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11side
11「俺さぁ、稜雅のこと好きなんだよね」
そう言ったのはたしか2ヶ月ほど前のこと。
メンバーとツアーの打ち上げをした帰り、稜雅と二人きりになったところで酔った勢いで伝えてしまったのだ。
3「恋愛として…?」
11「そ、恋愛として」
そう言い切ったところで何故かタイミング良く酔いが覚める。正常に脳が稼働しはじめて、数秒前に口に出した言葉を思い出した。
まって俺、告白しちゃった…!?
己の行動に後悔と羞恥心でいっぱいになっていく。
慌てふためく俺をぼーっと見つめる稜雅の表情からは何を思っているのか読み取れなかった。
11「やっぱなしっ!ごめん、わすれて…」
3「あーー、試しに付き合ってみる?」
……と、そんなこんなで付き合うことになった。
付き合ったと言っても、一緒に買い物に行ったり俺の家でゲームするくらいで。勿論手を繋いだことは無いしハグやキスなんて以ての外。
稜雅が渋々付き合ってくれたようなものだから、2ヶ月も俺の我儘に付き合ってくれてるのに少し申し訳無さを感じてしまう。
11「やっぱ付き合っても好きになってくれるってわけではないよなぁ…」
12「なに、また稜雅くんの話?」
雑誌の撮影の休憩時間に楽屋のソファに腰掛けていると、まさが隣にボスッと腰を下ろした。
まさはメンバーで唯一俺らの関係を知っている人で、この2ヶ月間ずっと相談に乗ってもらっていた。
11「そー。そろそろ別れ切り出されちゃうかな」
12「いいの?秀哉はそれで」
11「いいわけないじゃん…」
「でもどうすればいい?たすけてまさぁー」
12「うわっ、秀哉苦しい。抱きつくなよ」
11「ねぇひどいっ!俺らの仲じゃん!」
そうやっていつものようにじゃれ合っていると、突然ガシッと右の手首を掴まれた。
3「次、俺らのペア撮影だってよ」
11「……ぁっ、分かった!」
話してたこと聞こえてないかな、なんて頭の中でグルグルしながら撮影場所へ向かう。
手首は掴まれたままで少しキリキリと痛い。
斜め前を歩く稜雅は少し不機嫌そうな顔をしていて、チラッと見上げると目が合った。
11「なんか怒ってる?」
3「あ?怒ってねーよ」
11「ほらぁ、絶対怒ってる。掴む力強いし…」
3「あ、わりぃ」
パッと掴んでいた手を離されて、痛みがなくなったのと同時に触れられて感じていた温もりが消え寂しいなぁなんて思ってしまった。
撮影場所に着くと、薄暗い照明にどこか大人な雰囲気を感じるセットに気を取られる。
カメラの先には焦げ茶のレザーのソファがぽつりと置かれてあった。
『じゃあ秀哉さんはソファに座ってもらってー、そうそう脚は閉じて…』
『稜雅さんは秀哉さんの太腿に頭乗っけようか。膝枕みたいな感じで』
カメラマンに指示された通り俺の太腿に頭を乗せてこちらを見てくる稜雅の視線に気づきながらも、気恥ずかしくてパッと目を逸らす。
今目を合わせると、好きだって気持ちがさらに抑えきれなくなりそうで。いつか来る“終わり”のためにもこの恋心を加速させては行けないと思った。
11「っ……!」
撮影が始まっても波打つ鼓動は収まらなくて、ぎこちない表情でいると稜雅が腕をこちらに伸ばしてきた。細くて長い指先が俺の頬に添えられて、急な温もりに驚いていると無理矢理顔を下を向けられて目を合わせる。
3「さっき、政裕と何しゃべってたんだよ」
11「ちょ、今撮影中…!」
3「いいから。答えて」
11「…なんでもいいじゃん。稜雅には関係ないよ」
稜雅のことを話してたなんて言えるわけないじゃん。しかも別れ話切り出されるかも、なんて。
少し突き放すような言葉を口にしたタイミングで撮影が終わった。気まずくて太腿にかかっていた重みと温もりが無くなった途端にその場を離れる。
撮影も終わったことだしもうこのまま帰ってしまおうかと考えていると、後ろから腕を引っ張られて足を止めた。
