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幼い頃から重度の発声障害であった四片拓
彼は声が出ず、会話が出来ない状態だった
しかし彼は音楽が好きだった
誕生日にアルバムを欲しがるほどだった
そんな彼の目標は”歌を歌うこと”
そのくらいスムーズに話したかった
「四片さん」
病院の独特の匂いに包まれながらそう呼ばれる
今日は病院で検査をする
「君は…」
医者から話を受けて病室を後にした
話を聞き終わり、廊下に出たとき
偶然にも女性が倒れていたのを目撃した
彼は女性を抱え、出ない声で必死に看護師さんに助けを求めた
次の日、彼は病院に呼び出された
看護師さんに案内され、知らない病室に入る
「昨日はありがとうございました」
昨日の女性だった
彼女の名前は知崎彩華
彼女はうまく心臓が機能しないらしい
昨日倒れた原因も心臓の機能が
衰えた為だと言われた
俺は翌日も彼女に会いに行った
気がつけば彼女に会いに行くのが日課となり、
楽しみとなっていた
一目惚れをしたのだ
「今日もありがとう笑」
俺と彼女の会話は、彼女が話し俺が紙に書く
「拓くんの声が聞きたいなー」
「いつか絶対きかせるよ」
「本当!?やったー
じゃあ拓くんのお願いもきくよ」
「彩華が元気なったら、ね?」
「うん!約束だよ」
「約束」
彼女は約束通り、どんどんと回復していった
「拓くん!私、外出が許されたの!だから一緒にどこか行こ!」
「おめでとう!行くか笑」
彼女と出掛けられて嬉しかった
色々な所に行った
服屋に行って、映画も見て
時間なんて忘れるくらい楽しかった
「はぁー!楽しかった」
「そりゃよかったよ」
「あのね、拓く…」
その瞬間彩華は倒れた
俺は彼女を病院に運ぶ事しか出来なかった
「これから手術を始めます
しかし、成功は難しいと考えられています…」
「…あの!」
「んっ…病院?」
「目が覚めたんですねおはようございます
手術、成功しましたよ」
どうやら私は手術を受けたらしい
「あっ、これ預かったものです」
渡されたのは、手紙とCDだった
それから私の身体は、完全に回復していった
「退院おめでとうございます」
「今までありがとうございました」
私は無事退院した
「見るか」
家に帰り、すぐさま手紙を読んだ
知崎彩華さんへ
これを読んでいるという事は手術が成功したんだねおめでとう
そして、俺は居ない事になるね
俺は発声障害で声が出ない事は知ってると思う
実は、余命宣告もされていたんだ
俺は生まれつき別の病気も持っていた
まぁ、それは手術をしても治らないんだ
だからほっといた笑
隠していてごめん
君は心臓病で苦しんでいた
だから、君に俺の臓器提供をしたんだ
そうだ!約束覚えてる?
君のお願い事はCDに入ってるよ
長いけど、きいてみて
俺の想いも込められてるから
四片拓より
私はすぐさまCDを見た
1分に一文字、拓くんが言葉を言っていた
繋げてみると
「いろはあいしてる」
だった
拓くんの声はかすれていて、はっきりとしていなかった
けど、それだけ頑張って伝えてくれたんだと思った
「私も、愛してる」