テラーノベル
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遅くなりました、明けましておめでとうございます🙇♀️
まだ未熟で拙い文章ですが、これからも読んでいただけたら嬉しいです🫶
今回はfwhrの単発です
ろふまおとくろのわ出演です
今回は特に口調とんでもないかもしれないです💦
「かんぱ〜い!!」
グラスがぶつかる軽い音と、みんなの掛け声が重なり、俺は隣の甲斐田と目を合わせてから、カチンとひっそりとグラスを鳴らした。
今日は大晦日。場所は俺の家で、集まってるのは気心の知れた友達ばかり。こうしてみんなで集まって、食べて飲んで、だらだらテレビを見ながら年を越すのも、嫌いじゃない。むしろ、結構好きだ。呼んでよかったな、って素直に思ってる。
隣には甲斐田がいて、肘が軽く触れるくらいの距離。それだけで、なんとなく落ち着くし、嬉しい。彼らも俺たちが付き合ってるのは知ってるから、変に隠す必要もないし、付き合いたてはあった冷やかしも今はいつの間にか聞かなくなり、こうして並んで座っていても違和感がない。
……ただ。
本音を言えば、今日が「大晦日」じゃなかったら。もし、年を越すっていう特別なタイミングじゃなかったら。この時間を、甲斐田とふたりきりで過ごしたかったな、なんて思ってしまう自分もいる。
甲斐田が葛葉たちの話に笑って、そのまま俺の方をちらっと見る。目が合って、何でもない顔で笑い返すけど、内心はちょっとだけ甘くなる。
まあ、今日はいいか。みんなと過ごす年末も、甲斐田が隣にいるなら何倍も楽しい。
そう思いながら、俺はソファに深く身を預けて、カウントダウンまでの時間をのんびり味わうつもりだった。
─── まさか、このあと空気が思わぬ方向に転がり始めるとも知らずに。
「ちょっとお酒取ってくる〜」
甲斐田が立ち上がって、空になったグラスを手にする。
「俺も行く」
特に理由があるわけでもないのに、気づいたらそう言っていた。甲斐田が一瞬だけ目を丸くして、それから小さく笑う。
多分、普通に離れたくなかっただけ。
キッチンへ向かう俺たちの背中を見送りながら、リビングの空気が一瞬、ふっと緩んだのを、俺は知らない。
叶「……ねえ」
─── knmc視点
ふたりが視界から消えたのを確認して、叶くんが声を潜めた。
叶「改めて思ったんだけどさ、ふわっちと甲斐田って付き合ってる割にさ、イチャイチャしてるとこ見なくない?」
小さな笑いが起きる。
剣「あーわかる。仲いいのは伝わるけど」
加「手繋ぐとかも全然しませんよね」
葛「逆にちょっと見たくね?」
葛葉の一言で、全員の顔が一瞬で同じ表情になる。あ、これ、悪い顔だ。
葛「てかさ、もういい時間だし、酔って寝たフリしね?」
葛葉の発言にしばしの沈黙のあと、
叶「……天才じゃない?」
とノる叶くん。
叶「カウントダウンの瞬間に起き上がってさ、実は起きてました〜みたいな」
葛「えおもろいそれ」
剣「でも僕は飲んでないじゃん」
葛「もちさんは疲れちゃった、でいいでしょ」
加「剣持さん体力無いな!?」
剣「まあそりゃどこかのゴリラじゃあるまいし」
加「おい剣持〜?」
くすくすと、抑えた笑い声。その作戦がどれだけ平和で、どれだけ余計なお世話かも分からないまま、全会一致で決定された。
もし本当に始まったら気まずいことこの上ないが、まぁきっと察しのいいふわっちなら気づいてくれるでしょ。
─── fw視点
一方その頃。
キッチンでは、甲斐田が缶を開けて、俺がつまみを皿に盛っていた。
「なんか静かじゃない?」
「年末だし、みんな疲れてきたんじゃね」
そんな他愛ない会話をしながら、何も疑わずにリビングへ戻る。
不「ツマミだぞ〜」
加「ありがとうございます。飲み直しますか」
俺たちが定位置に戻ると、さっきまでの賑やかさが嘘みたいに、みんなそれぞれ楽な体勢になっていた。
まあ、年末だし。こんなもんか。
そこからはまた、普通に飲んで、笑って。徐々にひとり、またひとりと静かになっていって。 気づけば、寝息みたいな音まで混じり始めていた。
あっという間に皆が酔いつぶれ、最後まで生きていたのは社長だった。俺がテレビに一瞬釘付けになっている間に、社長は床と一体化していた。
同じく床になっていたのはもちさんで、ソファの肘掛けになだれ込むように、かなかなが眠りこけ、そのかなかなに足を引っ掛けて、反対側の肘掛けに身を任せる葛葉。
いやいや、寝んの早くね?
