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ーSmart Voice Technology, Inc 第三研究室ー


「博士、博士起きてください。ボイスフレンズが停止しちゃいましたよ」


助手の青年が私を乱暴に起こそうと背中をバンバンと叩く。


なんと荒っぽい助手だろうか。


私は大きな欠伸をし眼鏡を着け、ボイスフレンズが停止した原因を確認する。


「ああ、またこのパターンか」


「このパターンってなにがです」


好奇心旺盛で勤勉な助手は、エラーコードを読み解こうとする。


「人工知能に学習させているんだけど、しばらくすると自分で停止するんだよね」


「どうしてそんな現象が発生するんですかね」


そんなこと私が知りたいくらいだ。


「今解析中」


「ところでなんのデータで学習させているんですか」


助手は疑問に思っただろう。なんせボイスフレンズは応用できる分野が多岐にわたるからだ。


「とある世界を再現しているんだよ。ボイスフレンズを購入した人物の生活にどんな影響を与えているか。生活の必需品になった世界でどんな活用をされているのかシミュレーションをしてる」


へえっと興味深そうに助手はデータをのぞいている。見ていいって言っていないんだが……?


すると、助手はポンと手を叩いてこう言った。


「学習データに停止する原因があるんですかね」


「あっ、君が言った通りみたいだ」


この研究を始めてうん十年経つのに、まさかこんな単純なミスに気がつかないなんて。


「シミュレーションで動く人物の設定を間違えてた。ボイスフレンズの操作できる変数の中に人物設定も入れてたみたいだ」


「つまりボイスフレンズがシミュレーションの中の人物をデバイスとして認識していたから、エラーが発生したんですね。そりゃ、何かの拍子で人の名前を言ったら止まっちゃいますよ」


「確かにそうなんだが……、人物名をボイスフレンズの指示のときに呼ぶなんて、どんな状況だ。想定しないだろう、こんなの」


私の悪態に原因を突き止めるヒントを言った人物は、困りながら笑っている。


「はあ、今までの失敗はこれが原因か」


単純なミスにずっと気がつかなかったことは、一番悔しいものだ。


すると私を元気づけるように、助手は言った。


「次はシミュレーションうまくいくといいですね」


「そうだな。じゃあ、次のシミュレーションを始めようか」

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