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俺はこの地を護る土地神だ 。
なんか死んでいつの間にか神になってた。
でも林の中に神社が建っているため参拝客はほぼゼロ。手入れしてくれるような神主や巫女は居ないのでどんどん廃れていっている。
まぁ無茶な願いは叶えたりできないし、一人静かに過ごしている方が性に合う。
と思っていたが、
今日はそんな訳にはいかなそうだ。
服や体はぼろぼろで、
髪もぼさっとした汚い一人の餓鬼。
迷い込んだだけなのか、或いは神にでも縋ろうとしているのか。
それにしても、
人間は久しぶりに見たな50年ぶりぐらいか?いや、もっと前だったか
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家から、あの世界から一人で逃げた。とにかく必死で走ってきた、ただ肺が、心臓が張り裂けそうで苦しかった、逃げ出してここまで何日経っていたのだろう。
林の中開けている場所が見えた。お腹が空いた。足が痛い。頭もどこかふらふらする。満身創痍の状態から俺はなんとかそこまでたどり着いた、神社だ、管理されていないんだろう草木が至る所に侵食している。
一体どういう風の吹き回しなのだろうか。神にも見放された俺に。
お参りぐらいはしていこう、誰からも忘れられないように、俺はずっと覚えていてあげるよ。
でももう限界、意識が保てない、誰も来ないだろう。死に場所がこことか、神様に失礼だな、、結局俺は誰かに迷惑掛けたまま終わるんだな、
「…ーい、」
「ぉきろ!」
誰かの声が聞こえてくる。地獄へお迎えが来たのか…
「起きろ!餓鬼!」
「…ぇ、あ」
「おはよう、元気か?」
そこには見たことも会ったこともないのになぜか懐かしいような人がいた。あまりに綺麗な顔立ちをしていて思わず見蕩れてしまった。
「…どうした、大丈夫か?」
「…、大丈夫です」
「俺って死んでます?これ」
よく分からない。今はどういう状況に立たされているのだろう。
「生きとるわ。死にかけやったけど」
そうだ、なんでこんなに元気なんだ?空腹もないし、小さな傷も塞がってる。
「なんで、生きてるんですか、、」
「神だから。神様パワー的な」
「…は。」
目の前に立つ男は、自分を神。と名乗った。
「助けたのは気まぐれ。神社で死なれても困るしな。」
「そう、ですか。カミサマ」
神がいるのになんで辛い思いばかりしているんだろう。助けてくれるヤツはいつも、1歩遅い。
「色々してくれたんですね、すみません迷惑でしたよね。」
「じゃあ、どっか違う場所で野垂れ死ぬので。」
もういい、構わないで。いっそあのまま死ねば良かったかな。この人と出会わなければ今頃。君がいる方に行けたのに。
「それに俺、神とかだいっきらいなんですよ!笑」
「ちょっとまて。」
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見てられなかった、
気づけば神社に入った途端に倒れ込んでいた、近寄るとぼろぼろの体は痩せ細り、少し握っただけで折れてしまいそうな手足だった。
飯もろくに食っていない、それは疎か風呂にも入れていない、心配をした。
こんな状態になった人間は何人も見て来ていた別に死のうがどうでもよかった全ての人間を救ったところで何も無い。でも、
「はは、知らぬ間に情でも湧いたか、」
どこか救けたい、そう思ってしまった。俺が変わってしまったのかそれとも此奴になにか魅了させてしまったのか。
「ちょっとまて。」
「お前を此処に置いてやる」
また世話を焼いてしまった、、
「いいよ別に神の救けとか要らないから。」
「ただ他人に迷惑かけんのが嫌いなんだよ」
「なんかむかついてきたわ。」
今のは本当にイラッときた、関わることを迷惑だと本気で思っているのか。
「邪魔でしょ?だからどっか、、」
「ちがう…」
「自分が迷惑を掛ける存在としか思っていないことに頭にきたんだ。」
今会ってから1日経っていない時間の中で俺は此奴のことが少しだけ分かったような気がした。
「俺がお前に価値を見出してやる。」
「もう何も無いなんて言わせない」
何も無いと思っているんだろう。
自分が生きることは間違いだと思っているんだろう。
そんな自分のことが何よりも大嫌いだと思っているんだろう。
「…勝手に話進めんなよ、」
「ゼンブ見透かしたように言いやがって。」
愛されたことがないってだけの人間。
言葉一つ一つに棘がある。
近づかないで欲しいから身に付けた慣れない言葉遣い。
「、あぁ。分からないから教えてくれ。」
「お前というたった一人の人間を。」
知りたいと思った他でもない此奴を。
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優しい。壊れ物を扱うみたいにそっと抱き締められた。
人、じゃないけど誰かの温もりをもらうのはいつぶりか、いやはじめて、かな。
落ち着く気がする。おれはこの世に生きてもいいのかな、
「いいんだよ、俺が必要としてやる。」
「俺を見ていてくれる、?」
「死ぬまでな。」
「迷惑しか掛けられない、」
「じゃあその分俺も掛けるか。」
「俺自身が大嫌い。」
「俺が愛してみせる。」
あぁ、俺の負けだ、こいつは全部認めてくれる
涙が出そうでぐっと堪える、
「ほら、今泣かずに 何時泣くんだよ。」
そこまでお見通しかよ、、
涙が溢れ出して止まらなかったダムが決壊したかのように、枯れ果てるまで叫び、泣きじゃなくった。
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