テラーノベル
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休日の昼下がり。
寮の部屋にはゆるい風と、お茶の香りが漂っていた。
晴明は床に寝転んで雑誌をめくり、
__はソファでスマホを片手にのんびりしていた。
外は晴れていて、
まさに「なにも起きない休日」――のはずだった。
「……ねぇ、晴明先生」
「ん〜?」
「この子、めっちゃかっこよくない?」
__が画面を見せてきた。
そこには、SNSで人気のイケメン妖怪の写真。
「ほら、ファッションセンスもいいし、
表情とかモデルみたいだな〜」
「……ふーん」
(ふ、ふーんて言ったけど!? なにその反応!?)
「あと、この子も可愛い。目がきれいだなぁ」
「…………」
晴明はページをめくるふりをしながら、
明らかに耳が赤い。
「晴明先生、聞いてる?」
「聞いてるよぉ〜、ちゃんと(棒)」
「なんか機嫌悪くない?」
「べつにぃ〜?」
__は少し笑いながら、
そっと晴明の方に体を傾けた。
「もしかして……嫉妬してる?」
「っ、し、してないしっ!!!」
「してる顔だよ、それ」
「……だって、__先生……僕の目の前で他の子ばっか褒めるんだもん……」
言葉の最後がちょっと震えていて、
__の胸がきゅっと鳴った。
「……かわいすぎるなぁ、ほんと」
「えっ?」
__はスマホを置いて、
晴明の隣に腰を下ろした。
「俺が“かっこいい”とか“かわいい”って言うの、
別に晴明先生と比べてるわけじゃないよ」
「……でも、なんか嫌だった」
「そう言うと思った」
__は小さく笑って、
晴明の髪をくしゃっと撫でた。
「じゃあ、今からちゃんと順番つけるね」
「じゅ、順番!?」
「かっこいい度、可愛い度、どっちも――」
__は真剣な顔をして、指を立てた。
「一位、晴明先生」
「……え」
「二位以下、該当者なし」
「そ、そんな言い方ずるいぃぃ!」
__の笑顔に、
さっきまでのもやもやが全部どこかへ消えていく。
「でも、ほんとに一番だよ」
「……へへ。__先生の言い方、ずるいけど嬉しい」
「晴明先生も、すぐ顔に出るのずるいよ」
「……もぉ〜、お互いさまだよっ」
二人は笑い合い、
窓の外の午後の日差しが、やわらかく部屋を包んだ。
スマホの画面はもう消えていて、
代わりに、穏やかな笑い声だけが残っていた。
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