「俺が結婚したいのは」
実家のマンションが見えた時、“帰ってきた”という不思議な安心感を覚えた。
考えてみれば、実家に帰るのは久しぶりだ。
社会人になって一人暮らしをしてからは、初めてかもしれない。
玄関のドアをあけると、「おかえり」と、両親が出迎えてくれ、揃ってダイニングテーブルにつくなり、父が本題に入った。
「それで、見合いの話なんだが……」
父の話によれば、見合い相手は父と同じ会社の人の娘さんで、俺のひとつ年下らしい。
大学は俺と同じで、性格はおっとりしているなど、ひととおり彼女のことを話した後で、父はスマホで相手の写真を見せた。
「晴(はる)と合う人じゃないかと思ったんだ。どうだ?会ってみないか?」
父は心なしか身を乗り出している。
俺が見合いの話を聞くと言ったのは初めてだし、前向きに考えると信じているようだ。
(……困ったな)
ちゃんと話を聞くつもりで来た*********************
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