──食事を終え、プレゼントにと選んだメガネを渡そうとして、
「先生、メガネを外して、目をつぶってもらってもいいですか?」
せっかくのプレゼントだから私の手で彼に掛けてあげたくて、そう伝えると、
「……こうですか?」と、彼がメガネをテーブルに置き瞼を閉じた。
ケースを手に背後に回り、取り出したものを後ろからそっと彼の耳へ掛けた。
「目を、開けて?」
向き合わせでコンパクトミラーを出して、彼の顔を映して見せる。
鏡を見た彼が、「自分では選ばないデザインで、新鮮ですね」と、微笑う。
細長いスクウェアタイプのレンズに、トップリムのみのチタンシルバーのフレームは、彼のクールさを引き出してさらに格好良く映えた。
「とっても似合います」
目が合うだけでも照れてしまいそうに感じていると、
「メガネは服と同じようなものなので、それを贈られるということは、あなたには私を脱がせたい願望があるということで」
彼が言い、じっと私を見つめると、ふっ…と口の端を吊り上げた。
「……いいんですか?」
薄く笑う顔に、チタンフレームのメガネが似合いすぎて、
「……そんなことは、別に……」と、また顔が赤らんでくる。
「そう赤くなっては、肯定しているようにしか見えないですね」
言いながら近づいてきた彼に、ふわりと身体が抱きかかえられる。
「私の誕生日を、こんなに祝ってくれてありがとう」
ちゅっと唇が重ねられて、
「さっきのおあずけをもらってもいいですか?」
そんなストレートにも聞かれて、これ以上は赤くなれないっていうくらいに真っ赤になって、こくりと彼に頷いた。
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