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 頭では分かっているけれど、心が追いつかない。


 身体はシンプルなのね。男なら尚更ね。


 夜な夜なゆらゆらと遊び歩いても今だにあなたが一番最低で大好きだった。何でかな。ムカつくわ、もう。


 忘れちゃいたいのに、ずっと、傷付けられてばっかだったのに…。


 「シンデレラボーイ」


 あなたのあだ名。


 0時を回り、あなたの腕の中で私を泣かせないで。


 それに気付かないふりをしてそのまま、あなたのつけるタバコが大嫌い。



 濡れたままのバスタオルを浴室にかけた8時。


 散々散らかったこの部屋には私一人。


 「また、身体、許しちゃったな…」


 『あなたがいなくなっても私は平気そうです。連絡はたまにするね』


 意地悪くらいさせてよね。



 最寄りの駅前。


 今日は私達の記念日。


 「たくさん買っちゃったな。喜んでくれると良いな…。」


 ん?


 あっ…!


 「ゆうく…」


 気付いた時にはもう遅かった。見知らぬ女性に笑顔を向けるあなた。


 胸が締め付けられて痛い。


 「嘘くらいせめてさ、ちゃんと、次は上手につかなきゃね…」



 「ただいま、なっちゃ…」


 「私の前だけで弱さを見せて」


 「ん?」


 「無邪気な顔で呼んでみて」


 「え、どうし…」


 「あなたの瞳、独占させて。誰も見ないでいて欲しかっただけ…。死んで…?、」


 「え、?なっちゃん、今日おかしいよ、?」


 「私のこと、ちゃんと好き、?」


 「え、うん。大好きだよ。」


 シンデレラボーイ。


 0時を回り、腕の中で私を泣かせないで。それに気付かないふりをしてそのままつけるタバコが大嫌い。


 「好きって言わんでよ!、愛してもないのに!、」


 瞳の奥、私を捕まえて。


 気付かないふりをしてそのまま、騙されてあげていたの。



















 早く、早くどこか遠くへ行かないと。


 あなたを好きだという魔法が解けてしまう前に。


                                       .

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