて顔をあげると、18号が両腕を広げていた
これは…逆転勝利なのか?
確信を持てぬまま、おずおずと彼女の腕の中に収まった
「よいしょ」
よいしょ?
妙な掛け声を聞いて首を捻ったのも束の間、あっという間に身体が倒され、私に18号の影が落ちる
「ん???待っっって!想像してたの逆!」
「はいはい」
こ、これは完全に
「聞いてくれないやつ〜…」
18号がとても良い笑顔をしている
それだけで私の意見は到底聞き入れてもらえないことがわかる
一本取られたってやつなんですかね…
「今は私、ね?」
「っ…はい」
ダメ押しとばかりに囁かれる
有無を言わさぬ彼女の視線に “これは敵わない” と観念して、 おとなしく目を閉じた
(私だっておなじ)
(…ん?”今は”?)
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