「え、みんな寝ちゃったの?」
用を足して帰ってきた甲斐田は、普段ならありえない光景に素っ頓狂な声が飛び出した。
「そうなんよ、早いよな」
「え早過ぎない?社長寝たの!?」
「んね〜」
「えぇー……葛葉もそんな飲んでなかったでしょ……もちさんなんて、飲んでもないじゃん」
「実は飲んだんじゃない?」
「いや大問題だよ」
俺の脳死発言にもすかさずツッコんでくれる甲斐田。飲んではいたが、意識はハッキリとしているみたいだ。ほろ酔い程度だろうか。
にしても、大晦日にセーブするなんて、つまんないやつ。
俺は酒を片手に、みんなの肩を揺すったり、名前を呼ぶ、寂しそうな甲斐田を横目に見ていた。
……この状況をおいしいと思える俺とは、どうやら違うみたい。
やっとふたりになれた。
甲斐田と、恋人と、ふたりきりなのに。
嬉しくねえの……?
「うそぉ〜……みんながちなの?ドッキリじゃない?」
「……はっ、年末まで仕事かよ」
「ちょーブラックじゃん。でもそうじゃないとおかしくない?みんな絶対寝るの早いって、いつもあんなに遅くまで配信とかしてるじゃん」
「むしろ、いつも遅いから今日は早いとか」
「なんでよりによって今日なんだよ!」
「……しらね」
「僕だって知らないよ〜」
なんで気づかないだよ。どう考えたって言い方冷たいだろ。拗ねてんの分かんねぇの。
イライライライラ、と苛立ちは募る一方。
「えー……残念」
……残念?
俺は、その言葉に引っかかった。
全員が寝た。つまり、俺たちの間にはもう弊害がない。そんなこの状況が、残念なのか?
きっと、甲斐田にそんなつもりはなくて。
当たり前にそうなのに、どうしても悪い方に頭が働いてしまった。
「起こさなくてよくね?」
そう言うと、甲斐田は振り返った。
「え」
なんて腑抜けた声まで出して。
「ふたりだし」
言葉を足すと、今度は困ったみたいに視線を逸らされる。
それが、無性に気に入らなかった。
やっとふたりきりになれたのに。 俺は正直、顔に出さないようにするのがしんどいくらいには嬉しい。
甲斐田も、同じだと思ってた。 同じであって欲しかった。
「そんなに起こしたいん?」
軽く聞いたつもりだったけど、
「いや、そういうわけじゃ……」
歯切れの悪い返事が返ってきて、ますます分からない。
俺とふたりなの、嫌なわけじゃないんだよな。 でも、喜んでる感じもしない。ようやく恋人とふたりきりになれたのに。
今月はスケジュールの調節がお互い上手く合わなくて、せいぜい電話くらいしか出来なかった。それだけでも嬉しそうに色んな話を聞かせてくれて、俺もうんうん、と頷きながら口元は緩んでいたと思う。
「……甲斐田ってさ」
ふたりきりでこれなら、あれはなんだったの。
何気なく言った声が、少しだけ低くなった。
「俺とふたりなの、そんな嫌なん?」
言った瞬間、頭がクリアになった。
言わなくてもいいこと。甲斐田が、きっと傷つく言葉。何故か、ドロっとした黒い感情に任せて、あれだけいつも気をつけていた、疑うような発言をしてしまった。
社長を揺すり顔を覗き込んでいた甲斐田は、ゆっくり顔を上げる。呆れと苛立ちが混ざった、力の抜けた表情でこちらを見る。
「……なんで、そうなるんですか」
低くて、いつもより硬い声。
「僕、不破さんとふたりなのが嫌だなんて、一言も言ってないですよね」
「言ってへんけど」
「けど?」
「そうなんやないかなって」
「なんで……?」
「起こそうとしてるやん」
その一言に、甲斐田はひどく傷ついたようだった。一瞬固まった表情を見せ、直後には軽蔑するような冷たい視線を俺に向ける。
「……それだけで、そう思うんですか」
揺れたその声は、床に落ちた。俺に伝えようとしているのではなく、こぼれ落ちたような。
テレビの音が、やけに大きく聞こえた。
「……大晦日ですよ」
「っ……」
