テラーノベル
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⚠️天下のN/Y/LONさま、Virgin Expressの「Come out,Wherever you are.」を💚目線で書いたものになります。
⚠️本作品は動画とは一切関係ございません。
もし他の解釈等あればぜひ語り合いましょう。
いつしか、心の中はずっと空っぽだった。
そう感じるようになったのは、一度、満たされている感覚を知っているからかもしれない。
望めばそこにいる存在に。
たとえ彼が笑いかけなくても、言葉がなくても。
ある日『彼』は窓の外、緑の中白いベンチの上で静かに佇んでいる。
そんな彼はそばにいるだけで日向になってくれた。
美しいと思ったものは美しいと。
面白いと思ったものは面白いと。
口数の少ない大人びた優しい眼差しは、誰よりも自分の気持ちをわかってくれた。
共感してくれた。
共鳴してくれた。
どんなに昏く影を落とした人生であっても、一歩先の明日をずっと照らしてくれた。
孤独を埋めてくれた。
いつしか、『彼』はいなくなった。
生きているかなんて……そもそも実在してるかなんて……どうでもよかった。
いま、ここに、いないことが辛かった。
再び、自分の行先は影を落とした。
廃人のように、彼のいない長い月日を埋めるように。
或いは、追い求めるように。
色んな景色を見てきた。
青い海、灼熱の砂漠、鬱蒼とした森。
あの眩しい思い出が、満たされることはなかった。
追い求める程に心を閉ざし、深い闇に吸い込まれていった。
彼に会いたい。
どうしてそんな簡単なことが叶えられないのだろう。
いつもの緑の場所で、彼はじっとこちらを見ていた。
窓から春風が吹き抜けるようなあの感覚が胸に蘇る。
こちらから言葉を発するのを待たずに、いつものようにあの優しい目で呼びかけて、走り出した。
言葉の代わりに追いかけた。
茂みをかき分け、木々を押し退け、必死に追いかけた。
もう一度一緒にいてほしいという気持ちとは裏腹に、彼の足は、止まることを知らない。
手が木々に触れる感覚。
ああ、懐かしい。
目の前がぱちぱちと弾けるような感覚に陥る。
ふわふわとした夢見心地な気分になる。
暗かった視界がキラキラと暖かい光で満ちていく。
スゥッとした清々しいような、消えていく儚さのようなものを胸に感じた。
影をも飲み込む光は、やがて自分の中の翳りをぼかして消していく。
その中で、今まで燻り尽くして黒く沈んでいた錘は白く溶けていった。
これからも
話もしない。
慰めもしない。
でも彼が望むなら、この夢を見続けることが許されるのならば。
この命さえ差し出しても構わない。
これ以上ない幸福な夢を、
もういないはずの『友達』と共に、永遠に感じ続けていくことを望んだ。
終
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