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最高です😇ノーベル賞受賞してますよね??本当に神ってます🥹文章の書き方もBIGLOVEです😇
fwhr
付き合ってる
同棲済
Hなし
ちょい甲斐田が病み気味
約3200時
ご本人様関係ありません
fw視点
ここ1ヶ月の晴は、毎日毎日残業をしていて、帰ってくるのがすごく遅い。日を跨いで帰ることばかりで、正直彼の体調や精神面が心配だ。
試しに以前、
『晴、大丈夫なん?体は。無理してへん?』
と聞いてみたが、
「大丈夫ですよ。本当にきつくなったら頼りますから」
と言われてしまった。
別にそれで頼ってくれるならいいのだが、全く相談もしないし疲れていく一方で、最近は会話も食事もままならなくなってきてしまっている。
さすがにまずいと思い、休みを取るように説得した。おかげで明日はようやく一日晴がゆっくり休める日になった。
とりあえず今日も8時までには帰ってくるように言ったし、ご飯だけ作っといてやるか。
たまには癒してやらねぇとな。
『悪いな、晴。手伝ってもらっちゃって』
「いえ、作って下さったんですから、これぐらいさせてもらわないと」
家に帰ってきた晴には今、俺が作ったご飯をテーブルに運んでもらっている。帰ってきた時はわずかに元気かと思ったが、今晴の目は俯き気味で、目の下の隈や疲れきった顔を見ると辛くなってくる。
飯食べさせたら風呂入れて、マッサージでもしてやるか。そしたらベッド突っ込んで寝ると。俺がいない方がぐっすり寝れるか、でも居たら嬉しいって言ってくれるし⋯どうするか
ガタンっ
リビングから大きな音がしてハッとなり、急いで向かう。
『晴!?どうした!?』
晴が片手をテーブルに乗せたまま、座り込んでしまっていた。隣にしゃがみ、背中を支える。
「す、すみません⋯なんか急に、⋯目が回って⋯」
『⋯⋯おい、晴⋯⋯相当熱いぞ』
なんだか異様に背中が熱い。顔を見れば若干青ざめていて、油汗をかいている。
『⋯いつから熱あったんだ』
「分からないです⋯帰ってくる時から気持ち悪くて、、ご飯食べれば治るかと思ったんですけど⋯」
『⋯なんで言わなかったんだよ、我慢してないで一言声かけてくれれば⋯!』
「⋯⋯⋯⋯ごめん、なさい」
『⋯あっ⋯いや、』
馬鹿だ
『ごめん、晴は悪くないから』
馬鹿だ、俺
『とりあえずベッドで寝よう。一緒にいくか?』
「⋯大丈夫です、もうひとりで立てるので」
馬鹿
これが甲斐田晴だろ。
自分のキャパシティ理解出来てない。だから、俺が見ててあげなきゃって、ずっと思ってたのに⋯⋯
俺が支えなきゃいけないんだから⋯⋯
体温計や解熱剤、飲み物、冷却シートを持ち寝室に行くと、晴はベッドで、今度は真っ赤な顔になりながら息を上げていた。
トントン
「晴、大丈夫か。薬とか持ってきたけど、飲めるか?」
『⋯ありがと、ございます⋯』
晴の肩ら辺を優しく叩いて目を覚まさせ、背中に手を回して起き上がるのを手伝う。
熱は39.1分とそれなりに高かった。解熱剤と頭痛薬を飲ませ、水分をしっかりとるように強く念を押した。
『このサイドテーブルのとこに飲み物置いておくから、好きな時にとって飲めよ』
「はい⋯」
『あと、なんかほかに必要なものあるか?』
「いえ⋯⋯大丈夫です」
苦しそうな息遣いをする晴を見ると本当に可哀想で、俺は我慢できず赤くなった頬にキスをした。
『⋯⋯早く良くなれよ⋯⋯バかいだ』
「⋯はは、ほんとですよね⋯ミスして、自分で仕事増やして、不破さんに看病されてるんじゃ⋯庇いきれないですよね⋯ごめんなさい」
『⋯⋯っ』
分かってるんだ。技術はあるのに上手く使いきれていないところも。こいつ自身にある優しさそのものを、他人に全部与えてしまうから、自分に割く分がなくなってしまうことも。
分かっているから助けないといけないのに、俺も気づけなくなってた。気付こうとしていなかった。
