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緑茶は飲めないが紅茶は飲める
緑茶は飲めないが紅茶は飲める
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あまりに甘くて吐き気がする唇。ふれたら火がついたみたいにぴりついて、お前なしじゃいられない。
あまりにジューシーでうがいしたくなる。
「…狙撃命令が出ました」
やってきたキャメルに、赤井はそのまま逆方向に歩き出す。
もう16時間もこう着状態だ。仕方がない。ジョディは振り向いて話しかけようとしたが、たくさんの人間の足元に何か転がる。
「ちょ…ごめんなさい、あ、シュウ」
人混みを縫ってそれを拾い上げたジョディは、首をかしげる。
リップクリームだった。しかも、with suger(砂糖入り)って…これスクラブじゃないの?と顔を上げると目の前に赤井がいて、びくりとする。
「悪い」
「え?あなたの?レディのじゃなく?」
隣でレディは肩越しにしか振り向かないが、笑っていたのをキャメルは見た。
「…うまいんだよ」
「はあ?その砂糖って食べないでたぶん…」
唇の角質を落とすやつでしょ、まさか舐めてるの?と言う前に彼は狙撃先のビルへ歩いて行った。
「なに?」
レディはベッドに横になったまま尋ねる。
「ダーリン」
すぐレディは顔を笑いたそうにむずつかせた。指を髪に巻き付けて、香りをかぐしぐさをする。
「違う」
「あなたはハニーで十分よ」
ふふん、とレディはシーツを引っ張りあげて上に乗るが、はらりとはずした。
「Sweetheartなんてもっと違う」
「普通に呼んでよ。独占欲強いの?タフガイ…」
うりゃ、とレディにくすぐられて素直に赤井は身をよじって笑った。
「…」
真顔で見上げられ、レディは首をかしげる。
「…お前唇に麻酔でも塗ってるか」
今度はレディが大笑いした。ぐい、と唇を手の甲で拭う。
「教えてあげる」
レディは目の前に何か、たぶんグロスとかいう唇をてかてかさすやつ。を取り出して顔を出した。
「これね…カイリーみたいな唇になるように、プランパー効果があるの。カプサイシン?だっけ。が入ってて…」
「マシュマロ味ってか」
レディはまた大笑いして倒れてきた。
「色番は、シュガー…」
赤井は持ってきた機材で窓ガラスを丸くくりぬく。音もなく外れたそれに、事務所の人間たちは黄色いテープの向こうで写真を撮ったりして騒がしい。
本物!?と誰かが言うので、向けてやろうかと思った。
風、西に……指を出して確認していると十字からレディが見ていた。
思わずにやりとしてしまう。向ける相手は間違えられない。とんでもない。
だが、お前は俺に向けたよな?
赤井はジョディから返されたリップクリームを塗る。
ああ、目が回るくらい唇からミントシュガーの香りがする……。
がり、と自身の唇を噛んで、赤井は引き金を引いた。
一斉に突入したラボの人間を見て、レディはふうん…と腕を組んだ。
唇を同じように片方舐めて。ぴり、とする。
「きゃあ!なに…」
マスコミの誰かが叫んだ。レディたちに水が噴水みたいに降りかかる。
「な、まさか…」
ジョディは濡れた前髪をかきあげて、蓋の飛んだ消化栓を見てからビルを見た。
擦り落とすまで俺と舐めあってくれ、シュガー…唇が乾く間もないほど。
お前はキャンディ。棒つきのガキの食べる甘くてひどいやつ。
「シュウ……」
レディは濡れたままビルを見上げて笑った。