宵月です。
今回は「夏祭り」の小説編でございます。
※セリフを変えている部分があります
※誤字脱字あり(多分)
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夏といえば、海やら夏休みやら、大きなイベントがいっぱいある。僕はそのうちのビッグイベント、夏祭りで、ある大きな決心をした。僕のような名探偵でも、こんな緊張するのは初めてだ。僕は、探偵社みんなで行く夏祭りで、想いを寄せていた太宰に告白する心算だ。いつから好きだった?そんなことを聞かれても、いつのまにか好きだったとしか言いようがない。
「よし、じゃあ今からは二人一組で行動するぞ。花火は20時だから、それまでは集まれ」
国木田がそういうと、すぐに谷崎兄妹、敦と鏡花ちゃんという組ができていた。これはチャンスだ。ここで太宰といろんな屋台を周って距離を縮める。それで、花火の途中で告白する。こんなに考えるの、太宰だけだからな?
「じゃあ僕は太宰と行く〜」
「へ?私ですか?」
「そうだよ。厭?」
僕がそう聞くと、太宰は微笑んで「いいですよ」と言った。そういうとこ、狡いよなぁ。
「そういえば、太宰ってりんご飴食べたことある?」
りんご飴の屋台を見つけてふと思ったことを投げかけた。答えはNO。僕は祭りに来ると必ず、りんご飴を買う。僕が好きな味を太宰にも分けてあげたくってね。やや強引にりんご飴を買った。
「い、いただきます」
そう言って太宰が一口食べると、周りに花が咲いたような顔で「美味しいですね」と言った。うわー。ムービー撮っときゃ善かったぁ。
もうすぐ20時だってのに、社員たちは落ち着きがない。何故なら、用事で遅れると事前に知らさせた賢治くんがまだ来ていないのだ。ま、もうすぐ来るでしょ。だって、あの陰、どう見たって賢治くんじゃん。
「皆さん!お待たせしました!」
「賢治くん!よかった〜、花火に間に合って」
みんなが安心した直後、花火を始めるアナウンスが流れた。
「太宰、隣いい?」
「えぇ、勿論」
「始まったよ!」
敦の声でみんなが空を見上げるとたくさんの花火が上がっていた。みんな花火に釘付けになっているが、僕は別だった。花火に釘付けになる、太宰に釘付けになってしまった。夜の暗闇の中に、色とりどりの花火が太宰の顔を浮かび上がらせていた。その顔は、いつもの余裕を持った顔なんかじゃなく、子供のような素直さがあった。
夏祭りが終わり、みんなが感想を言いながら帰る中、僕と太宰は一歩後ろをゆったりと歩いていた。結局、太宰が可愛すぎて告白できなかったな。また次のチャンスって感じかな。
「綺麗でしたね、花火。乱歩さんと一緒に見れてよかったです」
太宰が静かに言った一言。その言葉は何故か僕を緊張させた。確認をとるように聞いてみると、少し視線を落として、「乱歩さんとプライベートで関われて嬉しいなって思って、、、。来年もこうだったらな、、、」と言った。今しかない!
「僕はずっと一緒がいいのに」
「はい?」
「だ・か・ら、僕はずっと太宰と一緒がいいの!」
僕は我慢できず、みんなに聞こえそうな声で言った。突然大きな声を出された太宰は、理解しきれないのだろう、口をぽかんと開けていた。
「ふう、、、ごめん、回りくどい言い方はよくなかったね」
小さく咳払いをし、僕は太宰に言った。
「ずっと太宰のこと好きだった。ずっと太宰の隣にいたい。僕と付き合ってくれない?」
しっかり太宰の目を見つめて返事を待った。しかし、いつまでたっても太宰の口から言葉は出てこず、代わりに太宰の目からは大粒の涙が溢れ出していた。真逆太宰が泣くなんて思いもよらなかったし、泣く人間をあやすなんて得意じゃないから、僕は慌てることしか出来なかった。
「な、何か厭だった?」
僕がそう聞くと、涙で濡れた顔をあげて
「厭な訳ありません。むしろ、とても嬉しいです」
と言った。
「私も好きです。ずっと憧れてました。乱歩さんの唯一の人になれたらって」
「太宰、、、」
「こんな泣き虫ですけど、これからよろしくお願いします」
そのときの太宰の笑顔は、今日見た花火よりも美しく、綺麗な色をしていた。
「おめでとう、乱歩さん」
「与謝野さん?何か言いました?」
「いいや、なんでもないさ」
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ご完読、ありがとうございます!
これからも出来るだけ小説も投稿しようと思います。
ではまた次回に。
コメント
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与謝野さんにはお見通しかぁ〜