「こんな話、したくないんだけど」
みんなが寝ている中で、醜い会話をしていた。狸寝入りの可能性も無きにしも非ずだが、甲斐田があんなに起こそうしても起きなかったんだし、聞かれてはないはず。たぶん。
「……じゃあなんで起こそうとしてん」
「最初から不破さんとふたりで過ごす予定だったら、起こそうとなんてしないよ。でも、今日は6人で飲もうって話だったじゃん」
「でも寝たんやからしゃーないやろ」
「……みんなで、楽しかったじゃん」
ぽつりと落ちる声。それは、本当にみんなが寝てしまったのが悲しそうな声で。 決して、俺とふたりなのが嫌だ、なんて感じさせるものではなかった。
テレビの向こうでは年越し特番が騒がしくて、カウントダウンの準備だなんだって浮かれてる。
ふと、このまま年を越すのか。
そんなの嫌だ、と思った。
「ごめん」
沈黙を割ったのは俺だった。甲斐田が少し驚いた顔で、こっちを見た。
「言い方悪かった」
「嫉妬……っていうか」
「……っ」
「もちろんみんなと飲んでるの楽しかったけど、俺と甲斐田しか起きてない状況が、嬉しくて……でもそれが、俺だけみたいな気がしたから」
「……」
「……晴と、ふたりがいい」
目線を下に向け、自分の指を絡ませたり解いたり。正直格好悪いけど、ちゃんと言った瞬間から、やけに胸が軽い。
なんだろう。普段こんな事言わないから?
しばらくして、晴がゆっくりと息を吐いた。
「ずるいなぁ、不破さん」
「なんで」
「そんなふうに言われたら、責めれないよ」
苦笑して、肩を落としている晴は、何だかいつもより輝いて見えた。無意識に体が動き、少しだけ近づく。手を伸ばして頬に触れると、酒のせいか、俺のせいか、ほんのり色付いたそれは少し熱かった。
後者だと、いいなぁ。
「僕は、みんなで楽しかったのが終わっちゃって、それが寂しかっただけです」
柔らかな視線が俺を離さない。
「僕が不破さんといるの、嫌なわけないでしょう?」
胸の奥が、じわっと温かくなる。頬に触れる俺の手に擦り寄るように、押し付けられるのが愛らしくて、気づいたら彼は俺の胸の中にいた。
頭ごとぎゅっとすると、んふ、と中で笑う声がもごもごと聞こえた。
「……そっか」
「うん」
「……ごめん」
「もういいですって。ちゃんと言ってくれたから」
背中に回された腕が、力強く俺を引き付ける。俺よりも大柄のくせに、俺よりも細くて、何度も抱きしめてきたけど、いつだって折れてしまいそうだと思う。
なんだろう、本当にいつか俺の知らないところで、怪我をしてしまうんじゃ、って。いつもならそんなこと考えても言えないけど。今日なら、言えそうな気がする。不思議な感覚だ。
「てか初めて。不破さんがあんな嫉妬したこと言ってくるなんて」
「……だよな、やっぱり」
「ふふっ、うん。不破さんいつも飄々としてるからさ、ちょっと怖かったっていうか、びっくりした」
「流石にか」
うん、だと思った。
あの時あんなに胸が軽く感じたのは、多分普段言わなかったことの反動。
俺は独占欲丸出しってより、別に縛ったりしないから晴の自由に俺を愛して欲しい。それで俺は満足だと思ってたし、晴は晴で色々わがまま言ってくるから、自分が本当は言いたかったことにさえ、気づかなかった。
言うことの開放感を覚えたら、俺はきっと晴を縛り出すだろう。これから、俺さえ知らなかった感情を晴にぶつけまくるだろう。
どう、思われるだろうか。
「……ずっと思ってたけど、言ってくれていいからね」
「……え?」
「だから、そういう嫉妬とかさ」
「……嫌やない?」
「何言ってんの。僕だってめっちゃ言うじゃん」
「だって晴はかわええから」
「いやいや全然関係ないじゃん」
「んはははっ」
俺の肩で声が上手く出せない中、しっかりツッコんだ声がなんだか面白くて、一気に力が抜けた。
