結局は滑稽で歪で優しくて。
文才なんかありません。
案の定駄文。駄文。
cpはどこかに記載してます。
主はにわかです。解釈違いがあると思います。
※ご本人様には関係ありません。
tykg、kgtyどちらでも解釈できるはず
今夜は綺麗な満月だ。
月明かりに淡く照らされた薄暗い部屋。事務所の一室。独り、開いた窓からほんの少しだけ上半身を乗り出して。ぼんやりと月を眺めた。
ひんやりとした夜風が頬を優しく撫でては離れていく。
このまま夜に溶け込んでしまえそうな沈黙。心地の良い夜。冷気を肺いっぱいに吸い込んで。
そうして、ゆっくりと。背中の大きな羽根を部屋に広げた。
暗闇の中。視界に入った純白の羽根は己には似つかわしくない程に神秘的で。月明かりに照らされ輝いていた。
憐れな天使の成り損ない。
ふと浮かんだ思考に自嘲した。異形の化け物のくせに。
でも、ただ。今は。今だけは。
満月の夜の雰囲気に唆されて。いつにもなく緩慢な動作で、窓から身を乗り出した。
今なら、きっと飛べるのだろうか。
何故か、酷く安心して。目を閉じて、夜に溶け込むように身を委ねた。
『綺麗ですね』
突然に聞こえた声に、情けなくも驚いて、閉じていた目を見開きながら振り返る。
「…けん、もちさ…」
何故彼がここにいるのだろうか。
そんな思考は目の前の状況に一瞬で霧散した。
「…ち、違う、違うんです」
「わたくし、えと、あの、!」
口から咄嗟に溢れ出たのは否定の言葉で。それでも何を否定したいのか、何を肯定すればいいのかさえ段々と分からなくなっていく。
「…ごかい、で…..わたくしは、こんなの、じゃ、なく…て…」
言葉が上手く紡げない。今まで、様々な経験をしてきた。場数は踏んできた。なのに、何もかもが崩れ落ちる感覚に至って、何一つとして出てこない。
貴方にだけは、見られたくなかったのに。
恐れないで。怯えないで。お願いだから。
向けられる感情が怖くて、視線は落ちるばかりで。
コツ、コツ。足音が近づいて、すぐ側で止まる。
嗚呼、いっそのこと、罵倒してくれ。尊厳も、感情も、貴方への想いも、全て壊してくれ。愚かにも報われたいと願った私の希望を砕いて、焼き払ってくれ。
沈黙がただ恐ろしくて。処刑を待つ罪人のようで。
剣持さんが、息を吸い込む音に。紡がれる言葉に。静かに耳を傾けた。
『加賀美さん、天使だったんですか?』
「…ぇ、?」
天使?
今、天使と言ったか。誰が? 私が?
どうして?
『羽根、結構大きいですね。普段どうしてるんです? 見たことないってことは仕舞えるんですよね。凄い綺麗ですけど手入れとかって…』
無邪気ささえも感じるような声色。矢継ぎ早に浴びせられる質問に戸惑った。
戸惑って、思わず口にした。
「…なん、で、? なんで、引かないんですか、ばけもの、でしょう? 貴方からみた、私は、」
『…いや、今更何を驚くって言うんです? にじさんじには神も悪魔も異世界人もいるでしょうに』
「で、でも、わたくし、人じゃ、なくて、でも、天使、にもなれなくて、だから、」
『貴方は貴方でしょう。いかずちゴリラが。頭でもぶつけました?』
私の言葉に、剣持さんはきょとん、というような顔をして、さも当たり前であるかのように、私を肯定した。
私を、私だと。目の前の異形を真っ直ぐに見据えて。
思いもよらぬ言葉に呆然とした。
そんな私を気にもとめないように、剣持さんは私の背中に生えた羽根を触り始める。
これ触り心地いいな、これに包まって寝たら気持ちよさそう、僕にもあったらできたのに。
そんな呑気なことを呟きながら。
羽根に向けられていた目が唐突に此方に向けられる。
一切の澱みもない、新芽色の瞳が。幼い子供を思わせるような、きらきらとした瞳が。
『ねえ、社長。これ、僕にもくれません? 天使の羽根とか普通にかっこよくてずるいんですけど』
どうやらこの少年は、目の前の異形を、天使の成り損ないを。 いとも簡単に受け入れてしまったようだった。
コメント
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そんなこんなで天使kgと好奇心旺盛mcのドタバタ甘々いちゃいちゃなラブコメ始まります (純度100%の嘘)