心配だけして、どこから手を出したらいいのか分からないのを言い訳に、助けを求められないこいつを放っておいてしまった。
俺の落ち度でもあるんだ⋯
『⋯晴は悪くない⋯⋯気にすんな』
これしか言えないのが悔しい。でも変に言いすぎても、気を使ってるのが分かりやすくて余計に傷つけるかもしれない。
『じゃあ⋯なんかあったら呼んでな、すぐ隣の部屋にいるから』
「はい⋯」
終始目を開けられなかった晴の頭を撫でて、俺は部屋から出ようとした。
「不破さん」
『⋯ん?どした?』
「ありがとう⋯」
『⋯おう』
「⋯僕、不破さんが休めって言ってくれなかったら、今日も、明日も残業してた⋯」
『⋯⋯』
「残業してたら、、熱も出なかった⋯」
「不破さんといると⋯⋯安心しちゃって⋯」
『⋯⋯』
「気が抜けちゃったんだ、 、、」
「不破さんには迷惑な話かもしれないけど、、僕、すごくほっとした⋯⋯ 」
「⋯ありがとう」
なんで礼なんか⋯
そんなもの言ってもらえるようなことは何も出来ていないのに⋯
でも、俺にとっての『何も出来ていない』が晴にとっては「大きな救い」なのかもしれない。
それぐらい、こいつと俺は物の見方も考え方も違くて⋯
それぐらい、こいつは⋯⋯溜め込んでいた。
ドアにかける手を離し、苦しそうに息をする晴に近づく。
なんで、、、言えないんだろう
どうして、、、助けを求められないんだろう
しょうがない事なのにどうしようもなく可哀想で、でも俺がどうにかできる事でもなくて、言葉にならない思いがグッと胸におしよせ、晴の頭に覆い被さるように抱きしめる。
「⋯⋯不破さん」
『晴⋯⋯』
『⋯⋯迷惑、かけていいんだよ⋯恋人なんだから⋯』
友達でも、営業でも、先輩後輩でもない。
俺たちは紛れもなく愛し合っている。だから頼って欲しいし、頼りたい。疲れた時に休める場所を作れる、唯一の存在だから。
晴の息が首元にかかる。ゾクッとして、生きていると実感する。
『⋯晴、愛してるよ⋯俺だって迷惑いっぱいかけるし、たくさん可愛がってやるから⋯』
『そんな思いつめないでくれよ⋯』
分かってる、出来ないんだってことは。でもわかって欲しい。必ず、どんな時でも、いちばん傍で支えてあげられるのは俺だけだ。
「⋯⋯ありがとう、、、善処、する⋯大好きだよ、不破さん」
晴の顔を見たくて少し離れたら、晴は静かに泣いていた。横向きで寝ているせいで、涙は枕の方へ流れていく。
一滴拭ってやると、それはものすごく熱を持っていて、冷たい俺の手にジュワッと溶けていくようだ。
苦しい思いが涙として溢れて、きっと今は安心しきっているだろう。汗をかき、涙を流し、眉をほんの少しひそめる顔がどこか可愛らしい。
ちゅっ
「んっ⋯///」
『ぷはっ⋯ごめんね晴、辛いのに』
「そんなのはいいですけど⋯移っちゃいますから⋯せめて口じゃないところにすれば、良かったのに⋯」
『口にしたかったんだ、』
『ゆっくり休めよ』
そう言って晴から身を離したときには、こいつはすでに寝ており、音を立てないように部屋から出た。
ちょくちょく姿を伺って⋯とかしていたせいで、その夜俺は、ほとんど眠れなかった。
翌日、晴が体を起こしてきたのは午後の3時をすぎた頃だった。
熱は下がってはいなかったが、顔色は多少マシに見えたし、表情もいくらか明るかった。
でもどこか人が変わってしまったような、また今までとは違う別の何かを背負ってしまっている感覚がした。
怖くて聞けなかった。聞いてしまったら、もう二度と俺の目の前には現れてくれないような、不明確な確信があったから。
晴は⋯⋯
俺にどうして欲しいんだろう─────
読んでくださりありがとうございました!
こんな感じの終わり方になる予定ではなかったのに
バッドエンドみたいになっちゃった
ハピエン期待してくれてた皆様ごめんなさい
疲れ切ってしまう甲斐田がとても好きで⋯
それを心配しすぎちゃったぷわも好きなのですが、今回は過干渉レベルは低めにしました
次回もまた読んでくれると嬉しいです♪