そのまま晴を抱えて体重に任せ、後ろにひっくり返った。慌てて手をつく晴は、下敷きになった俺を心配していた。何してるのって怒るのが、不覚にも可愛かった。
唇を突き出せば、ふにっと柔らかいものに触れた。何度も角度を変えて、食むように優しく口付ける。やられた本人は、真っ赤になりながらやり返してきて。してやったり、なんてドヤ顔で見下ろされた。
あぁ、付き合いたてはあんなに恥ずかしがっていたのに。自分からなんて、以ての外だったのになぁ。
晴が俺の横にゴロンと身を投げた。互いに向き合い、額同士が触れているまま、一瞬の静寂の隙に耳に飛び込んできたのは、年越しカウントダウンだった。
「えっ、もう年越す!?」
「みたいやね」
「結局みんな起きなかったね」
「起きてたら会話聞かれとったってことやで」
「やだーそれ、絶対色々言われるわ」
3…2…1
そんな声がテレビから聞こえた時 ───。
「「「「あけおめーーー!!!」」」」
寝転がったまま唇を重ねかけていた俺たちだが、テレビにしてはあまりにも近い声に過剰に反応した。晴に至っては体がビクッと跳ね上がり、反射的にだろうが、俺を強く突き飛ばした。
そこでようやくローテーブルの下から見えたのは、立ち上がっている4人の足。見上げれば、俺と晴を見下ろす4人のニヤニヤした顔。
叶「いや〜、一時はどうなるかと思ったね」
葛「いやマジ焦ったわ」
加「叶さんもう表情に出てましたもんね(笑」
剣「てかあそこまでいって仲直りとかあんの」
叶「熟年だね〜」
起きて…………
甲 「はぁ!?!?え、な、なんで!?」
叶 「まあまあ、仲良かったし何よりじゃん」
甲 「いやいやみんなに関係ないじゃん!」
葛 「うるせえ甲斐田」
甲 「なんでだよぉぉぉぉ!!!! 」
声が出そうになった時、クソデカい晴の声が鼓膜を刺激した。目玉がこぼれ落ちそうなほど目を見開き、立ち上がったみんなのことを凝視している。
まぁ……でもそうか。普通におかしかったし、みんなあまりにも寝るの早すぎた。
でも聞かれてたってことは……。
葛「にしてもふわっち〜、俺達のこと随分邪魔者扱いしてくれたな〜」
不「うっ……」
剣「ほんとだよお前、言うにしてもせめて居ないところで言えよ」
加「起こされたらどうしようかとは思いましたが、それ以前に起こさせようとしないのは意外でした」
不「……すんませんした」
受ける言葉は、傷ついた気持ちがこもっていたように感じる。
そりゃそうだろう。自分から家に招いたのに、「晴とふたりがいい」だなんて。
だがそもそも、寝たフリなんて決め込む方もどうなんだ。凡そ、俺と晴のイチャつく現場が見たかったとかそんな程度だろう。俺たちはふたりきりじゃなければ、絶対にそんな雰囲気は出さないから。
もちろんこれは晴の希望で、俺だって晴の嫌なことはしたくない。出来るなら、晴を誰にも取られないように牽制ぐらいは常にしたいが、必要以上に近づくことも許されないのが現状だ。
そんな俺たちを見て、上手くやれていないんだろう、とか思ったんじゃないか。
余計なお世話だ。俺たちはちゃんとお互いを信じて、愛し合って、地道に欲を満たしているんだから。
葛 「まぁ、とりあえず俺たちは酒買い足してくるわ」
不 「え?今から?」
加 「そうですね、酔い覚ましにもなりますし」
叶 「ふたりはなんか欲しいツマミとかある?」
剣 「僕補導されちゃうんだけど」
加 「大丈夫ですよ、私がいますから」
葛 「かっこよ!」
加 「いや違う違う違う違う (笑」
叶 「で、ふたりは?なんかいる?」
不 「いや俺らも行くって」
甲 「うん、みんなだけに行かせられないよ」
叶 「……はぁ」
葛 「鈍感かよどっちも」
剣 「お前らは来なくていいんだよ」
不 「なんでや」
甲 「あっ……」
叶 「甲斐田分かったでしょ」
甲 「ま、まあ……////」
加 「じゃあ不破さんは甲斐田さんから聞いてもらって」
