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卒業式。それは長くお世話になったこの学校を旅立ち、自分の夢に向かいそれぞれの場所へ羽ばたくための式。
私の学校は中高一貫校だ。だから卒業したってまた同じメンバーと過ごすことになる。
ほとんどの場合は。
ほとんどの生徒が同じ高校の制服を着ている中、1人だけ違う高校の制服を着ている人がいた。それは私、水無月玲奈。私は自分の夢のために別の高校へ受験したのだ。
それにあの人もいるしね….
「うぅ….」
そんな喜びと悲しみに満ちた泣く声が聞こえる中、卒業式は終わった。皆は思い思いに写真を撮ったり、先生とお話したり、とても楽しそうだった。
「私には友達って呼べる人なんか居ないしなぁ」
でも、高校に行けばそれも変わる。
私はある人にメールをする。
『今日卒業したよ〜!!』
『え、本当!?良かったね〜!次から私の学校だっけ?』
『そうそう、私友達いないから、よろしくね?』
『こちらこそ、よろしく!』
そんなメールをしたのは私の先輩であり親友の紗季だ。紗季は昔から私と仲良くしてくれて、高校となった今でもよく会ったり話したりする仲だ。
「楽しみだなぁ〜」
私の顔がふにゃける。自分でも少しびっくりしたけど、すぐにいつもの顔に戻った。
桜の花が少しづつ散っていて、その花びら1つ1つが私のクラスメイトとの別れを表しているようだった。
今日は入学式。私たち新一年生が入ったこの体育館は中学校の時よりうんと広く、その中に二年生、三年生が綺麗に並んで座っていた。その中にはもちろん、紗季だっている。
1人づつ名前が呼ばれていく。私の知らない、赤の他人の名前。この人とは仲良くなれるかな、どんな事をしているかななど様々な想像を膨らませる。そんな中
「水無月玲奈」
私を呼ぶ声が聞こえた。私は咄嗟に反応し、
「はいっ!」
という大きな声をあげて返事をする。我ながらとてもいい返事だと思う。紗季の方を見てみると、紗季は笑顔でいた。そんなに良かったのかな、今の返事。
そして長い入学式も終わり、次は遂に楽しみにしていた部活見学だ。私のこの高校は途中で辞めることは禁止されているので、慎重に選ばなければならない。でも、私は紗季も入っている美術部に入ることを決めている。でもまぁ、一応見ておこうかな。
そんなことを思いながら廊下を歩いていると….
「キャーこっち向いて〜!!」
「サイン、サインだけでも…!」
あれなんだ?誰か芸能人でもこの学校にいるのかな、10人は越えているであろう人が、1人の人対して群がっている。
「ん?あれって….」
なんか紗季似てるな…いや見間違えかもしれないしな…..
もう一度前を見ると、やはりそこには紗季がいた。
「あ、玲奈ちゃ〜ん!」
「….え?」