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ユラ。夏樹ユラ。
私はユラに会ってしまった。
また会おう。そう言われても、居なくなってしまったのだから会えることはない。
そう思っていた。
交通事故を目の当たりにした私は、あまりの衝撃でこの辺の交通事故についてのレポートを書きたくなった。
不謹慎なのは分かっているが、興味が湧いた。
死に興味が湧いた訳では無い。この辺でどれだけ交通事故があったのか、知りたくなった。
その後、ユラには案外すぐ再会した。暑さが本格的に増してきて、家にも風鈴を飾り付けた頃だ。
風が吹くと風鈴が鳴り、目の前に現れるのだ。
「またお会い出来て嬉しいです。」
「貴方、ユラ、ですよね?あの昔から噂になってる幽霊の、」
「はい、自分で言うのも変ですが。」
「ってことは、家族には見えてないわけですよね。だからこんな堂々とうちに入ってこられるわけで…」
「まあ風鈴が鳴れば基本ここに来ます。」
「いや、でもなんで私のところに…?」
「今年の夏、助けたのが咲良さんだったから。」
「助けた…?」
あぁ、そうか。あの時ユラに肩を掴まれていなければ、私が轢かれていたのか。
ユラが悪い人じゃないことは分かった。
「というか、僕に会って驚かないんですか?」
ユラが聞いた。
「驚きはしますけど、あまりに普通だから…」
「え、僕普通に見えてます?毎年だいたい透けてるって言われるのですが…」
「いや、普通の人間と同じように見えてます。ってか、毎年ってどういう意味ですか?」
「毎年色々な子供のところに行ってるんですよ。今年は咲良さん。」
「じゃあこの街にユラを知っている人が居るってことですよね?」
「いや、1人もいません。僕がいなくなる時、僕についての記憶を全て消しますから。」
だからユラは言い伝えで終わっているんだ。
「これからよろしくお願いします。咲良さん。」
「よろしく…、って、何しに来てるの?全然わかんないんだけど。」
「まあ、そのうち分かります。」