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グサッッッ!
ナタが刺さった、 そう理解するのに、時間はからなかった。
「あ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!?」
切断は出来てない。
対した力も無かったし、切れ味も悪かったから。
でも。嫌、だからこそと言うべきか。
身体にナタが入っている感触。
それから、血がこれ程かと流れる感覚。
叫ぶ僕を見て、祖父も、父も、笑っていた。
怖かった。
逃げ出したかった。
でも、今の僕には、そんな勇気は無かった。
満足したのか、去って行く父と祖父。
「あ゙、ぁ、…」
刺さっているナタを抜き、その刺さった部分を触った。
ぐちょっ、
手が、血で濡れた。
流れ出た脂肪が、それほど深く刺されたのだと物語る。
気持ち悪い、
気味が悪くなった。
自分の身体だと言うのに。
今の自分には、痛覚というものが無くなっていた。
立って、洗面所に行き、水を出し、
腕を洗った。
止めどなく流れ出る血と脂肪。
一刻も早く、この流れる血を、脂肪を、止めたかった。
無我夢中で腕を擦る。
そうしたら、血が止まると思ったから。
でも、実際は違う。
きちんと止血し、適切な処置をしなければ、血は止まらない。
だが、今の僕は色々と幼かった。
まともに学ばせて貰え無かったから。
無知な僕は、ただひたすらに、腕を擦るり続けた。