甲 「えぇ〜〜〜…」
そう言われ、欲しいものはないと伝えると、4人はガヤガヤと出ていった。ふたりになれたのは好都合だが、あの会話を聞いた後にふたりでいろなんて、まるで冷やかしか嫌味のようだ。
「え、なんでなん?」
「……ふたりで居させてあげようってことでしょ」
「あ、やっぱり?」
「気づいてたんかい!」
「ん〜、まぁ」
「なに、歯切れ悪くない?」
「いや……あんまいい気せんなーって」
「なんでよ、気使ってくれたのに」
「それはわかるけど、なんか……」
「……なんか?」
「……んー、子供扱い?」
「どゆことそれ (笑」
「ガキや俺」
言葉に出した瞬間、なんだか突然恥ずかしいやら情けないやらで、晴に顔を見せたくなくなり、見られまいと視線を外す。
自分がみんなと飲みたい、なんて言ったのに、いざみんなが寝てしまえば、恋人に欲望まみれの言葉を浴びせた。本人がいい気分になってくれたから良かったものの、4人はあんな空間にどんな感情を抱いていただろう。
気持ち悪いとか、みっともないとか、口に出さないだけできっと色々思っただろう。
負の感情が溢れ出し、ネガティブになっていくと、頭にそっと手の感触があった。顔をあげると、頬をほんのり赤くした晴が、幸せそうに笑みを浮かべながら俺の頭を撫でていた。
「かわいい、不破さん」
「あ?」
「んふふ、やっぱり大好き」
頭を撫でる手はそのまま首まで流れ落ち、グイッと俺を引き寄せた。バランスを崩し床に手をつくと、晴はもう片方の手で俺の脇に腕を通し肩をがっちりとホールドしている。
鼻を抜けるような匂いが、抱きしめられた瞬間にふっと香った。酒と、それに混ざるような晴の匂い。
好きで、好きでたまらない匂い。
たまらず俺も抱きしめると、晴はびくりと一瞬体を震わせた。強く締めすぎたか、と緩めると、離さないで、というように強く抱き締めた。
「……今、みんな居ないよ」
「……そうやね」
「なんでも、できるってことだよ……」
「……何されてもいい、って言ってんの?」
耳元に口を近づけて、低く声を落とした。縮こまり震えた体は、それでもはっきりコクリと頷いた。
その確認をしてから、ゆっくり体重をかけ、晴の頭の後ろに手を入れてから押し倒す。腕を解いた彼を見下ろせば、色欲に満ち溢れた瞳がまっすぐこちらを捉えていた。
本能に任せて襲うところをグッとこらえ、優しさを見せぬよう冷たい視線を向ける。
「俺が止まらんくなっても、ええってこと?」
「……っ」
「みんなが戻ってきても、やめられんくてもええんやな?」
脅しに近いそれを聞き、晴は葛藤する表情を見せ、その間も俺を見つめて離さない。目に段々と涙が溜まっていくのを見て、そこでようやく気づいた。
彼が、ずっと期待していたことに。
「……でもシたい」
聞き取れないほど小さく零したそれを、俺は聞き逃さなかった。瞳に溜まった涙が、重さに耐えきれず頬へ滑った時 ───
我慢なんて、出来るはずもなかった。
─────
「みんなが帰ってくるまでな」
「やっ……そんな、たりない…ッ」
「我慢しろ」
「むりッ……もっとシたい」
俺だってそりゃシたいし、心ゆくまで晴を愛したい。思う存分抱き潰したいが、過去の俺の選択がそれを許さない。
体裁を守りたいと強く主張するのは晴の方だし、今は欲望を優先したいだろうが、後々絶対に後悔することになる。それは流石に可哀想だし、今後の接し方も難しくなってしまう。
良い意味でほっといてくれる社長ともちさんには感謝しているが、常日頃きっとものすごく気を使ってくれているし、少なくとも同性で同じユニットの俺たちが、こんな関係でいることを望んでいるはずはない。
これからもみんなとは仲良く居たいし、気まずくなりたくない。だから……
「……わがままいうな」
今は少しだけ、心に蓋をして。
ベッドが軋み、晴の熱い息が漏れる。
