「それで、初期症状としては倦怠感、体の痛み、そして念力の能力という所ですか。」
「はい……。」
「思っていたよりも吸血鬼化が早いですね。この分だと今晩には飢えが始まるでしょう。それに、もしかすると花月さんは複数の能力を持つことにもなるかもしれません。」
「…それって……」
飢え……私も人の血を飲むようになるのかな……?
雪乃やお父様、お母様、使用人たちみたいに、また誰かを巻き込む。それを見ている側じゃなくて、命を奪う立場になるんだ。
そんなの…辛いな。
「貴女が考えていることも可能性としては有りうることではあります。ですが……貴女が自身の能力や飢えをコントロールすることできれば、問題ないことです。」
「はい。」
「さて、これ以上長居すると貴女にも負担をかけてしまいそうなので、私は部屋に戻ります。何かあったら聖に言いなさい。貴女の吸血鬼化が終わるまで、聖にはこの部屋で花月さんのお世話をしてもらいます。」
悠夜さん……気をつかってくれているのかな。
「私はそんな優しい人間ではありません。ですが……貴女の心の声が聞こえてしまう今、私は貴女の前で冷静でいられる保証がない。それだけのことです。お大事に。」
「……ありがとう…ございます。」
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