3「まって。今日秀哉の家行っていい?」
11「……なんで?」
3「秀哉と話したい」
11「っ……わかった」
真剣な瞳に捕らえられ逃げ場をなくす。
あぁ、別れ話されるんだろうなと悟った。
11「先帰ってるから……家着いたら連絡して」
後ろにいる稜雅に振り向かずに告げて、そそくさと楽屋を出た。
都会の夜は大人たちで騒がしくて、堪えていた涙が頬を伝っても誰も気づきやしない。それが心地よい。
はぁっと息を吐くと、寒さなのかはたまたそれ以外のなにかが原因なのか、喉が酷く震えた。
11「もう、終わっちゃうんだ」
付き合うことになって、もしかしたら両思いになれるんじゃないかってどこか期待している自分がいた。絶対に好きになってもらうんだって意気揚々とまさに話していたのに結局これだ。
2ヶ月間どれだけ恋人のようなことができたんだろう。手、繋ぎたかったな。ハグもキスもしたかった。
あぁ、こんなにだいすきなのに。
届くことのない、大きくなりすぎてしまった恋心の存在が重く辛い。
家に着いて稜雅を待つその数十分がとても長く感じた。
ピンポーン
3「よっ」
インターホンが押され、扉を開けると右手にコンビニの袋を持った稜雅が顔を出す。
リビングに通すと迷わずソファの左側に座った。
そこは付き合ってからゲームをするたびに俺の家に来ていた稜雅の定位置になっていた。
3「これ、手首赤くなってるかもと思って」
そう言ってコンビニ袋から取り出したのは冷却性能のある湿布。稜雅は俺の右手を取って手首に出来ていた赤い痕をなんとも言えない表情で親指でなぞった。
11「っ……やめて、最後まで優しくしないでよ」
稜雅の手の中にあった右手を引き抜く。
自分から“最後”と言うのが辛かった。
でもそれ以上に、稜雅の優しさが苦しい。
どうしても離れたくないと思ってしまう。
3「は、?なに最後って」
11「別れ話しに来たんでしょ?はやく言ってよっ…」
「ごめんね、ずっと俺の我儘に付き合ってくれてありがとう」
別れたくない。まだ一緒にいたい。
だけど、申し訳ない。
いろんな感情でぐちゃぐちゃになって、稜雅からの視線も痛くて、目を合わせられず俯いた。
3「秀哉。こっち向いて」
11「やだ、俺いま酷い顔だもん」
3「いーから」
両手で頬を挟まれて無理やり顔を持ち上げられる。
目が合った稜雅は、まるで世界一愛おしいものを見つめるかのような優しい表情をしていた。
3「秀哉に話したかったのはそういう話じゃないよ」
11「え?」
3「最近さ、お前がいろんなやつと距離が近いのを見るとめちゃくちゃモヤモヤしてさ。ずっとなんでだろうって思ってた」
「でも今日政裕に抱きついてるのを見て咄嗟に体が動いてたんだよ」
「秀哉が他の男に抱きついてるのにイライラしたし、俺に関係ないって言われたとき『お前の彼氏なのに』ってなった」
11「それって、、」
3「これってさ、秀哉が伝えてくれた“好き”と同じ気持ちだよな?」
ニヤッと笑った稜雅が涙でぼやける。
好き?稜雅が俺を?
3「あーもう泣くなよ笑」
11「ぅぅ…だってぇ…!」
3「ははっ、かわい」
11「っ…!!ばかぁ…めっちゃ待ったんだよ?」
3「ごめんな、でも多分秀哉が思ってる以上にお前のこと好きだから」
両頬に添えられていた指で次々と溢れる涙が拭われ、唇が優しく重なる。
11「これからは手繋ぐのも、ハグもキスもしてね?」
3「もちろん、それ以上もね?笑」
11「っぅ~~~!!」
Fin.
こんにちはまめです!
閲覧ありがとうございます🎶
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きなこもち
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コメント
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主さんの作品ちょー満足度高くて好きです🫶