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障害パロ注意書きは1話へ
桃視点
ピッピッピ
規則正しい機械音が鳴る白い部屋
目の前には顔に何ヶ所も縫った痕のある親友
もう何回目かわからない
でもこんなにも何ヶ所も傷があるのは初めてだ
目の下、頬、おでこ、眉、口元に傷が何ヶ所もある赤を見て胸が苦しくなる
こんな綺麗な顔なのに
いつもより傷が多い原因はきっと俺だ
俺が喜んだからいけなかったんだ
赤と学校いけるのがうれしかった
でもそれを伝えたことで赤は苦しくてもやっぱり行かないと伝えられなかったのではないか
赤は優しいから
いや優しすぎるから
それをわかっていたのに俺は……
桃 ……ッ
桃 ごめんッ泣
それから10分くらい経っただろうか
いやもっと経っていたかもしれない
赤は麻酔でまだ眠っている
もうすぐ抜けてくる頃だと思う
桃 赤……早く起きてッ
謝らないとだからッ
赤 ッゥ
赤 ッ パチッ
桃 赤!!!
桃 あえっとーちょっと待って
ナースコールしなきゃ
赤 も…もく
赤 ごぇんあざぃ (口元を縫ったせいで上手くしゃべれない)
桃 大丈夫だからッ…ね?
それに……謝るのは俺の方だよ…
桃 赤が学校怖いってわかってたのにッ
俺が喜んだからいけなかったんだよ……!
ほんとにごめんなさいッ ごめん ごめん
ほんとごめん……泣 こんなに傷つけて俺最低だッ
赤 ッウゥ ちぁうの(ちがうの)桃く
赤 赤がいけないの泣
赤 ぅっと普通になぃたかっあの (ずっと普通になりたかったの)
あっこうにいけたら ッブル 普通になへるって……おぉって(学校にいけたら普通になれるって思って)
赤視点
ずっとずっと普通になりたかった
桃くんに迷惑をかけるし、外に出れば変な目で見られ、学校に行けば腫れ物を扱うかのようにみんな接するし、 ”気持ち悪い”といじめらる
それに……
赤はお母さんを狂わせた
赤はもともとお父さんがいなかった。小さい頃に病気で亡くなったらしい。
だからお母さんは女手1つで温かく、赤を育ててくれた。
赤が『障害者』になるまでは
in 赤の家
赤 ッウウッウ
赤母 赤ー 最近ずっと唸ってるみたいな声出すけどどーしたのー?
赤 わか ッブル ない
赤母 いつか癖になっちゃうから早くやめなさいね
赤 ッ ごめんなさッ
数ヶ月後
赤 ッウアアゥウ ッブル
赤母 赤!!! それやめなさいって何回も言ってるでしょ!!!!
赤 俺だってわかんないよ!!!! 勝手に身体が動いちゃ ッブル うの!!!!
赤母 …なにそれ…そんなの障害者みたいじゃない!!!!
赤 ッ
赤母 きっと気持ちの問題よ 癖を直そうとしないからできないだけでしょ
赤が障害者なわけないんだから 早く治しなさい
赤 ……はい
それから赤は頑張った。
歯を食いしばった。
腕に爪が食い込む程押さえつけた。
口を抑えた。
息を止めた。
どうにかして身体が動いてしまうのを止めようと色々試した。
でもそんなの無理だった
1分くらいは 頑張って頑張ってやっと止められる
そんな赤にお母さんは
赤母 頑張って育てたのになんでこんな子になるのよ!!!!! おかしいじゃない!!!!
返せよ!!!!私の頑張りを返せよ!!!!
それからは覚えていない
ただ1つ覚えているのは
赤に馬乗りになって包丁を振りかざす母の姿
赤は刺される前に警察の人がきて助かった。
騒ぎを聞きつけた近所の人が通報したようだった。
でもそんなことしなくてよかったのに。いっそのこと殺してくれればよかったのに。
いじめられ、お母さんからは罵られ、危うく殺されかけ、もう生きようとすら思わなかった
でも桃くんはそんな赤を温かく受け入れてくれた。
桃くんはもともと幼なじみだった。
赤が小学校に上がるタイミングで引っ越した。
だから、赤のトゥレットの事はなにも知らなかった。ましてはいじめのこともお母さんのことも。
なのに赤に身寄り がいなくなったことをどこかで聞きつけたのか
「一緒に暮らそう」と連絡がきた。
でも赤は一緒に暮らしたくなかった。
怖いから。
桃くんのことも狂わせてしまうかもしれない。
桃くんに迷惑をかけてしまう。
赤といることで変な目で見られてしまうかもしれない。
だから赤は断った。
でも桃くんは諦めなかった。
結局隣に住むという話でまとまった。
そこまででも桃くんにはたくさんたくさん迷惑かけてるのに、今も赤のことを気にかけてくれて、面倒見てくれてほんとに申し訳ない。
桃くんにはいつもいつも助けてもらってるのに、いつまでも怖がって、自分が障害者であることを認められずに引きこもって。
こんなの全然普通じゃない。
いつもそう思っていた。
だから学校にいける気がしたときは
「あぁ 赤は普通になれるんだ」
って思った。
だれにも迷惑をかけず、狂わせることもせず、1人で生きていけるような気がして嬉しかった。
だから赤は
普段は絶対に使わないようなフォークを使って朝ごはんを食べた。
普通になるんだからフォークも使えなきゃなって。
もう異常者じゃない。
そう思ってたのに
赤 ッウウッウ ッブル
グサッ
赤 いだッ!!! ッブルッブル
グサッ
赤 ッいt ッアアアゥ ッブル
グサッ グサッ
それが何回続いたかわからない
気づいたら赤色のフォークが落ちていて
隣には桃くんがいた
そのとき赤は思い知った
赤は障害者で、1人じゃ生きれなくて
赤がいることで大事な人に迷惑をかけてしまうんだって。
もう無理なんだ
普通になんてなれないんだ
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