完全には寝かせず、壁に背を預けさせ、俺のを中に埋める。
できるだけ体へのダメージが少ないように、腰の後ろに枕を挟んだ。
晴は手の甲を口元に当てて、なるべく声が出ないようにしていた。俺も、打ち付ける音が鳴らないように大きくは動かなかった。
「んぅッ……んっ……、あっ……♡」
「……ふぅ……」
「あっ……、ふわさっ、すき……んん♡」
「ん、おれも」
「んあ……あぁ゙ッ……♡♡すき、すき♡♡」
「……っ、……」
「ね、ねぇ……」
「ん?」
「ふあさん、はッ、ぼく、すき?♡」
「……うん、大好き」
「……んへへ♡♡」
ベッドサイドにあるオレンジ色のライトしかこの部屋を照らすものはないのに、晴の顔がものすごく赤く火照っているのがよく分かる。
さっきからしつこいぐらい、ずっと愛を囁いてくる。耳元で、あんな官能的な声を出されてしまえば、手加減できなくなってしまいそうで、必死に理性を働かせている。
「あんっ……きもちい、いッ♡♡♡」
「痛くない?」
「ぜんぜんっ……あ、すき、すきだよぉ♡♡」
「……晴、もうちょい静かにして」
「んあッ……ごめ、♡♡」
「ううん、ごめんな」
「うんッ♡♡……はぁ……んぁっ♡♡おく、ずっと、あたって、るっ♡♡」
「グリグリされんの好きやもんな」
「うん、うんっ♡♡すき、すきすき♡♡」
だんだんヒートアップして声を抑えなくなる晴に注意したが、本当ならもっと大きな声で喘いで欲しい。だが、普段我慢させることがほとんどないからか、頑張って抑える時に漏れる息がなんとも色気ムンムンで、こっちが抑えられなくなってしまいそうだ。
しかし、こんな楽しい時間も終わるのはあっという間で、───
ガチャッ
晴も気づいたように、一瞬で鳴き止んだ。ドアが開き、ゾロゾロと中に入ってくる人の気配。多分俺たちのことを考え、様子を伺うために音を立てないようにしているのだろう。
残念、入った時点でバレてます。
帰ってきた4人は、帰宅を悟られないように静かにリビングに戻って行った。
俺はゆっくりと晴の中から自分のを抜き、手元にあったティッシュを取る。
「あっ……」
抜く、という刺激でさえ感じてしまう晴の口からは、甘ったるい声を漏れる。しかし今は、それを可愛いなんて愛でている場合では無い。
シィっ、と彼の口元に人差し指を当てる。晴自身も焦ったように、両手で口元を抑えた。
取ったティッシュで晴や自分の性器を拭き、パンツとズボンを履く。しかし、いくら短時間とはいえ余韻がまだ残る晴は、顔はとろけており、みんなに顔向けできる様子ではない。
「俺みんなのとこ行ってくるから、晴は待ってろ」
「ま、まって、行かないで……」
「立てへんやろ」
「待って、あ、ぼ、ぼくもっ」
「だめ」
きっぱりと言えば、晴は表情を曇らせ俺を見上げる。捨てられそうになった犬のように、八の字に曲がった眉毛、潤ませた瞳が小さなライトに照らされ橙色にキラキラと煌めく。
可愛くてつい甘やかしそうになってしまう。
「そんな顔、みんなに見せたくない」
「っ……」
「大丈夫や、みんなもきっと分かってくれてるから、すぐ戻れって言うてくれるで」
「……ちがっ」
「あとでな」
晴が何かを言いかけたのに気づいたが、敢えて無視をした。
きっと、晴が行かないのがまずい、と俺が思っていると思っている。もちろん晴にはそう聞こえるように言ったが、本当にそれが気になっているわけがない。
本当は、晴は続きがしたいんだろう。ずっと我慢してくれていたのが嫌という程分かったし、その分甘えたいんだ。
分かってる。ただ、今はそれを許すべきときでは無い。この屋根の下にふたりきりだったならば、容易い願いだったものの。
寝室を静かに出て、乱れてしまった適当に髪を整え、リビングの扉を開ける。
驚いた表情をしている4人が、一気にこちらに注目する。
葛 「えっ……」
剣 「あ、ごめ、ふわっち……」
