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かめさく♀︎
付き合ってる
突然だけど、俺、十亀条には気になっていることがある。
それは、紆余曲折を経て最近お付き合いを始めた年下の彼女、桜遥についてである。
「ーー、十亀!」
「!桜ぁ」
デートの待ち合わせ日先に愛しい恋人の姿を見つけた。俺はきっと嬉しくて顔が緩みきっているだろうなぁ、と思うがそれを隠そうともしない。
「ぇと、悪い…遅くなった…か?」
「そんなことないよ、着いたばっかだから安心してぇ」
そ、そうか…と桜はホッとしたように肩を下ろす。
「…それにしても、桜は今日も可愛いね。三つ編みも似合ってるよ」
「なっ、なっなぁ!!!」
桜のことが可愛くて褒めると、顔を真っ赤にして照れ始めた。ギャーギャーとなんだか騒いでいるがそれすらも可愛くて愛おしい。
そこでふと一つ、気づいたことがあった。
「桜、前も三つ編みだったよね。三つ編み好きなのぉ?」
この一言で先程まで騒いでいた桜の動きがピタリと止まった。それと同時にカァアアアっと、効果音の付きそうなほど桜が顔を真っ赤にしだした。
「えっ、えぇ!?桜ぁ!?どうしたの?大丈夫?」
オロオロオロオロと手を忙しなく動かしながら桜を見つめる。体調でも悪いのだろうか?いや、でもこれは熱があるというより照れている方の顔を赤さではないか?と、ふと気づいた。
「…桜ぁ、もしかして照れてるのぉ?」
「…へっ!?いや!そんなわけねぇだろ!!」
そういうと桜は早く行くぞ!と、ズカズカと目的地まで歩き出してしまった。それに続いて慌てて後を追う。
「…ってことがあってさぁ?結局なんで照れてたのかわかんないんだよねぇ」
ここは東風商店街にあるポトス。サボテンのパンを買いに来た十亀はたまたま椿野と出会い折角なので話そうということになりポトスのカウンターにて話しているところであった。
「うーん…どうしてかしらね…話聞いてる限り三つ編みについて触れたから照れた感じでしょう?」
「そうそう、三つ編み似合ってるけどそんな照れる?と思ってさぁ」
椿野と十亀がうーんと頭を悩ませる。その目の前でカチャカチャと洗い物をしていたことはがふと話しかける。
「…そういえば十亀さんってあの獅子頭連の副頭取なんでしょ?」
「え、うん?そうだよぉ」
「あぁ、納得したわ」
話の流れがよくわからず十亀は首を傾げた。横の椿野もどうしたの?と、よくわかっていない様子である。
「ふふっ、桜ったら十亀さんのこと大好きなんだなぁって。
だって、獅子頭連の副頭取さんって言ったら肩くらいの長さの髪をいつも”三つ編み”にしてるって聞いた事あるもの」
「…あ…」
そこで2人とも気づいた。どうやら桜は昔の十亀と同じ髪型をしていたようだ、と。
「えぇ…可愛すぎでしょ…」
ぷしゅ〜〜と湯気が出るほど顔を赤くして十亀は俯いてしまった。
「そういうことね!きゃーっ!可愛いじゃない!十亀!アンタやるわね!!!」
椿野のバシバシと十亀の背中を叩き始めた。
「痛いよぉ…」
「ふふん!こうなったら十亀にいい事教えてあげる!」
椿野が十亀の背中から手を引いたと思えば閃いたとばかりにニコニコ顔を浮かべている。
「えぇ?いい事ぉ?」
「そうよ!…あのね、今日の見回りは多聞集で多分今頃見回りが終わる頃だからもう少し学校から桜でてくるわよ」
それを聞いた十亀はガタッと椅子から立ち上がりポトスを後にした。ちゃんとことはと椿野に挨拶することを忘れずに。あと、お会計も忘れずに。そしてカラコロと下駄を鳴らしながら風鈴高校へと向かっていく。愛しいあの子に会うために。
ーー…さぁ、愛しいあの子はどんな反応をしてくれるかな?
〜終〜