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第8話『焦らしと執着』
「結城くん、ほんと優しい〜! 王子様って感じだよね」
「いやいや、そんな……」
学園祭でクラスの喫茶店を手伝っていた玲央は、女子たちに囲まれていた。
ウェイター姿が似合いすぎて、自然と注目を集める。
──その光景を、教室の隅で蒼真はじっと見ていた。
(……何あれ。調子乗んなよ)
手伝いを終えた玲央が控室の更衣室に入ると、ノックもなくガラッと扉が開いた。
「蒼真っ!? え、ちょっ、ここ……っ」
「着替え、手伝うって言っただろ?」
「言ってないっ、てかそうまの更衣室、ここじゃ──」
「黙れ。今、誰にも見せたくねぇ」
戸をバタンと閉めて鍵をかけ、蒼真が近づいてくる。
「さっきの、なんだよ。女に囲まれて、楽しそうにしてさ」
「……え、そ、それは接客で……っ」
「お前、ほんとわかってねぇ。……俺以外に、そんな顔すんな」
ぐいっと腕を掴まれて、壁に背を押しつけられる。
「んっ♡ やっ……こんなとこ……っ、だめ……っ」
「制服の下、こんなにあったかくして……俺、今日ずっと我慢してたんだけど」
「うっそ……焦らしてたの、俺じゃないのにっ……」
「いや、焦らされたのは俺。責任取れよ」
唇を塞がれて、玲央の手から更衣のシャツが滑り落ちる。
「ふぁっ♡ んっあっ♡ や、やだ……こんなとこでぇ……っ」
「だって、こんなにエロい格好してたのお前だし?」
蒼真の手が玲央のシャツの下に滑り込む。下着越しに敏感な胸元をなぞられ、ビクビク震える玲央。
「んん゛っ♡ んっあ゛〜♡ だめっ、こわい……誰か、きちゃっ……♡」
「じゃあ、小さく声抑えろよ。できる? ん?」
「もっむりっ♡ きもちっ♡ うっう゛〜♡」
焦らすように何度も入口だけを擦られ、玲央は足元を崩しそうになる。
「焦らされんの……好きだろ? ……こうされるの、ほしかったんじゃねぇの?」
「そんなんじゃ……っ もっほしっ♡ そっうまぁ」
「だめ、まだ」
「やだぁっ♡ はずかしっ♡ はやくっ♡」
震える脚ごと抱きしめられて、蒼真が奥を突いた。
「んっあっあ゛〜♡♡ すきっすきっだからぁ♡ もっときてっ♡」
玲央の細い指が、蒼真の制服の背中にぎゅっとしがみつく。
その熱も、その声も、全部、蒼真のもの。
「他のやつに見せんな。……玲央は、俺のだろ?」
「……うん、俺……蒼真のだから……」
狭い更衣室でぶつかる身体。
甘くて、苦しくて、でもなにより──誰にも渡したくないって気持ちが、濃く響いた。