テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
続き!
『取り調べ室、白い箱の中で』
蛍光灯の音だけが響いていた。
乾いた白い部屋。冷たい机。手錠の鎖が、わずかに揺れて鳴る。
スンリは、正面の刑事の問いかけに、答えなかった。
返事の代わりに、微笑んでいた。うっすら、静かに。
👮🏻「あなたがジヨン氏を監禁していたこと、本人の証言でも明らかです」
刑事は淡々と話すが、内心ではこの男に得体の知れない嫌悪を感じていた。
人の皮をかぶったまま、何かが壊れている。
🐼「……ジヨンさんは、幸せだったと思いますよ?」
スンリがやっと口を開く。
しかしその内容は、誰の耳にも“異常”としか映らない。
🐼「僕は、全部捧げたんです。命も、時間も。
部屋の中の空気だって、光だって、ちゃんと管理して……なのに」
👮🏻「君は彼を閉じ込めた」
🐼「閉じ込めたんじゃないです。守ったんです」
スンリの声が急に高くなる。笑顔のまま、眼だけが血走っている。
🐼「外の世界が、ジヨンさんを汚すから!あの人は僕がいなきゃダメなんです!!」
机を叩こうと身を乗り出しかけるが、手錠の鎖に引き戻される。
スンリは、そこで初めて静かになった。
大きく息を吐いて、まるで自分を落ち着かせるように語りかける。
🐼「……僕だけが、彼をわかっていた。そうでしょう?」
👮🏻「TOP氏の証言によると、君は“妊娠がわかったあとから異常になった”そうだが」
🐼「……彼は、本当の愛を知らないんです」
スンリはぼそりと呟いた。
🐼「避妊なんか、してたんでしょう。あんなの、愛じゃない。
子どもを宿して、初めて繋がれるんですよ。絆ってそういうことでしょう?」
刑事は言葉を失いかけたが、何とか声を絞り出した。
👮🏻「……ジヨン氏は、今、あんたの子を抱いてる。だがそれでも君に会いたいとは……一言も言っていない」
その言葉で、スンリの笑みがようやく消えた。
🐼「……そうですか。会いたいって、言ってないんですか?」
しばらく、無言の沈黙。
スンリは、ゆっくりと顔を伏せた。
そして震える声で、呟いた。
🐼「じゃあ、僕は何のために……全部……したのに……僕だけが、独りに……?」
壊れたのは、声だったのか、心だったのか。
その瞬間、スンリの中で何かが崩壊した。
口元が歪む。
嗚咽とも笑いともつかぬ声が、喉からこぼれ落ちる。
🐼「でも、大丈夫です……また会えます……子どもが大きくなれば……あの子が、僕を呼びますから……」
刑事は、筆を止めた。
その視線の先で、スンリは静かに笑っていた。何かを待つように、永遠の時間の中で。
⸻
【診断記録(精神鑑定書・抜粋)】
被疑者イ・スンヒョンは重度の妄想型パーソナリティ障害と診断される。
妊娠をきっかけとした愛情の極端な執着と、現実の乖離による支配衝動が顕著。
現段階では刑事責任能力は部分的に存在するが、継続的な精神治療を要す。
処遇については、拘禁処分および専門精神医療施設での収監が推奨される。
⸻
ある日、ジヨンのもとに病院から封筒が届く。
中には、面会申請書が入っていた。
差出人:イ・スンヒョン(スンリ)
「お子さんに、会いたいですか?」
ジヨンは書類を見下ろし、黙ったまま封を閉じた。
この話激ムズだった😭
いいねくだせぇ😿😿😿
コメント
2件
えぇーー!!書くの難しいのにめっちゃ上手く書いてるの羨ましい!!ほんと見習いたいぃ、🥹🥹
なんか…切ない感じも良きですね…👍️ ぶいさんの書き方ほんと大好きです!!✨️💓 もう、イイね200押させていただきました🙋