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俺が” 宮兄弟” を知ったのは、稲荷崎高校の入学式だ。入学式が始まる前、隣のやつらが話していた。

『双子さぁ、高校なったら髪染めるって言っとったけどホンマに染めてくるんかな?』笑

『少なくとも侑は絶対する!』笑

『分かるわぁ』笑

『てか、双子来とらんくない?』笑

『ホンマやw もう式始まんのにw』

きっと、同じ中学校の人達なんだろう。

双子の事をよく知っているような口ぶりだ。

双子なんて俺の中学校には居なかったから、どんな感じなのか気になったけど、話を聞いている限り俺が話しかけれそうなやつらではない。

入学式に遅刻してしかも髪を染めてこようとしてる奴らなんて。。。。。

_____________

入学式が始まった。

『双子遅刻やんw』

『なっ』笑

そんな声が聞こえてきた時、体育館の扉が開いた。

『ギリセーフ!??』

『アホ、大分アウトやろ、すんません。遅れました』

今入ってきた彼らを見てみると、

1人は少し眠そうな目をしてる礼儀は正しそうな銀髪。 もう1人は明らかにアホそうな元気のある金髪。 でもまぁ、顔はいい。 うん。顔はいい。それと、身長が高い。 ほら、俺の前の女の子とかちょっと顔赤くなってるじゃん。俺の妹のどタイプかも………

顔がそっくりだから、すぐ双子という事は分かったけど、もし髪を染めてなかったら見分けるのは前髪の分け方だけだと思う。まぁ性格で分かりそうだけど……

『マジで2人とも染めてきとるやんw』

『侑w金髪ってwww』

『治も意外やなw 流石同じDNAw』

そのまま双子は先生に連れられ、入学式は再開した。

『絶対怒られるよなあ(笑)』

『入学式そうそう問題児扱いw』

その時俺は誓った。 絶対に双子と関わらないでおこう、と。後妹にも絶対会わせない。。。

そのまま校長の話を聞いて、生徒会長が挨拶をし、学校の校則などを話され、クラス分けをして、無事(?)入学式は終わった。

それが宮兄弟と、初めて会った日だ。

_______________

『1年1組か。』

自分が言われた教室に入って行く。

なんてったって俺は愛知県から来たばっかだし、勿論友達がいない。 だから、1年の時のクラスはとても重要になる。いわゆる『イツメン』が決まるわけだ。

俺の席は1番後ろの窓側から2列目だった。

後ろだラッキー、と思ったのもつかの間。

隣の席の人は 双子の”金髪”の方だった。

(さっき関わらないって決めたばっかなのに、)

なんて思いながら話しかけようか迷っていると、向こうから話してくれた。

『お、隣男子で良かったわぁ。 仲良〜しよな!!』エヘヘ

『あ、う、うん。』

思ったより………普通だった。

どんなヤンキーかと思ったけど、意外に話しやすいかもしれない。

それから担任の先生が優しそうだとか、隣のクラスの担任は美人だとか、他愛もない話をして時が過ぎた。

(なんだ、普通に良い奴じゃん) そんなふうに思った。

-——-キリトリ線——–

この後、部活での集まりがある。

俺は稲荷崎高校バレー部に入るつもりだ。

1年の中で、1番最初に入るのも、1番最後に入るのも嫌だな、、

なんて事を考えながら体育館の扉を開けた。

『お、三人目やー!!!』

『1番は俺やで~!!』『ちゃうわ、俺やし』

『絶対ちゃう!!アラン君~!!どっちやと思う?』

『さー?、同じぐらいやったんちゃう?』

『えーー、』

ちょっと情報量多すぎない?

とりあえず、問題児双子さんよ、

バレー部なんだね。

俺の関わらない宣言は一瞬にして壊れたわけだ?

『って、あー!!!!!俺の隣の席の!!!!

えと、えと、”かくみょう”君や!!!』

『ちゃうやろ。ツム阿呆やな。 “かくな”やろ。』

『あー、そうか。そうとも読むか………』

んーと、どこからツッコんだらいいんだろう。

『あ、えっと、俺角名って書いて”すな”って読むんだけど………』

すると双子はきょとん とした顔をしてお互い顔を見合わせて、急に腹を抱えて笑いだした。

『すなっ、笑笑 すなって笑笑 アカンw笑い止まらんwww助けてやサム笑笑』

『ちょっ、笑 ツムお前失礼やぞw笑ったら 』

『サムも笑っとるやんけ!!笑笑』

いやいや、失礼すぎるでしょ。

俺結構この名前気に入ってるんだけど。

ゲラゲラ笑っている双子を横目で見ていると、さっき仲良さそうに話していた人が金髪と銀髪にゲンコツを落とした。

『イッタァァァ』

同時に声をあげる。

この2人どこまでいっても、双子なんだな…

そう思う瞬間だった。

『お前ら失礼やで。名前間違うたんやからまずは謝らなあかんやろ!ゴメンな~。角名君、双子昔っから問題児なもんで~。』

『嫌、大丈夫です。俺も、名前間違えられるの慣れてるんで。』

その言葉でハッとした銀髪の方が、

『ゴメンな、角名。 俺宮治言うねん。 宜しゅう』

と言ってきた。

『うん、宜しく。治』

まぁ、こっちは許してやろう。。

こっちの金髪の方は、『え~俺問題児ちゃうし~』

なんて言ってヘラヘラしている。教室では良い奴かもと思ったが、やっぱり違うっぽい。ホントにこんな奴がバレーなんてできるのだろうか?、

そんな疑問まででてきた。


すると治が、『ホンマすまんな。こいつバレー以外はホンマになんも出来んくて、ポンコツやねん。』と言う。おまけにため息をつく。

ふーーん、バレーできるんだ。

俺の心を読んだかのように答えてきた。

治ってエスパー? 、 なわけないか。


『バレー以外ポンコツとはなんや!!!』

プクッと頬を膨らませて不機嫌そうな顔をする。そんな金髪に、『そのまんまの意味や。』と平然と応答。

そのまま、言い合いになったかと思えば、

10分ぐらい経つと普通に高校のバレーの話に花を咲かしていた。

ホントに分かんない。

仲良さそうだった先輩は、『尾白先輩』と言って、双子の幼なじみらしい。

尾白先輩いわく、『双子にツッコんでたらキリがない。』とのこと。

その時俺は、思った。

『双子にツッコんでたまるか、』

と。。なるべく面倒なことは避けたい。

けどまぁ、そんなこと無理だってことは

この時からもう分かりきっていた。。


それから全員が集まり、ミーティングをし今日は解散となった。


早く帰ろうと思ったがあっけなく双子につかまる。

『なな!そういえば俺の名前言ってなかったよな!?』

『あ、うん。たしかに。』

『俺宮侑言うねん!!宜しゅうな!!角名!!』

そう言い満面の笑みで俺を見つめてくる。

この顔を見た時の俺の胸の高鳴りは、きっと気のせい。

『宜しくね。侑。 』

『おん!!』



それから俺たちは、他愛もない話をしながら帰った。

侑が『そういえば角名って、関西弁ちゃうな?!』

なんて言ったから『え、今更?』と 治と口を揃えてツッコんだ。 それが面白くて3人で笑った。

なんだかんだ俺の一番最初にできた友達だったのかもしれない。

この時はまだ知らなかったんだ。

治の気持ちも、

侑の気持ちも、

自分の気持ちも、

何も分かっていなかったんだ。






𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭

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