不 「にゃは、ええよ全然。みんなおかえり」
叶 「た、ただいまぁ」
加 「申し訳ありません、甲斐田さんは……」
不 「部屋にいるっす」
叶 「……ちなみに今って……」
葛 「おい叶!」
不 「……シてた。ごめんね」
加 「いや謝ることじゃありませんから。むしろ、中断させてしまってすみません」
不 「んにゃ、大丈夫っす。元々みんなが帰ってくるまでって話だったし」
叶 「……それ、甲斐田がそれがいいって言ったの?」
不 「?いや俺が」
叶 「へぇ、甲斐田よく嫌がらなかったね」
不 「嫌がっとったよ」
葛 「嫌がってたのかよ」
剣 「早く戻ってやれよ」
不 「だってみんな帰ってきたし」
加 「不破さん、戻ってあげてください。私たちは大丈夫ですから」
不 「……じゃあ、すんませんけど、戻りますわ」
叶 「ふわっち」
不 「んえ?」
叶 「甲斐田に、あんま我慢させなくていいから」
不 「……ありがとな」
察しのいい大人たちは、愛を紡ぐ時間がない俺たちを気遣い、ふたりきりにしてくれた。
我慢させてやるな、と言ってくれた叶には申し訳ないが、さすがに俺も恋人の愛おしい鳴き声は聞かせたくない。
まぁ、みんなでいるところを、好きなことをさせてくれる事には感謝してもしきれない。甘えさせてもらう代わりにはならないかもしらないが、
気持ちよくさせてやろう ───。
部屋に戻ると、ベッドの上で壁にもたれ、脚を投げ出したまま内股気味に揃え、布団を強く掴んで胸元まで引き寄せている晴がすぐ目に入った。
ナイトライトが照らす肌は艶やかに光り、俺を誘う。涙が溜まった空色の瞳は、俺を見つめて離さない。
どこか心細そうな晴に跨るように、四つん這いになって近づいていく。
「みんな、なんて…?」
「ええよって」
「なにがっ?……んぅ」
まだ喋ろうとしていた晴の唇を塞ぐ。すぐさま舌をねじこみ、晴のと絡め合う。ビクンと肩を跳ねさせ、怯えるのと相反して布団を掴む手は俺の首に巻き付き、自分の近くに引き寄せようとする。
吐息と声が漏れる様から、今の一瞬そばを離れたことさえ、寂しかったのだと痛感させられる。
「んっ……あっ、はぁ……♡」
「はぁ……、」
「……えっち、していいの?」
「……うん」
「んはは、やった♡」
額をコツンと合わせ、とても幸せそうに笑う。無邪気に笑うその顔を見た瞬間、考えていたはずのことが、きれいに飛んだ。ダメだと思うより先に、欲が答えを出していた。
本当は、みんなが壁ひとつ挟んだ向こうにいるのに晴とこんな事するのが、あまりに申し訳なかった。
何より、否定されるのが怖かった。
ただ、そんな関係を築いてきたとは思っていない。信じていいと、今みんなが言ってくれたから。晴をこれ以上ひとりにしない為にも、俺が、殻を破らないと。
『甲斐田に、あんま我慢させなくていいから』
「晴」
「ん?」
「─── 声、我慢しなくてええよ」
「……え、?」
「いつもみたいに声出せ」
「……え、い、いいの?だってみんないるのに……」
「うん、ええよ」
「な、なんで急に、」
「……言わん」
「は、はぁ?」
「お前は知らんくてええことっ!」
「ちょ、うわ!」
背を壁に預けたままの晴の腰を掴み、下に引っ張り下げると、腰を支えていた枕もずり落ちる。それを晴の頭の下に入れ、自分の肘を彼の顔の横に置けば、これで完全に晴を俺の領域に閉じ込められた、というわけだ。
俺の包囲網に完全に収まった晴は、何が起こったか分からないというように、胸の前で両手を動かせずにいる。
「晴、いっぱいしよ」
「え、あ、うん、もちろんしたいけど……」
「けどなんや」
「いや、急にどうしたんだろうって……」
「……我慢させとったやろなって」
「僕に?」
「そらそうやろ」
「そ、そっか……」
「ごめんな、12月ずっと会えへんかった」
「……いやそれはお仕事だもん、仕方ないことだし」
