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1x1x1x1視点
――なんか、あったかい。
腕の中が、やけにぬくもってる。
ぼんやり目を開けた瞬間、視界の端で動く柔らかい髪が見えた。
その髪の持ち主が、俺の胸に顔を埋めて、ぎゅって抱きついてる。
……おいおい。
心臓が一瞬で覚醒した。
寝ぼけてるのかと思ったけど、現実だ。
azureが、完全に俺に抱きついて寝てる。
呼吸が首にかかるたび、妙にくすぐったい。
でも、それ以上に――なんか、安心してる顔してんだよな。
このまま動くのも悪い気がして、しばらくそのままにしてた。
だけど、さすがに俺の心臓がもたねぇ。
「……おーい、起きろazure」
少し低めの声で呼んだ。
すぐにピクッと肩が揺れる。
「……なに…朝…?」
寝ぼけ声。
完全に動揺してるのが声に出てる。
「……お前、俺に抱きついて寝てた」
一瞬の静寂。
次の瞬間、azureの顔がぱっと真っ赤になった。
「はっ!? ち、ちげぇしっ!!そっちが寄ってきたんじゃ…!?」
言い訳が可愛すぎて、吹き出しそうになる。
必死に目を逸らしてるのも、耳まで真っ赤なのも、全部バレバレ。
「完全にお前からだったけど?」
そう言ったら、ますます顔を隠すように布団を握りしめる。
「…俺――いや、僕…そんなつもりじゃなかったんだ…」
その「僕」が、やたら小さくて。
なんでだろ、胸の奥がじんわりする。
「なにその“僕” かわいすぎ」
つい、口が勝手に動いた。
言った瞬間、azureの反応が面白いほど分かりやすい。
「うるっせぇぇぇぇっ!!」
布団に潜って、完全に顔を隠す。
でも、その中で耳がぴくぴく動いてるのが見えて、笑いそうになる。
少しだけ布団を持ち上げて、そっと頭を撫でた。
「まだ寝るなら、ちゃんと布団かぶっとけよ」
柔らかい髪の感触。
寝ぼけたまま小さく「……わかってる…」って返ってきた声が、なんか妙に愛しくて。
そのまままた、俺の胸のあたりに顔をうずめてくる。
無意識なんだろうけど、離れようとしない。
……まったく。
あんな必死に否定してたくせに。
けど、俺も――
このあったかさ、悪くない。
腕の力を少しだけ強めて、azureの頭を抱き寄せた。
朝の光がカーテンの隙間から差し込む中、
もう一度目を閉じた。