呪術廻戦 夏油傑 様の夢小説
⚠自己満夢小説
⚠意味不
⚠雰囲気重視
⚠コメント欄に解説
⚠夢オチ
⚠誰も救われない
⚠夏油傑離反後
上記が大丈夫な方だけお進み下さい𓂃☁
入道雲を見ると不思議な気持ちになる。
純粋さを表す白とどこまでも大きく広い見た目から、自由と希望を感じさせる。
白くて綺麗で大きなそれが、嫌なことも怖いことも全部吸い取って、消してくれる気がしてた。
でも、そんな雲にも限界がある。
不安や焦燥を感じさせない笑顔の裏では、誰よりももがき苦しんでいる。
そしてそれは、後に激しい雷や雨を降らせるのだ。
澄み切った青空、大きな入道雲、蝉時雨。
当たり前の夏の光景をこんなにも憎んだことはない。
サンサンと照りつける夏の太陽とは対照的に、 彼…夏油傑はみるみるうちにやつれていった。
無造作に下ろされた黒髪、眼下の濃いクマ。
いつもの胡散臭い笑顔すらマトモに作れなくなった彼の手を、私は取った。
「逃げよう、傑」
「!」
大きな手を両手で包むように握ると、彼の金色の瞳が小さく揺れた。
「何処へだい?」
「傑が行きたい場所でいいよ」
「行きたい場所…」
「無いなら私が決めちゃうよ。行先は重要じゃない」
「今すぐにでも行こう」「さあ早く」って、木陰に座る彼を引っ張って、立ち上がらせる。
携帯も家の鍵も置いていこう。
財布とお菓子だけ持っていこう。
思い出の写真も部屋のテーブルに置き去りに、心に留めてただ走ろう。
この腐った世界から、私と君だけ、遠い遠い遥か彼方へ。
戸惑いの色を見せていた彼の表情も、重かった足取りも今は軽い。
久しぶりに見た君の笑顔は世界で一番輝いて見えた。
ゆっくりと浮上する意識の中で、雫が頬を伝う感覚をただ感じ取った。
夢にまで見た彼との逃避行。
それにはちょっとの勇気と、ほんの少しの勝手さが必要で、私にはそれが足りなかった。
怖かった。彼に「逃げよう」と言い出すのが。
それを断られるのが。
一番怖いのは、彼が壊れてしまう事だったのに。
その時の私は気付けなかった。
もう一度あの頃に戻れたなら、私は彼と逃避行に出る。
入道雲は遠くの青空からこちらを見ている 。
広い心で全てを受け止めてくれるように見えるけれど、雲の真下では雷が落ちている。
彼は、雷に呑まれてしまったのだ。
彼にはその雷から守る避雷針が必要だった。
( 今後悔したって遅いのになぁ)
夢の中で私達は逃避行をする。
何度でも繰り返し、何時か後悔が消えるまで。
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