テラーノベル
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マジでありがとうございます。
最近、涼ちゃんがおかしい。
ラジオの収録の時はぼーっとして僕のほうを見てくるし、あの「音の濁り」も消えてない。
もうすぐ……というか、あと三日でライブが始まるというのに。
「変わった?」と声をかけても、
「大丈夫」とか、「むしろ良いよ」としか言わない。
涼ちゃんは、嘘が下手だ。
それなのに今日は、うまく誤魔化している気がする。
ある日、若井がエンジンの収録でいないとき、久しぶりに涼ちゃんと二人きりになった。
スタジオは妙に静かで、機材の小さな音だけが響いている。
涼ちゃんが、こっちを見ている。
目が合うと、なぜか少し恥ずかしそうに視線を逸らした。
なんだそれ、と思っていると、涼ちゃんが小さく言った。
「好きだよ。」
「知ってる。」
もちろん知っている。
涼ちゃんは僕が好きだし、僕はミセスが好きだ。
こういう二人きりの時に、わざわざ言うものでもない。
涼ちゃんが僕の手に、そっと手を重ねる。
少しだけ震えている気がした。
「違う。」
小さな声だった。
「一人の恋愛対象として、好き。」
……ああ、そっちか。
少しだけ驚いたけれど、頭の中は思ったより静かだった。
嫌だとか、困るとか、そういう感情は出てこない。
むしろ——
ああ、だからか。
最近のあの様子。音の濁り。
そういうことだったんだ。
「そっか。」
まあ、いいよ。
どうなったとて、僕らの関係が変わるわけではない。
ミセスの活動にも影響はない。
結局全部、「仲良し」で終わるだろう。
それでいいと思った。
涼ちゃんの表情を見ると、少し緊張していた顔がふっと緩んでいた。
嬉しそうにしている。
……そんな顔するんだ。
僕はそのまま、涼ちゃんを抱きしめてみた。
腕の中で、涼ちゃんの体が少し固まる。
でもすぐに、力が抜けた。
幸せだ。
恋人……という関係かどうかはいまいちわからないけれど、
こうやって、安心した顔をしてくれるなら。
満足した時間が過ごせている。
それで、今は十分だと思った。
次回♡100 コメ1
コメント
2件
もりょき!! 素敵な作品ですね!✨️