「ほんまに?」
「……そりゃ、当たり前に寂しかったけど、僕も楽曲制作したり、台本読んだり会議したり、ずっと暇ってわけじゃなかったから」
「俺は何してても寂しかったけど」
「いや僕が寂しくなかった、みたいなのやめてくれる!?」
キャンキャン喚く晴はまるでデカイ犬のようだ。寝転がっていても分かるほどしっぽをブンブンと振り回し、これから出来ることへの嬉しさが隠しきれていない。
「晴」
「何」
「大好き、愛してるよ」
「僕も大好きだよ」
「……にゃはは」
「何よもう」
「なんも〜?」
首の後ろに手をねじ込み、何度も口付ける。柔らかな唇が俺のを舐め、食むを繰り返す度に止まれなくなる。
愛が溢れて零れたまま晴を逃がさない。重い感情が陰部にも伝わり、だんだんと固く大きくなり始めるのに晴も気づく。
「んっ……ふあさ、の、大きくなってるね♡」
「みたいやね……でも晴のもやで?」
「お互いさまだね」
そう微笑み、見上げる晴の首筋に何度もキスを落としながら、穴にツプと指を埋めていく。先程までしていたから解す必要などはないが、ただ俺の指に吸い付く中の感触が好きだから入れた。
「んやっ、ふわ、さっ♡んんっ♡」
「……晴」
「んあ、ん?♡」
大好き、これからもずっと、大事にする。
「今年もよろしくな」
「……うん!」
叶「……心配いらなかったね」
加「そうみたいですね」
叶「なーんか、揉めるかと思ったけど」
加「揉めて欲しそうな言い方に聞こえるな」
叶「いやまさか (笑」
加「まあ、良かったです喧嘩したんじゃなくて」
叶「ほんとだよ!ふたりきりで会えないって甲斐田から相談されても、ふわっちになんて言えばいいのか分かんないしさ」
加「どう見たって不破さんめちゃくちゃ忙しそうでしたしね」
叶「そうそう。だから会ってあげてっていうのも酷だったもん」
加「……良かったです、甲斐田さんもこれでメンタル落ち込むみたいな事にはならないといいですが」
叶「まあそこはろふまおにお任せします」
加「急に他人任せな (笑」
ふたりはこっそり、寝室の壁に耳をつけ、不破と甲斐田の会話を盗み聞いていた。
どちらも甲斐田の不調については知っていたため、心配していた。叶は相談され、加賀美は収録や会議の様子や、叶から相談の内容を聞くことで知った。
ふたりはストレスが溜まる一方だったことを気づかったが、不破にしか直せない問題が多く、困り果てていたが、今回の飲み会で何とかふたりきりに出来るタイミングはないか、と伺っていたのだった。そして今、幸せそうな声が聞こえ安堵し、音を立てぬようにリビングに戻って行った。
不 (かなかな、しゃちょお……バレバレやって……!!)
ご拝読いただきありがとうございます!
前回の投稿からまた随分期間が空いてしまいました💦
今回たまたま大晦日に思いつき書き始めたのですが、何故こんなに時間がかかったのか私にも分かりません🙂
その割にめちゃめちゃ長くて、13000文字くらいあります🙏💦
また次回からは連載中のfwhrを書き進めていくと思います!
それから、今加賀美社長にどハマり中なので、もしかしたらいつか社長と誰かを書くかもしれません…!
コメント、いいねお待ちしています☺️
コメント
14件
とてもすごくて、すごくっっすごいんですよ!!(凄すぎて語彙力皆無)ありがとうございました。今とても幸せです
がーちで普通にhrfwだと思って読んだのがfwhrでした☝️☝️でもまじで文章上手くて全然気になりませんでした😭😭😭😭🙌あーーほんまに上手すぎますって🫵🏻💦Loveですねこり💕💕
えっと神...なんか全員口調100%だし、甲斐田可愛いしふわっち甲斐田愛しまくりだし社長とかなかなお隣だし....!!!!!!! しかも長めで有難い;;🥹 なんて神作なんだ...と今回も思いました...!、やっぱり天才🎓✨